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記憶力に自信を取り戻す「問題を解く」抜群の効果

「本を読んでもすぐに内容を忘れてしまう」

「映画を見ても、後からストーリーが思い出せない」

「仕事でうっかりミスが多くなってきた」

「資格試験や昇進試験の勉強をしても、全然覚えられない」

「最近、物忘れが多くて、認知症が心配」

あなたもこんなふうに思っていませんか? 物事を意識して暗記することは、なかなか難儀な話。ですが、楽しみながら圧倒的に記憶に残る「記憶術」があるとすれば?

今回は記憶効率を高める「アウトプット」の仕組みを解説するとともに、
そのうちの1つ「問題集記憶術」を伝授します。暗記するよりも問題を解くほうが覚えられるという方法。2月8日発売の新刊で、脳の仕組みを研究した精神科医が「記憶」と「学び」について20年以上の試行錯誤をわかりやすくノウハウとしてまとめた『記憶脳』から一部抜粋、再構成してお届けします。

『記憶脳』(サンマーク出版) 樺沢紫苑
『記憶脳』

★記憶には「インプット」よりも「アウトプット」が重要

 「覚える」「暗記する」「記憶する」。物事を頭の中に入力して記憶させる行為は、脳に対する「インプット」(入力)と考える人が多いでしょう。

 しかし、実はインプットを一生懸命やっても、記憶の効率は上がらないのです。むしろ、記憶したければアウトプットを頑張るべきです。

 アメリカのパデュー大学、カーピック博士の研究を紹介します。大学生を集めて、スワヒリ語の単語を40個暗記してもらい、暗記時間の後に確認テストを行います。

 「40個全てをテスト」したグループと「間違えた単語のみをテスト」したグループに分けて、確認テストで満点をとるまで暗記とテストを繰り返してもらいます。そして、1週間後の再テストで、どれだけ記憶しているかを調べました。

 結果は、「間違えた単語のみをテスト」(部分的にアウトプット)したグループに比べて、「40個全てをテスト」(全てをアウトプット)したグループは、2倍以上の得点をとったのです。

 同研究では、学習方法の違いによる効果も調べていますが、「40個全てを学習」したグループと、「間違えた単語のみを学習」したグループとの間に、差は認められませんでした。つまり、インプット法、勉強法の違いは、結果に影響を及ぼさなかったのです。

 すなわち、この研究によって、「記憶においては、インプットよりもアウトプットのほうが重要である」ということが明確に示されたのです。

 脳は、何度も書くことで、あるいは実際にテストや試験などでその知識が活用されることで、「これは重要な知識である」と重みを持たせます。「重要な知識である」と認識された知識は、海馬から側頭葉に移動され「長期記憶」として定着します。一方、「重要でない」ものはドンドン忘れるようになっています。

 記憶するためには、何度もアウトプットをしてその情報を使用し、「この情報は重要です!」ということを、脳に教えてあげればいいのです。結果として、アウトプットしたものは、しっかりと記憶に残る。これが、「記憶の大原則」です。

「覚える」より「解く」ことに注力せよ!〜「問題集記憶術」

★ 問題集を解くことは「記憶」にも結びつく

 スワヒリ語暗記の実験から、暗記に注力するよりも、「問題を解く」ほうが、記憶に残りやすいということがわかりました。勉強でいえば、教科書や参考書を何度も読むよりも、「問題集」を解いたほうがいい、ということです。

 つまり、ただ単に暗記をするのではなく、実際に知識を使う、活用するということ。言葉を繰り返し読むだけの「復唱」も、記憶には効果がありますが、それ以上に問題の中で「実践的に活用する」ほうが、脳は重要な知識だと判断します。

 問題集を解くことは、「記憶しているかどうかの確認」だと思っている人が多いでしょうが、実は「暗記」(記憶の定着)そのものに寄与していたわけです。

 ですから、理解と暗記を進めて、実力がついてから問題集を解こうという人もいると思いますが、そうではなく、ドンドン問題集を解きながら理解し、暗記していったほうがいいのです。

★ 問題集をゲームに変える方法〜「対戦成績記憶術」

 私が問題集を解く場合、「×、×、○、○」というように、必ず1問ごとに「対戦成績」をつけるようにしています。これを見ると、1回目、2回目は誤答したが、3回目、 4回目は正答したことがわかります。記録をつけることで、各問題に対する習熟度がわかり、ゲームをしているかのようで楽しいのです。

 最後の対戦成績が4連勝になれば、ほぼ暗記したということを意味します。

「今日の目標は、このページ、全て○がつくまで頑張って覚えること」といったように、目標設定をすることでモチベーションも上がります。

「楽しい」というのは、喜怒哀楽の情動刺激になります。先に少し述べたように、喜怒哀楽という心の動きで、脳内には記憶増強物質が分泌されます。つまり「楽しい」と感じることによっても、より記憶に残りやすくなるということです。

 このように「ゲーム化」することで記憶効果を高めることができます。

<本稿は『記憶脳』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>

【著者】
樺沢紫苑(かばさわ・しおん)
精神科医、作家。1965年札幌生まれ。札幌医科大学医学部卒。2004年から米国シカゴのイリノイ大学精神科に3年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。「情報発信によるメンタル疾患の予防」をビジョンとし、YouTube(48万人)、メールマガジン(12万人)など累計100万フォロワーに情報発信をしている。著書46冊、累計発行部数240万部のベストセラー作家。シリーズ累計90万部の『アウトプット大全』(サンクチュアリ出版)をはじめ、『神・時間術』(大和書房)、『ストレスフリー超大全』(ダイヤモンド社)、『言語化の魔力』(幻冬舎)、『読書脳』(サンマーク出版)など話題書多数。

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