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悩む「あなた」を守る「もうひとりのあなた」の正体

「部屋が片付けられない」「忙しくて時間がない」

「相手に思ったことが言えない」「お金が貯まらない」

「がんばっているのに成果がでない」……。

 あなたが、なかなか解決できないこと。いつも問題を繰り返してしまうこと。これらの問題や悩みは、心の中に住む「もうひとりのあなた」が引き起こしていたのです。

 あなたの知らなかった「あなた自身」の謎を解き明かしながら、誰かに頼るのではなく、あなたがあなた自身を助けることができる方法をお伝えしている公認心理師・橋本翔太さんの新刊『わたしが「わたし」を助けに行こう ―自分を救う心理学』よりお届けします。

『わたしが「わたし」を助けに行こう ―自分を救う心理学』(サンマーク出版) 橋本翔太
『わたしが「わたし」を助けに行こう ―自分を救う心理学』

あなたの問題を起こしているものの正体

 なんで、私っていっつもダメなんだろう。

 なんで、この問題が解決しないんだろう。

 なんで、いつも同じような人間関係のトラブルを繰り返すんだろう。

 なんで、パートナーと毎回うまくいかないのだろう。

 なんで、仕事もお金もいつも行き詰まるんだろう。

 それなりに努力もしてきたのに、どうしてうまくいかないんだろう。

 なんで、なんで、どうして……。

 その答えが「あなたを守るためだよ」といわれたら、どう思いますか?

「はあ? こんなに悩んで苦しんでいるのに、それが私を守るためって、どういうことよ!?」

 と、思わず怒りたくなるかもしれません。

 しかし、これは間違いなく事実。

 あなたの無意識は、あなたを守ろうとするがゆえに問題やうまくいかない出来事を起こしてしまっているのです。

 申し遅れました。

 公認心理師の橋本翔太と申します。

 心理療法・栄養療法・音楽療法の3つの柱を通して活動する中で、いつも目指しているのは、クライエントさんの自立です。

 自分の中の大きな力に気づいてもらい、その力を取り戻していただき、自分の力で自分の問題を解決できるようになってもらうことです。

 私たちの心は、自分を守るために、無意識の領域で驚くほど一生懸命に働いてくれています。

 それはまるで外部の異物から身体を守る白血球のよう。

 あなたの心を防衛しようと、必死で働いてくれています。

 この心を守る働きをするメンバーたちは、まるであなたの「心の防衛隊」です。

 臨床での心理セッションなどを通して、私はクライエントさんの心の防衛隊を見つけることがあります。

 その姿はその方を守ろうとがんばってくれる、不器用だけど〝心優しき騎士〟のようにいつも感じます。

 そこで拙著『わたしがわたしを助けに行こう』ではこの心の防衛隊を、親しみを込めて「ナイト(騎士)くん」と呼ぶことにしています。

誰しももっている無意識の一部「心の防衛隊=ナイトくん」

 ナイトくんの多くは無意識の一部です。

 無意識とはつまり、あなたがまだ意識できていない、まだ自覚できていない、という意味だと思ってください。

 意識できていてもいなくても、誰にもどんな人にも、自分自身を守るための心の防衛隊=ナイトくんがいます。

 あなたの中にも必ずナイトくんがいます。

 この心の防衛隊は四六時中、必死にあなたを守ろうとしています。

 なりふりかまわず、身を挺してあなたを守ろうとしています。

 その働きは、自覚できない「無意識の領域」で起きているので、それを意識化する練習をしないと気づくことができません(そのやり方は本書の3章で説明しています)。

 心の防衛隊の目的はたったひとつ。

 あなたが「もう、これ以上傷つかないようにする」ことです。

 ところがこのナイトくんたちは、とても不器用なので、あなたを守ろうとするあまりに、極端な行動をしてしまいがちです。

 それが日々の生活の中で、問題となって現れてくることがあります。

 つまりあなたのナイトくんが、よかれと思ってあなたの心を必死で守ろうとするあまり、かえって問題が起きてしまっているのです。

 人間関係、性格、仕事、お金、恋愛、家族、パートナーシップでの問題……。

 これらの問題は、じつは不器用で一生懸命なナイトくんが原因なのです。

 多くの人が抱えている、さまざまな問題のほとんどが、ナイトくんによる自分自身の心を守る機能である「心の防衛反応」ゆえに起きているのです。

 特に、何度もパターンとして繰り返してしまう問題、ずっと悩んでいる問題の多くが、この心の防衛反応と強く結びついています。

たくさん傷ついてきた人にこそ強く働く

 このナイトくんは、どんな人の中にも存在します。

 人間である限り、誰の中にも存在します。

 どんなに幸せな家庭に育った人でも、いつも笑顔でニコニコしている人の中にも、ナイトくんは存在しています。

 あなたが弱いから、あなたに問題があるから、ナイトくんがいるわけではありません。

 ただ、いままで生きてくる中で「傷ついた経験」が多い、また「その傷をひとりでなんとかするしかなかった」人ほど、ナイトくんが強く働く傾向にあります。

 でもそれは、人間の心の機能がきちんと働いている証拠です。

 あなたが悪いとか、おかしいとか、そういうことではないので、それを忘れないでくださいね。

 これを書いている私の中にも、たくさんのナイトくんが存在してくれています。

 あなたを傷つくことから守ろうとしてくれている、一生懸命なナイトくんがあなたの中にいると想像してみてください。

 そう思うと、少し親しみが湧きませんか?

 ただ、このナイトくんが、あなたを守るためによかれと思ってがんばってくれているからこそ、その不器用さゆえに問題が起きてしまうのです。

<本稿は『わたしが「わたし」を助けに行こう ―自分を救う心理学』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>

(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)


【著者】
橋本翔太(はしもと・しょうた)
公認心理師。国立・埼玉大学にて音楽教育学を、同大学院にて学校臨床心理学を専修、修士課程修了。小・中・高等・特別支援学校、各教員免許取得済。私立中高一貫校の音楽教員を経て、公認心理師、音楽療法家となる。幼少期の難病や家族問題、東日本大震災後の不調に苦しむも乗り越え、【「心理療法」「栄養療法」「音楽療法」の3本柱】で人生と心を回復・飛躍させる【人生リノベーション】メソッド、心の改善と自己実現に特化した【コーダサプリメント】、独自の音楽療法【ピアノセラピー】シリーズを開発。大きな反響を呼ぶ。現在は、「人生リノベーション学校」運営。日本全国各地だけではなく、海外からも受講者が集まっている。登録者18万人超のYouTubeチャンネルも好評を得ている。著書に『聴くだけうつぬけ』『あなたの人生は食べたもので決まる』(共にフォレスト出版)、『大丈夫、あなたの心は必ず復活する』『「他人(ひと)からどう思われているか」気になったとき読む本』(共にKADOKAWA)、『弾くヒーリング ピアノセラピー(楽譜集)』(ドリーム・ミュージック・ファクトリー)など多数。

YouTubeチャンネル「心理カウンセラー【公認心理師】橋本翔太の人生リノベーション!」

『わたしが「わたし」を助けに行こう ―自分を救う心理学』(サンマーク出版) 橋本翔太

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