友人とランチ。ハンバーグセットを頼もうとしたら、友人がヘルシーサラダだけ注文。さあ、あなたはどうする? - ウェルネスライフ
友人たちとランチをしにレストランへ。メニューをじーっと見ながら、何を注文するか決めた頃、友人たちは何を頼むのかさぐってみる。すると、予想もしていなかったメニューを頼もうとしている友人が……。
さて、あなたはそれを聞いて、自分が頼もうとしていたメニューを変えますか? 変えませんか?
じつは、こんな日常的なことが、自分の「心」の安定に関係しているとしたら⁉︎ 体と心をウェルネスに導く『Life is Wellness 「健康な生き方」の科学』の著者・石村友見さんに聞きました。
思いもしないメニューを注文!?
大切な人との「つながり」は、幸福感に深く関係しています。ここでは、それを「食事」の観点から見てみます。
誰かと食事をするという行為は、毎日の暮らしの中でコミュニケーションを深めるとても重要なもの。そしてこれが、健康にも大きな影響を及ぼします。ユニークな実験結果があるので、ご紹介しましょう。
あなたが友人2人とランチをしにレストランに行ったときのことを想像してください。
席について、何を食べるかメニューを見始める。前菜やスープ、メインディッシュなど様々あるメニューの中で、自分が食べたいものをいくつか絞っていきます。
あなたは「ハンバーグのセットを頼もうかな」と決めたあたりで顔を上げ、友人たちが何を頼もうとしているのかさぐりを入れてみます。
「みんな、何を食べるの?」
まだ迷っている友人もいれば、とっくに何を頼むか決めている様子の友人もいます。そこにウェイターがオーダーをとりにやってきます。
すると、とっくに何を頼むか決めていた友人が待ってましたとばかりに、こう注文をします。
えっ? サラダとスープだけ⁉︎
何そのヘルシーな注文。
私はハンバーグとライスのセットを
頼もうと思っていたのに……。
すると別の友人が
「私も……同じで」と
ウェイターに伝えます。
えっ? あなたも……
た、たしかに、私もサラダを食べたほうがヘルシーだし、ひとりでハンバーグを食べるのは恥ずかしいし、今日はみんなと “ヘルシーランチ” ということにしよう。
このような体験をしたことがないでしょうか。
あなたにとってサラダは決して食べたいものではなかったとしても、他の誰かがそれを注文することでネガティブなイメージが払拭されて食べたいものに変わったのです。
最初に誰が、何を頼むか
レストランで最初に注文した人がサラダを注文すれば、そのテーブルの他の人たちもサラダを注文する可能性が高い。
誰かが食後にデザートを注文すると、他の人もデザー トをオーダーする可能性が高い。
じつは、そんなイリノイ大学の研究結果があります。
イリノイ大学の食品経済学者、ブレナ・エリソン准教授は、オクラホマ州スティルウォーターのレストランのランチのレシートを3か月間にわたって分析するというユニークな研究を行いました。おもしろい研究をする人がいるものですね。
この間エリソンは、実際にレストランに潜入してお客さんたちの会話を聞き続けたそうです。
その結果、同じテーブルに座っている人たちは、同傾向のメニューをオーダーすることがわかりました。仲間がヘルシーフードを注文すれば自分もそうしたくなるし、思い切ってお金を使って高カロリーなメニューを楽しもうと誘われればそうする。
エリソンはこう語っています。つまり、幸せを感じるためには、何を注文するかよりも、仲間たちと同じような選択をすることのほうが大切だということです。それによって「つながり」を感じ、安心感と仲間意識が芽生える。
昔から日本では「同じ釜の飯を食べた仲」といった表現が使われますが、これは幸福感を得る大切な儀式なのかもしれません。
さて、あなたは今日のお昼、誰と、何を食べますか?
*石村友見さんの著書『Life is Wellness 「健康な生き方」の科学』には、この記事に掲載された「つながりと健康」についての話をはじめ、体と心をウェルネスにする情報が詳しく掲載されています。以下からご覧ください。