若いうちに会社員を続けながらお金持ちになる方法
いまや貯蓄で財をなすのは不可能
私の親たちの世代にとって、最良の投資は貯蓄だった。各家庭には何冊か通帳があり、どの家も積立をしていた。1971年7月の韓国信託銀行の広告を見ると、預金利率は25.2%だ。1980年代もこのレベルの利率が続いたが、1991年の金利自由化によって10%台に引き下げられた。ちなみに韓国の銀行の預金利率は最高30%(1965年9月)だった。
もし1971年当時の利率で10万円を複利で預金していたら、いまでは260億円にもなる計算だ。それだけ貯蓄に価値があったのだから、お年寄りの中には貯蓄が最高と思う人が多いのも無理はない。その惰性だろうか、いまでも就職して初月給をもらうと、とりあえず銀行に預金したり積立を始める若者は多い。
しかし、いまや貯蓄で財をなすのは不可能だ。
不可能である以上に、逆に損をすることになる。
銀行の預金利率は現在1.75%だ(編注:日本では0.025〜0.3%)。そこから約2%の物価上昇率と利子課税15.4%を差し引くと、じつは元本割れしてしまうのだ。つまり、貯蓄をした瞬間に、お金は消え始めるわけだ。
積立もそう変わらない。たまに5%台の利率がついていて惑わされもするが、限度額が小さかったり、当初の数カ月だけの特典だったりで、ほとんどが釣り商品だ。だから貯蓄では決してお金持ちにはなれない。
複利運用を始めるのは早いほうが断然有利
それでも貯蓄は、いまでもお金持ちへの第一歩だ。お金持ちになるには種銭が必要であり、種銭が貯まるまでは銀行を使わなくてはならない。貯蓄銀行やセマウル金庫〔どちらも日本の信用金庫にあたる〕を賢く利用すれば、利率3%以上の商品を見つけることができる。
もちろん、銀行でも破綻する可能性があるので、預金額は元本が保証される500万円以内(編注:日本では1000万円以内)とすべきだ。
財産は「資本×投資利益率×期間」の合計だ。つまり、いくらのお金を、どれくらいの利益率で、どれほど長く運用したかで決まる。
1億円貯めたければ、種銭の1000万円を10%の利率で25年間、複利で運用すればいいことになる。あなたが30歳なら、55歳でお金持ちになれるわけだ。
いま30歳で、45歳までにお金持ちになる目標を立てたなら、複利で年16.5~17%の利回りが必要だ。それでおよそ1億円が貯まる。
いま25歳なら、その半分の500万円を同じく複利で年16.5%の利回りによって、45歳まで利益を出し続ければ、1億円を保有する資産家になれる。このように、始めるのは早いほど断然有利だ。25歳で500万円というまとまった資金を準備するのは簡単ではないだろうし、年16%以上の利回りを15年以上続けることも決して容易ではない。
真理を知る者は「給料」をこうやって使う
私がもし25歳の会社員で、現在の私の経験と知識をすべて使えるとしたら、銀行預金で種銭をつくろうとはしないだろう。それよりも月給から5万円ずつ天引きして、韓国でいちばん大きな会社の株を買う。
株価の変動は関係ない。毎月同じ日に5万円ずつ株を買って積み立てていく。
最大の会社というと、いまならサムスン電子だ。しかし、サムスン電子の時価総額を超える会社が現れたら、その会社に乗り換えて同じように投資を続けるだろう。
もし2005年に戻ってサムスン電子の株を毎月5万円ずつ買っていれば、現在は約5000万円相当になっている。同じ額を銀行に積立預金していたら、やっと1000万円を超える程度だ。この状態で1億円の資産家になることは、死ぬまで無理かもしれない。95歳まで積立を続ける必要があるからだ。
ところが、現在5000万円相当のサムスン電子株を保有していれば、ほんの数年以内に1億円になる可能性が高く、さらに配当もあるので、もはや月々5万円の投資も必要なくなるだろう。
以上が、若いうちに安定した会社員生活を送りながら億万長者になる方法だ。だから、1日も早く始めよう。お金持ちになる公式で、最も大きな変数は「投資期間」だからだ。億万長者になるのは、思ったより難しくない。改めて言うが、お金持ちになる近道は、ゆっくりお金持ちになることだ。
<本稿は『お金は君を見ている 最高峰のお金持ちが語る75の小さな秘密』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>