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祝・本屋大賞『成瀬は天下を取りに行く』 本屋大賞って本当にすごい! 受賞作の良さを真剣にお伝えします【前編】

こんにちは。
サンマーク出版で編集者をしております、
池田るり子と申します。

小説を作るのが大大大好きで、
『コーヒーが冷めないうちに』
(川口俊和さん)

『おかげで、死ぬのが楽しみになった』
(遠未真幸さん)

『元カレごはん埋葬委員会』
(川代紗生さん)

などを担当しております。

私は小さい頃から小説を読むのが大好きで、
図書館と書店に通いまくり、
好きになった作家さんがいれば
全作読むことを続けていました。
好きが高じて出版社に入社して、
営業部に入り、
ビジネス書や実用書の編集をしながら
チャンスを狙い、
ついに夢だった小説の編集が
できるようになりました。
小説大好き! 物語大好き!
今日はそんな私が
「本屋大賞」について語らせていただきます。

本屋大賞決定!
今年の受賞作は
『成瀬は天下をとりにいく』
(宮島未奈/著、新潮社)

このニュースをご覧になった方も
多いと思います。
毎年大きな話題になりますし、
受賞作も大ヒットすることで有名な賞です。

いきなりですが、私は、
「本屋大賞」という賞が、
ものすごく好きなんです。
なぜそんなに好きかというと、
「本屋大賞」って、
「書店員さんが、
本当に売りたいと思う本」を
書店員さん自身が選ぶ賞、
なんですよね。

投票も、会場を盛り上げるのも、
お店を盛り上げるのも、
運営も
(ここは色々な方が関わって
いらっしゃると思いますが)
書店員さんがやっている、
というところがポイントです。

これってすごいことだと思うんですよね。
だって、例えば家電業界で、
家電量販店の社員さんたちが
「本当にお勧めできる家電を売りたい!」
って言って、実際に使い比べて、
投票して、1位を決めて、
全国の家電量販店の一等地で並べる
…ってしていたらどうでしょう。
労力がかかりすぎて、
店員さんたちの本気さにびっくりしませんか?

これを、本屋大賞はやっている
ってことなんです。

本屋大賞って、どうやって決まるか、
ご存じでしょうか?

(部外者の私が知っている限りですが)
まず、その年に刊行された本の中で、
書店員さんが自分の好きな作品に
一次投票します。

そしてそれが本部で集計され、
上位10作品
(いわゆるノミネート作品です)
が決まったら、
その10作品を全部読んで、
さらに順位をつけて投票する。
という流れで決まっているはずなんです。
10作品全てを読んでいないと、
投票ができないんですよ。

これ、すごいなって思うんです。
だって、そもそも、
一定期間で本を10作読むって大変なことです。
もちろん仕事をしながらされるわけですし、
報酬が出るわけでもないと思います。
でも、いい本を選ぶんだ、
届けるんだ、という気持ちで
みなさん、
本気で読んでくださっているんですよね。

Photo by Shutterstock


あともう1つすごいなと思うのが、
大賞発表の会場に、
書店員さんはみんな、
大賞を取った作品のPOPを
書いて持っていくことです。
そして、
それを作家さんたちが見るわけです。
これってすごくうれしいことだと思うんです。

なぜかというと…
実は、作家さんって、
すごく孤独な仕事だと思うからです。

作家さんって、
書いている時も一人で、
「これ、おもしろいのかな?伝わるかな?」
と考えつつ書かれていらっしゃり、
執筆が終わって発売してからも、
実はなかなか読者に
直接お会いできる機会ってないものなのです。

読者さんとの接点といえば、
SNSなどでエゴサして、
どなたかが偶然つぶやいて
くださっている感想を探すとか、
出版社に届く感想のハガキなどを読むとか、
そのくらいしかないものなんです。
(ですので、感想のハガキは
めちゃくちゃ嬉しいものだと思います!)

ですから、自分の本を
「おもしろい!」と思ってくださった人、
さらに「売りたい!」
と思ってくださる方に会えるなんて……
すごくありがたく、
嬉しいことだろうなと思います。

Photo by Shutterstock

そんな「本屋大賞」のいちファンである私ですが、
会社員としても、「本屋大賞」を
心から応援したいなと思う理由があります。

私は出版社の社員として、
いつも書店員さんに、
感謝してもしきれない気持ちを抱えています。

だって、自分のお店に、
本を仕入れてくださって、
並べてくださって、
推薦のコメントを書いてくださったりして、
なんとかその本の読者を
見つけようとしてくださる。

この「本を届けるんだ!」という気持ちに、
毎回毎回、心打たれてしまうんです。

でも、じゃあそのお礼に
何かができているかというと……
正直に言って、全然できていない……。

だから、すごく微力ではありますが、
「本屋大賞」という、
書店員さんの作り出した大イベントを、
全力で応援できたらなあ、と思っています。

あと、シンプルに、
本屋大賞を取る(ノミネートされる)本って
間違いないんですよね。
「これはすごい本だー!」
って毎回思うんです。

やっぱり、目利きたちの選ぶものはすごいぜー!
というわけで、次の記事では、
今年の本屋大賞に輝いた、
『成瀬は天下を取りにいく』
の魅力を全力でお伝えします!

◎後編はこちら

【執筆】
池田るり子 サンマーク出版 第ゼロ編集部 副編集長
『コーヒーが冷めないうちに』(日英イタリア3カ国でシリーズ100万部突破!世界500万部突破)などを担当。気負わないで、よく笑って、せっせと働きたい、がモットー。


(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)


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