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堀江貴文×深津貴之「ChatGPTは教育をどう変えるか」

私たちの生活に入り込んできた生成AIは、教育分野にも影響を与えていきそうです。暗記することの意味や、人間の先生の役割は?

著者の堀江貴文さんを中心に、4人の識者(深津貴之さん、緒方憲太郎さん、佐藤航陽さん、茂木健一郎さん)の知見を踏まえ、まとめた『ChatGPT vs.未来のない仕事をする人たち』。堀江さんと株式会社note CXOでありインタラクションデザイナーの深津貴之さんの未来予測は? 本書より一部抜粋、再構成してお届けします。

『ChatGPT vs.未来のない仕事をする人たち』

Q)ChatGPTで教育は変わりますか?

・暗記することの意味がなくなる
・レポートより実地訓練
・人間の先生は一人ひとりに合った心のケアが大事な仕事に

子どもをAIが育てたら?

堀江 貴文:私は個人個人がChatGPTを自分の外部脳として活用すべきだと考えている。わからないことはChatGPTに聞けばなんでもわかりやすく教えてくれる。今の時代、暗記をすることに一体どんな意味があるだろうか。

 教育が大きく変わるポテンシャルがあるのに、教育委員会が変化するとは思えない。おそらく10年スパンで考えても、今の教育システムがAIの進化を取り入れて変わることはないのではないか。

今までにあり得ない知性を持つ子どもを育てる

 最近、私は子どもを育てたいと思っている。

 生まれた時から、教育の一切をAIに任せれば、今までではあり得ない知性を持った子どもが育つはずだ。イメージとしては、子どもの耳に常時AIイヤフォンをつけて、たとえば英語なら英語で1日中会話をしたり、授業を受けることができるような環境だ。それこそ、棋士の藤井聡太さん並みの知性を発揮できるのではないか。

 もはや学校の先生よりもAIのほうが、頭がいいのは明白だろう。生まれた時からこうした環境下で育った子どもは、完全にニュータイプとして大人になっていく。

 子どもをみてくれるAIも、親からの需要が高いはずだ。私の周りの親に話を聞くと、「小学校に通わせたくなくても、仕事をしている自分に代わって、誰かが昼間に相手をしなくてはいけない」と言う。つまり、託児所のように面倒をみてくれる場所が必要ということだ。

 この解決にAIを使ってはどうか。

 そもそも、危険な物さえ置いていなければ、子どもたちが遊んでいる場所に必ずしも人がいる必要はないのではないだろうか。AIカメラが常時監視し、何か異常なことが起こった時、たとえば子ども同士でケンカがあったり、事故があったりした時に、警報が鳴るようにしておけばいい。必要最低限の人員でプレイグラウンドが運営できるようになれば、気軽に子どもを預けられる場所が増え、劇的に子育てが楽になるはずだ。

 今ここで語った教育の未来はやや急進的であったかもしれない。

 確実に実現しそうなのは、大人が学ぶスクールだ。かつてのパソコン教室と同じでAIを操るためのプロンプト・エンジニアリングスクールが流行するだろう。たとえば、イラストを自動生成するミッドジャーニーを使ってみたいけれど、まだうまく使いこなせない人は多いはずだ。そうした人たちが学べる場所のニーズは間違いなく高いのではないだろうか。

学位はYouTubeでとればいい

深津 貴之(インタラクションデザイナー、株式会社note CXO):僕は何年か美大の先生をやっていたので、ChatGPTによって教育にも変化が訪れる予感を持っています。具体的には、大学で先生の教える内容が座学から実技へ移行していく。たとえば、MBAを取得する時に、分厚いリサーチレポートを提出する必要がありますが、これはChatGPTを使ったほうが確実に早いわけです。

なので、単なるレポートの提出から、より実地訓練に寄っていくのではないかと予想しています。たとえば、「駅前にある、あの売上が不調なカフェに行って、再建してきなさい。その再建結果をレポートとして持ってきてください」という形に変わるのではないかと思います。

