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仕事を抱え込んで周囲をハラハラさせる人にありがちな考え方

 仕事や勉強で結果を出せる人は「やるまでの時間」が短く「すぐやる」クセが身についています。

 一方、「すぐやる」を怠ってビジネスの現場で仕事を抱え込んでしまうと、大惨事が起こることがあります。脳神経外科医、菅原道仁さんの著書『すぐやる脳』から一部抜粋、再構成してお届けします。

『すぐやる脳』 サンマーク出版
『すぐやる脳』

すぐやらないのは「認知のゆがみ」のせい

 ビジネスパーソンの場合、よく見聞きするのが「タスクの抱え込み」です。

「チームの仲間に協力を仰がず、ひとりで黙って仕事を抱え込んでいたせいで、プロジェクト全体の進行が滞ってしまった」「できない仕事を上司に相談もせず放置していたおかげで、納期が遅れた」

 このような例は、枚挙にいとまがありません。

 SOS発信の「すぐやる」は、なぜかくも難しいのか。

 そこには「本気になったら私にもできるはず」という思い込みや、「助けを求めるなんて恥ずかしい」というプライドやメンツ、自尊心などが複雑にからみ合っています。

 このような困った「抱え込みグセ」を直すには、「メタ認知」の手法を使うのが早道です。

(「メタ認知」とは心理学の研究テーマのひとつで、「自分が認知していること」を認知することを言います。まるでドローンで空から見下ろすように、俯瞰的に全体をとらえる力(ドローン視点)で、客観視することです。「もうひとりの自分」と呼ばれることもあります。)

 自分が抱えているタスクの総量や、プロジェクト全体のスケジュールなどを紙に書き出して、冷静に客観視をするしかありません。

 また、「同程度の仕事を処理するのに、以前は△時間かかった」など、自分自身の能力を正確に把握することも有効です。

 専門用語で言うと、抱え込みグセがある人には「認知のゆがみ」(cognitive distortion)がある、とも形容できます。

「認知のゆがみ」とは、その人の「思考のクセ」のようなもの。

 それも、日々の暮らしに支障をきたすほどゆがんでしまっている、非合理的な考え方のクセのことを指します。

早合点、過大評価、すべき思考、レッテル貼りに注意

 一例を挙げてみましょう。

 抱え込みグセがある人の場合、とくに根拠もないのに、周囲の人たちの心を誤った方向に深読みしている可能性があります。

「私はどうせ皆に嫌われているから、私だって誰にも頼らないようにしよう」

 などと「早合点」するケースです。あるいは、

「私の実力をもってすれば、必ずできるはず」

 と、自身を「過大評価」しているのかもしれません。もしくは、

「組織人である以上、与えられた仕事をやり遂げるべきだ」

 などと「すべき思考」が強いのかもしれません。さらに言うと、

「私は△△という役職なのだから、周囲に助けを求めるわけにはいかない」

 という「レッテル貼り」の傾向もあるのかもしれません。

 このような自分の認知のゆがみに気づいて修正をすることで「抱え込みグセ」の解消どころか、あらゆる局面で「すぐやる」ことが容易になり、うんと生きやすくなります。

 そもそも認知のゆがみとは、精神科や心療内科で活用される精神療法「認知行動療法」で使われる用語のひとつ。一般への浸透はこれからですが、その概念を知るだけでも、脳のコントロールに役立てていくことができます。

<本稿は『すぐやる脳』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>

(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)
Photo by shutterstock


【著者】
菅原道仁(すがわら・みちひと)
脳神経外科医

サンマーク出版の公式LINE『本とTREE』にご登録いただくと実際の本と同じレイアウトで『すぐやる脳』の「序章 脳がそれを拒否する理由」「第1章 ドーパミンこそがすべてを決める」(目次含む49ページ)をすべてお読みいただけます。ぜひこの機会にご登録のうえ試し読みをお楽しみください!

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