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「まとまらない会議」をまとめたい人に試してほしい劇的な解決策

 会議の場で挙がったたくさんの意見。「これ、いつ終わるんだろうか……」というシーンに直面したことがある人は少なくないでしょう。

 脱線せずにうまく話をまとめて時間通りに終わる。どうすれば「まとめやすい」会議にできるでしょうか。活用したいのはホワイトボード。ポイントは「分け方」です。

 コクヨのワークライフコンサルタント・下地寛也さんの著書で、生活の中におけるさまざまな「しにくい」を、「分ける技術」を使って「しやすい」に変えることを探った『「しやすい」の作りかた』よりお届けします。

『「しやすい」の作りかた』 サンマーク出版
『「しやすい」の作りかた』

◎発言しやすい会議を作るには?

意見を「まとめやすい」ホワイトボードの使い方

 働いている方の中には、会議や勉強会、打合せなどの「進行役」をする機会が多い人もいるだろう。私が仕事でお付き合いしている会社を見ていても、会議の進め方について困っているところは多く、主だった問題は「意見がまとまりにくい」「脱線していく」「時間どおりに終わらない」というものだ。

 なぜ、会議の意見はまとまらず、脱線していくのだろうか。

 その主な原因は、そもそも「人はたくさんのことを覚えられない」という点にある。これを忘れてはならない。

 モノゴトを順序だてて考えるためには、必要な情報をすべて頭の中に入れてから、俯瞰(ふかん)的に考える必要がある。ところが、会議の場ではたくさんの情報が飛び交うので、発言された情報の全体像を頭で整理しようとしても、脳のキャパシティーを超えてしまうのだ。

 では、脳のキャパシティーがどれくらいか。プリンストン大学のジョージ・A・ミラー教授によると「マジカルナンバー7±2」と言って、短期記憶で人が同時に覚えられるのは7つ程度。つまり5~9個が人間の情報処理能力の限界らしいのである。

「営業部門の一般職の業務にムダが多い」という議題について話しているとする。こういうときは「一般職は営業が外出しているあいだはヒマそうだが、夕方から見積作業で残業している」とか「マネジャーの指示があいまいで仕事のやり直しが多いんじゃないか?」とか「何かマニュアルを作ってはどうだろう」といった散漫な会話になりがちだ。

 発言が7個を超えて10個、20個になってくると、その場の人たちは、会議の冒頭に誰がどんな発言をしたか覚えていない。その結果、また同じような発言が出てきて、会議はいつまでも迷走するわけである。

 これを防ぐための武器になるのが「ホワイトボード」だ。ホワイトボードに書きながら話し合ったほうが、圧倒的に情報を整理しやすくなる。ただし、ホワイトボードの板書というとうまく書けるだろうかと不安になる人も多いと思うのでそのコツを伝授したい。

板面を3つに分けてみよう

 まず知っておいてほしいのは、一般的なホワイトボードは幅が1.8メートル程度のものが多く、適当に板書しているとすぐにいっぱいになってしまうことだ。話があちこちにいくと書く内容も取捨ができなくなる。そこで議論をリード、整理するために、「板面を3つに分けて書く方法」を試してみてほしい。

 会議で議論が迷走するのは、「情報共有」ではなく「問題解決」に関する内容であることが多い。「問題解決」という行為を分けてみると、「問題(What)は何か?」「その原因(Why)は何か?」「その解決策(How)は何か?」という順番になる。

 そこで、まずはホワイトボードを3分割するように縦に2本の線を引き、左から順に「問題(What)は?」「原因(Why)は?」「解決策(How)は?」と書いてしまおう。

 そして、参加者に「みなさんの発言をこの3つのいずれかに分けて書いていきますので、よろしくお願いします」と伝えておくわけだ。そして議論自体も「問題」→「原因」→「解決策」の順番で進める。こうするだけで随分と会議の進行もしやすくなる。

 これは私の経験上の話であるが、それぞれの項目に対して、発言が20個以上出ることはほとんどない。20個を超えると、似たような意見になってくることが多く、議論が同じところを回り出す。

 つまり、まず20個程度の発言が出ることを目指して書き出していけばいいのだ。一番左の「問題(What)は?」のスペースが20個程度埋まるか、意見が出尽くすかしたら、次に中央の「原因(Why)は?」の議論をし、最後に右側の「解決策(How)は?」を話し合う。

 このように分けておけば、参加者全員が何を発言すべきか見えてくるし、様々な情報を整理しやすくなるだろう。

あらかじめ時間配分を決め、板書は進行役に

 最後に、ホワイトボードを使うときのポイントを2つ付け加えておきたい。

 ひとつは、あらかじめ板書しておいた3つのテーマそれぞれについて、どのくらいの時間配分かを決めておくことだ。

 仮に会議が1時間だとしたら、「問題」に15分、「原因」に15分、「解決策」に30分、といった具合だ。もしもその会議時間内で「解決策」が見み出いだせなければ、次回は「解決策」について冒頭から話し合えばいいだろう。

 それからもうひとつ。板書は、会議の進行役がすべきだ。よく、板書を新人や若手にやらせるケースを見かけるが、こうすると「いや、書くのはそこじゃないよ」「そんな字も書けないのか」などと余計なヤジが出て時間をロスする。また、この会議をもっとも真剣にリードしていきたいと思っている人が板書したほうが、圧倒的に話をまとめやすくなる。

 板書しながら会議を進行するのは勇気がいるが、ぜひ試してほしい。

<本稿は『「しやすい」の作りかた』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>

(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)


【著者】
下地寛也(しもじ・かんや)
コクヨ株式会社ワークスタイルコンサルタント
エスケイブレイン 代表

サンマーク出版の公式LINE『本とTREE』にご登録いただくと実際の本と同じレイアウトで、この本『「しやすい」の作りかた』の「序章 「しにくい」を「しやすい」に変える」(目次を含む30ページ)をお読みいただけます。ご登録は無料です。ぜひこの機会に試し読みをお楽しみください!

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