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【糖尿病】たった3週間で発病も、炭水化物の悪面

 メタボリックシンドロームに合併しやすく、放置すると肝炎などを引き起こす脂肪肝。肝臓に中性脂肪がたまった状態です。

 これは、2型糖尿病の重大な要因の一つ。大人だけでなく子どもでも当てはまるようなケースがあります。『糖脂肪』よりお届けします。

『糖脂肪』(サンマーク出版) ジェイソン・ファン
『糖脂肪』

「子ども」の肝臓が太っている

 肥満の人が脂肪肝である確率はそうでない人に比べて5~15倍高い。また、2型糖尿病の人の85%に脂肪肝がある。糖尿病を発症していなくても、インスリンの「効き具合」が鈍くなっている状態であるインスリン抵抗性があると脂肪肝の程度はひどい。

 少なくとも肥満の人の3分の2は、お酒を飲まないのに非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の影響があるともいわれている。さらに、NAFLDは肥満と2型糖尿病の増加にともなって、子どもの間でも大人の間でも急増している。

 脂肪肝、つまり肝臓内の脂肪の蓄積は、インスリン抵抗性があるかどうかを判断するうえで最も重要な指標だ。

 肥満の子どもの場合、肝障害の指標となる血中のアラニンアミノ基転移酵素(ALT)の濃度が上昇すれば、インスリン抵抗性が発現しているとみられ、2型糖尿病につながると考えられる。脂肪肝が進行すれば、境界型糖尿病、インスリン抵抗性、β細胞の機能障害などが現れる。

 また、肝臓の炎症を示す「非アルコール性脂肪肝炎」(non-alcoholic steatohepatitis、NASH)は肝疾患の終末像である肝硬変を引き起こす大きな要因のひとつであり、西洋諸国では肝臓移植を受ける大きな理由のひとつだ。北米では、NASHの有病率は全人口の23%と推定されている。

 これほどまん延しているのは恐るべきことだ。ほんの一世代前には非アルコール性脂肪肝炎などまったく知られていなかったのに、いまでは西洋諸国において肝酵素の異常と慢性肝疾患の最も多い原因となったのだから。

 脂肪の蓄積が多いのに肝障害の所見がない人がいたり、脂肪の蓄積がほとんどないのに深刻な肝障害がある人がいたりするのがなぜなのかは、まだわかっていない。

 脂肪が肝臓に徐々に蓄積していくにつれ、インスリン抵抗性も高まっていく。2型糖尿病の患者の場合、肝臓の脂肪の量とインスリンの分泌量には相関関係があり、インスリン抵抗性の度合いを反映している。つまり、肝臓の脂肪が多ければ多いほど、インスリン抵抗性が高いのだ。

 だから、インスリン抵抗性を理解するには、まず脂肪肝がどのようにできるのかを理解しなければならない。

「甘いお菓子」で肝臓に脂肪がたまる

 ここに恐ろしい事実がある。私はあなたの肝臓を脂肪肝にすることができる。いや、相手が誰であっても脂肪肝にすることができる。

 それのどこが恐ろしいかって? 脂肪肝になれば3週間で2型糖尿病を発症するのだ!

 過剰なグルコース(ブドウ糖)と過剰なインスリンが脂肪の生成を促す。肝臓が脂肪を脂肪細胞に送りこむよりも速いペースで脂肪が生成されると、脂肪は肝臓内に蓄積するようになる。甘いお菓子を食べすぎるだけで蓄積する。脂肪肝の出来上がりというわけだ。

 過体重のボランティアの人たちに、「通常の食事に加えて甘いお菓子1000キロカロリーを毎日食べさせる」という実験が行われたことがある。1000キロカロリーと聞くとずいぶん多く感じるかもしれないが、小さなキャンディーの袋ふたつ、1杯のジュース、そしてコカ・コーラ2缶を毎日食べたり飲んだりするだけだ。

 3週間後、体重の増加は2%ほどで、さして多くはなかった。だが、肝臓の脂肪はなんと27%も増えていた。脂肪の生成率が増えたことが原因だ。この脂肪肝はけっして侮れない。肝障害を示す血液の指標も30%増えていた。

 だが、最悪な事態は免れた。被験者となったボランティアたちが通常の食生活に戻ると、体重、肝臓の脂肪、肝障害を示す指標はすべて元に戻ったのである。体重が4%減っただけで、肝臓の脂肪は25%も減った。つまり、脂肪肝は元に戻すことが可能なのである。

 肝臓から過剰なグルコースをなくし、インスリンの分泌量を減らしてやれば、肝臓は元どおりになる。高インスリン血症が脂肪の生成を促し、それが脂肪性肝疾患を引き起こす主な原因になるのだから、インスリン値を通常レベルにまで下げてやれば、脂肪肝は元どおりになる。

 多量のインスリン分泌を促すのは精製された炭水化物で、脂質よりもはるかに体に悪い。炭水化物の多い食事をすると脂肪の生成率は10倍に増えるが、脂質の量を増やして炭水化物を減らした食事にすると、肝臓の脂肪生成率はほとんど増えない。

 じつは、グルコースよりも脂肪肝を引き起こしやすいのは「フルクトース」(果糖)だ。

 また、付け加えると、2型糖尿病とは異なり、1型糖尿病はインスリン値が極端に少なくなる疾患なので、肝脂肪は減るのが特徴だ。

「フォアグラ」と同じ過程で肝臓が肥大化

 動物の肝臓を太らせるのも簡単だ。珍味として知られるフォアグラは、アヒルやガチョウの脂肪肝だ。

 ガチョウにはもともと、渡りに備えてエネルギーを蓄えるために大きな脂肪肝を形成する性質があるのだが、4000年以上も前のエジプト人が〝強制給餌〟という方法を考えたそうだ。

 かつては手で無理やり押しこんで過食にさせていたが、いまはもっと近代的で効率のよい方法で行われている。1日に数回、でんぷん質を多く含む、すりつぶされたコーン飼料が、ガチョウやアヒルの消化管に鉄パイプを通して直接流しこまれる。すると、わずか10日から14日で、肝臓は太って肥大化する。

フォアグラの生産方法と人間の脂肪肝のでき方は基本的に同じだ。多量の炭水化物を摂る食事をすれば、インスリン値が上がって脂肪肝が出来上がる。

 1977年に発表された『米国人のための食生活指針』では、「脂質を減らし、パンやパスタなどの炭水化物の量を増やそう」と強く推奨された。その結果どうなっただろうか。インスリン値が劇的に上がった。私たちが気づかぬうちに、人間のフォアグラが作られていたようなものだ。

 脂肪肝はインスリン抵抗性の前兆であるが、これはほんの始まりにすぎない。

 たとえば骨格筋や膵臓など、ほかの器官に脂肪が蓄積することも、インスリン抵抗性を引き起こす大きな原因のひとつになる。

<本稿は『糖脂肪』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>

(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)
Photo by Shutterstock


【著者】
ジェイソン・ファン(Jason Fung)
医学博士


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