他人と比べて落ち込むあなたはそんな自分を褒めていい
魅力的な人やすごいパフォーマンスを見ると、つい、くらべてしまい、「あの人すごいのに、私ってなんにもできてないな」と傷ついたり、焦ったり――。
そんな感情を持つことがあるかもしれませんが、自分が他人と同じになる必要もありません。
『メンタル弱いまま楽しく生きてく』の著者で精神科医の木村好珠さんは、「他人と自分を比べて落ち込むあなたはエライ」と話します。
卑屈になるのはめちゃくちゃもったいない!
私もしょっちゅう抱く感情です。とくに自分が忙しくて、心身共にボロボロの状態のときに友達のキラキラした生活をInstagramで見ると、トドメを刺された気分になります。隣の芝生は青く見えるのが人間の性(さが)。
他人、羨ましく見えるよね!!
他人とくらべて「がーん!」と傷ついたり、「まずい、私できてない!」と焦るのは当たり前の感情ですが、このとき「どうせ私なんか」という卑屈な気持ちになっちゃうのはおすすめしません。
卑屈になってしまうと思考や行動が自暴自棄気味になります。
自分の可能性をどんどん少なくする思考だし、卑屈な発言によって人間関係も悪化するので、また落ち込むという負のループに陥りがちです。
自分で自分のメンタルをさらに乱す、不幸な環境を自分でつくってしまいます。それって、めちゃくちゃもったいない!
他人とくらべて焦ったり、傷ついたりして、その気持ちから自分も頑張るぞと正のエネルギーに変換できる場合は、他人とくらべることって、全く問題ないし、むしろいいきっかけになってラッキーじゃんって思います。
「どうせ○○なんだ」という卑屈な思考は、自分が努力しないための盾。
素敵な人を見て、悔しいって思ったのなら、自分も近づくように行動すればいいんです。
他人とくらべてメンタル落ちたら、行動するか諦めよう
他人とくらべてメンタルが乱れたときは、「3年後には、私もああいうふうになれるように頑張るぞ」と長期的な目標を立てて行動に移すか、「ま、しょうがないか。私は私だ」と諦めるかの2択をおすすめします。
私の場合、大学時代にメディアのお仕事をさせていただいていたので、キラキラ系女子が周りにたくさんいたんですよね。キラキラ女子の中で、テスト前の私とかはボロッボロの状態だったんです(笑)。
悲しかったし、悔しかったのを「10年後、見てろよ」という気持ちで乗り越えました。
私は、医者の家庭に生まれたわけではなく、自分がどうしても精神科医になりたいと思って医学部に行きました。キラキラ女子の中でボロボロだったけど、メディア活動で成績が落ちたと言われたくなかったので、成績だけは6年間落とさないように必死でキープしていました。
そのときの自分の努力や行動のおかげで、精神科医になれて、またメディア活動も再開できました。
行動することで「他人とくらべて落ち込んだ自分」から「できるようになって自信がついた自分」に変化することで、成長を自分で感じることができるし、自信もつき、自分で自分を認めてあげられるようになります。
でも、正直、得意不得意、向き不向きってあるから、どうしようもないこともあると思っていて。
「この人すごい。私なんにもできてない」と感じたとき、はたして自分に同じようなことができるようになるか、向いているのかをまず考えてみてもいいんじゃないでしょうか。
どんなに頑張ってもあそこまでのレベルにいかないなとか、あそこまでのレベルになりたいってわけじゃないなって感じたなら、すんなり諦めるのも手です。
自分が他人と同じになる必要なんてないわけで。
すべての方面において何もできていないわけではなくて、単にその方面において自分が向いていないってことも多いんです。
必ず克服しないといけないことであれば向き合う必要がありますけど、プラスアルファのことであれば、自分が向いているほうを活かすほうが楽しく生きられます。
他人を羨ましいと思える自分を褒める
他人を羨ましいと思ったとき、私が自分自身に言い聞かせていることがあります。
「自分がすごいなって思う人が、自分の周りにいるって嬉しいこと。さらにその人が自分と親しくしてくれているのならば、自分にも何かしら魅力があるんだ」って。
羨ましいと思える人間が、自分に時間を割いてくれたり、認識してくれたりしているなんて、超嬉しいことじゃないですか?
それに、人のすごいところを素直にすごいと認められる、そんなあなたは人のいいところをちゃんと探せる人です。
そのこと自体、生きていくにあたって、すごく良いあなたの長所です。
だから、何も傷つくことはないし、自分にできる精一杯を見つけていきましょう。
他人を羨む欲は、いい欲
そもそも、他人を羨ましいと感じている自分に引け目を感じる必要は一切なし。
今の自分に満足できていないことは、自分に欲があるっていうこと。
まだまだあなたには伸びしろがあるってことです。
成長したいと思う気力があなたの中にあるっていうことです。
だから私はそういう人に対しては、「どうしたらいいか悩め悩め!」って言います(もちろんうつ状態の方に言うわけではないですよ)。
心がある程度の状態に保たれている人にとって、悩むこと、考えることは避けて通れない道です。
私は、トップアスリートや経営者、芸能人などのメンタルケアをしていて、心底思っていることがあります。
活躍している人は、どんなに明るくて悩みがなさそうに見えても、めちゃくちゃ考えて考えて考えています。
考えるという行為は、自分のことにしっかり向き合って、苦しい行為だと思うんですね。でも、その人たちは意地でも這い上がろうと努力するんです。
自分が成長するための努力を面倒だと思っていないし、過程を楽しんでいます。
あなたが羨ましいと思った相手もきっと、その羨ましいをつくるためにめっちゃ努力してるし、日々悩んでると思います。
だから、もし羨ましいと感じたなら、その人がそこに到達するまでしてきたように、考えて、行動して、失敗して、また考えて、行動する、にチャレンジしてみるいい機会です。
<本稿は『メンタル弱いままたのしく生きてく』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>
(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)
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【著者】
木村好珠(きむら・このみ)
精神科医、スポーツメンタルアドバイザー、産業医、健康スポーツ医
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