 大学以前の小学校から高校までの教育に関していえば、堀江さんも言うように大部分がインターネット上に存在する教材で自習するのが手っとり早いと思います。

 たとえば、世界最高の数学の授業動画がYouTubeに10本あるなら、数学の授業の大半はその動画を再生するほうが効率的でしょう。究極的にはYouTubeで完結して学位がとれてもいいのではないかと思います。あるいは高校生をやりながらグーグルで働いたり。学びの形はもっと多様になると考えています。

 全体としては、人間の先生は、特殊な状況に対応したり生徒一人ひとりの心のケアなどに集中し、万人が学ぶべき方程式などに関しては、AIや動画を活用しながらそれぞれの生徒に最適化された教材を使って学んでいく方向に進むのではないでしょうか。

 さて、AIに育てられた未来の子どもたちは、AIで生成された画像に対してシンパシーを抱くのか、それともモノや機械と感じるようになるのか。どちらに転ぶのか現時点ではわからないですが、どちらか極端になっていくのではないかと感じています。

Q)ChatGPT以後、
必要なスキルにどんなものがあるでしょうか?

・ChatGPTで何ができるのかを
知ることでその人ができることが広がる
・AIの最低限の仕組みを知っておこう

深津:新しくこれから何かをしようとするなら、生成AIに慣れるのはお勧めです。

 今後、エクセル操作のような表面上必要なスキルは変わってくると思います。ChatGPTにどんなお願いができるのか、どう命令を出すのか、どんな生成AIのツールを使うのかがわかってくると、その人ができることは広がるでしょう。

 あわせて、認知能力、推論能力、決定力、リサーチ能力など、本質的に仕事に必要なことは、今後も身につけるべき素養として重要です。

 デジタルネイティブのさらに後の「AIネイティブ世代」は、息を吸うようにAIを使いこなすようになるのだと思います。

 将来的には、ChatGPTをはじめとしたLLM(大規模言語モデル(*))や生成AIの最低限の仕組みも知っておいたほうがよいでしょう。ブラックボックスのままにせず、なぜこうなっているのか、ChatGPTやAIは裏で何をしているのか、根っこのところを理解できるとよいでしょう。これは、レシピを暗記している人と、食材の知識を持っている人のような差を生み出します。レシピの暗記だけでなく、食材や調理法をしっかり理解していれば、よりよい料理が作れるわけです。

*LLM(LARge Language Model:ラージ・ランゲージ・モデル)。大量のテキストデータによって学習することで、私たちが普段使う「自然言語」によって処理することができるようになったもの。

ChatGPTがあれば、英語は学ぶ必要がない?

 ChatGPTを使うにあたっては、日本語で指示するより英語で指示するほうが性能が高く、有料で使う場合のコストが低くなるので、使えないよりは使えたほうが有利かもしれません。

 しかし、0.5秒以内に答えを出さなくてはいけない会話が必要なら、英語は勉強しておくべきでしょう。また、リアルでパーティに出ることがプラスになるようであれば、生のコミュニケーションができるほうが優位性はあると思います。

<本稿は『ChatGPT vs.未来のない仕事をする人たち』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>


【著者】
堀江貴文(ほりえ・たかふみ)
1972年10月29日、福岡県生まれ。 現在はロケットエンジン開発や、アプリのプロデュース、また予防医療普及協会理事として予防医療を啓蒙する等様々な分野で活動動する。 会員制オンラインサロン『堀江貴文イノベーション大学校(HIU)』では、1,000名近い会員とともに多彩なプロジェクトを展開している。
ビジネス系に特化した起業家向け会員制コミュニケーションサロン『neoHIU』でも会員とともに様々な事業を展開している。著書『不老不死の研究』(予防医療普及協会と共著。幻冬舎)、『信用2.0』(朝日新聞出版)、『2035 10年後のニッポン ホリエモンの未来予測大全』(徳間書店)など。

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