SNSやブログで読まれる文章を書きたいと考えていても、うまく書けない人は少なくありません。共通するのは文章テクニックではなく、「書く前の考え方」を知らないこと。
ブロガー「かんそう」さん初の著書『書けないんじゃない、考えてないだけ。』が発売となりました。本書より強烈な魅力を放つ「一点集中」の文章を掘り下げます。
「一」を徹底的に愛する
私は「一点」のみについて書かれた文章に強烈な魅力を感じます。
好きな曲があるのなら「イントロのベース音」について、好きな俳優がいるのなら「モミアゲの形」についてのみ10000字書く。それくらい根性のある文章を私は読みたい。私はロックバンド・サカナクションの『陽炎』という曲のサビで、
「カ゛ァ゛ァゲロォッ! カ゛ァ゛ァ゛ア゛アゲロォッッ!!」
と叫んでいる箇所が好きすぎるあまり、「それだけ」についての論文を書いたこともあります。
一を徹底的に愛すれば、これだけの掘り下げをすることができます。
私はこの論文を書き上げるため、1000回は『陽炎』を聴きました。そして、最終的には数秒ごとに曲を止め、ボーカル・山口一郎の「カ゛ァ゛ァ゛ァゲロォッッ!!」の発音の仕方を一つひとつ切り取り、聴き比べ、その違いをデータに起こし、それを文字にしていきました。
どうして「そこ」に魅力を感じるのかを自分なりに分析し、仮説を立て、実証していく。これは曲についての論文ですが、例えば映画『タイタニック』の有名な船首キスのシーンが好きなのであれば、何度も見返してジャックとローズのそこに至るまでに交わした会話、間、息遣い、手の角度、キスの回数、全てを書き出し、自分がどこに魅力を感じたのかを徹底的に洗い出し、文字にしていくのです。
限りない愛の証明「文字に起こす」
限りない愛の証明として私は「文字に起こす」という行為をしています。
●『天空の城ラピュタ』でパズーとシータは何回「シータ!」「パズー!」と呼んでるのか数えた
●映画『名探偵コナン』全作品で新一と蘭は何回「蘭!」「新一…」と言ったのか数えた
●B’z稲葉浩志は全曲中どれだけ「アゥイェエェァ!」と叫んでいるのか調べた
●ポルノグラフィティ岡野昭仁は全曲中どれだけ「ヒィイッヒィ〜〜ッ!」と叫んでいるのか調べた
●ポルノグラフィティ、イントロ文字モノマネ254連発
●ミスチル桜井和寿は全曲中どれだけ「イェッヘッヘ!」と叫んでいるのか調べた
●Official髭男dism藤原聡は全曲中どれだけ叫んでいるのか
●藤井風は全曲中どれだけ「バラベレンベベレベレンベベレンババランバ」と叫んでるのか数えた
●GLAYのTERUさんは一生で何回両手を広げるのか
●ドラマ『大病院占拠』で櫻井翔は何回「うそだろ」と言ってるのか数えた
ある作品のセリフやアーティストの叫びなど、「一部分」にのみ着目し、その言動を書き記していく。
『名探偵コナン』であれば、20作品以上ある映画を全て見返し、「蘭!」「新一…」のセリフと秒数を抽出する。
ポルノグラフィティであれば200曲以上ある楽曲を全て聴き返し、イントロを文字に起こしていく。
ぜひ、Google検索で「ポルノグラフィティ イントロ」と検索してみてください。次のような「イントロ文字モノマネ」を読むことができます。
サウダージ「トトトトトトト(リリリリリリ)…ディーンデディンディンディンディンディンディンディーンデディンディンデッディディーーーン(パッコパラコッパッコパラコッ…‥)(ビィーーーーーン)(ディーンデディンディンディンディンディンディンディーンデディンディンデッディディーーーン)パッコパラコッパッコパラコッパッコパラコッパッコパラコッ…」
私はこれら全ての記事を「人力」で書いています。
なぜそんなことをするのか。キーワードを抽出して集めるだけならパソコンを使ったほうが何百倍も正確で速いです。しかし、そんなものに意味があるのでしょうか? 私は無駄な作業を全て人力でやってしまうほど、ポルノグラフィティの「イントロ」を愛している。人がやるからこそ、意味があるのです。
ぜひ、好きな対象の何かを文字に起こしてみてください。絶対に私は読みにいきます。
<本稿は『書けないんじゃない。考えてないだけ』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>
(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)
【著者】
かんそう
ブロガー
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