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小くよ93 「モア・イズ・ベター」という考え方を捨てる

 欲しかった服を買った。念願の車を手に入れた。家を買った。美味しいレストランで食事を堪能した。運命の相手と結ばれた。仕事の目標を達成した――。

 十分に幸せなはずなのに、満足せず「もっと」求めてしまう人がいます。

 2月にスタートした「Sunmark Web」の特別企画として『新版 小さいことにくよくよするな!』が説く格言を100日連続でお届け。

 93日目は「「モア・イズ・ベター」という考え方を捨てる」

「モア・イズ・ベター」という考え方を捨てる

 私たちは歴史始まって以来、もっとも豊かな文化を享受している。アメリカの人口は世界のわずか5%にすぎないのに、世界の天然資源の半分近くを消費していると推定されている。

「モア・イズ・ベター」が本当だとすれば、私たちはもっと幸せでもっと充実した人生を送っているはずだ。だが、実際はそうではない。それどころではない。事実、私たちは史上もっとも混乱した文化のなかで暮らしているのだ。

 物をたくさんもつことが悪いとかまちがっているというのではなく、もっともっと多くの物を求めるのが狂気の沙汰なのだ。「モア・イズ・ベター」と考えているかぎり、けっして満足することはない。

 私たちはなにかを手に入れたり、なにかを終えたとたんに次のことに向かう──ただちに。これでは人生や多くの恵みを味わう暇もない。

 高級住宅地のすてきな家を買った男性を知っている。彼は引っ越しをするまでは、とても幸せだった。ところが、その感激はたちまち薄れ、もっと大きくてより立派な家がほしくなった。彼は「モア・イズ・ベター」の考え方に染まっていて、買ったばかりの家を一日も楽しむ余裕がなかったのだ。

 程度の差はあるとしても私たちはみんな同じだ。ダライ・ラマが1989年にノーベル平和賞を授与されたときに記者から最初に受けた質問は「次はなんですか?」だった。

 私たちはなにをやっても──家や車を買う、食事をする、パートナーを見つける、服を買う、権威ある賞を受けてさえも──足るを知らないようだ。

 この悪い癖を克服するコツは、もたないことが問題なのではなく、もっと求めることが問題なのだ──つまり「モア・イズ・ノット・ベター」だと自分に言いきかせること。

 足るを知るというのは、もう物をもったり求めたりすべきでないということではなく、幸福は物によって与えられないと知ることだ。もっとほしいと願う気持ちではなく、いま現在に意識を向けることによって、もっているもので幸せになることはできるのだ。

 あれがあったら、という思いが頭に浮かんだら、それが手に入ったとしても満足しないだろうとやさしく自分を説得しよう。なにかをほしがる思考の図式はリピートするからだ。

 すでに与えられているものにたいして感謝することを学ぼう。人生をはじめて見るかのように見つめよう。この新しい見方を身につければ、新しい物や成果が人生に現れたとき、それに感謝する思いがさらに深まっているだろう。

 幸福になるためのすばらしい手段は、もっているものとほしいものを分別することだ。もっと多くのものと幸せを追い求めて一生を送ることもできる──または、もうほしがらないと心に決めることもできる。後者のほうがはるかに実行しやすいし、充足をもたらしてくれる。

<本稿は『新版 小さいことにくよくよするな!』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>

(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)
Photo by Shutterstock


【著者】
リチャード・カールソン(Richard Carlson)
心理学者。ストレスコンサルタント。ユーモアにあふれ、率直でわかりやすく、しかも誰にでも実践できそうな「くよくよしない」ヒントを提唱。著作やテレビ出演、講演多数。著書に『(文庫)マンガで読む 小さいことにくよくよするな!』(サンマーク出版)などがある。

【訳者】
小沢 瑞穂(おざわ・みずほ)

『小さいことにくよくよするな!』(サンマーク出版) リチャード・カールソン

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