SAPIX流「5年生」が取り組んでいる勉強時間の実態
中学受験に取り組む子どもの勉強や学校選びが本格化してくるのが5年生。高度化してくる学習内容についていきつつ、積み重ねが大事な時期でもあります。どれだけの勉強時間を充てて、目標の学校の方向性を決めればいいのでしょうか。
教育・学習ライターの小川晶子さんが大手中学受験塾のSAPIX(サピックス)小学部に取材して、低学年から試験当日まで、親ができるサポートと学年別のポイントをまとめた『SAPIX流 中学受験で伸びる子の自宅学習法』よりお届けします。
コンスタントに知識と経験を積み上げよう
5年生では、学習内容がより高度になり、また科目によっては「積み上げ」の重要性が増してきます。
たとえば、SAPIXの5年生の算数では、割合に関する内容を「割合の三用法」→「相当算」→「食塩水の濃度」→「損益計算」の順に扱っていきますが、「割合の三用法」の内容を理解していることが「相当算」を学習するうえでの前提となり、「割合の三用法」と「相当算」の内容を理解していることが「食塩水の濃度」と「損益計算」を学習するための前提となります。
このように5年生からは、すでに習った単元の上に次の単元が積み重なることが増えてきますので、コンスタントに勉強をしていく必要性がさらに増します。塾では「理解するだけでなく、次の単元を学ぶまでに使いこなせるようにしておきましょう」ということをよく伝えているそうです。
5年生はどれぐらい勉強をしているのか?
5年生になると内容も高度になり、それに伴って勉強時間を増やす必要が出てきます。
では、実際どのように勉強をしているのでしょうか。
朝のルーティンの勉強
4年生のときと同じく、算数の計算練習や国語の漢字・語彙の練習、理科・社会のテキストを読むといった、短時間で集中して取り組むべき内容を継続しましょう。
塾がある日
SAPIXの5年生は週3回(首都圏は17~20時)授業があります。そこから帰って、ご飯を食べてお風呂に入って、とやっていると、もういい時間になります。
したがって、塾のある日は、帰ってから30分ほど復習をする程度になるのではないでしょうか。
帰ってからの時間は、その日の授業でやったことの復習にあてるのが効果的です。
ただし、睡眠時間はしっかりとるようにします。塾ですでに頑張っているので、家に帰ってから無理をする必要はありません。
塾がない日
塾で学習したことを、その週のうちに消化し、定着させるために家庭学習はどうしても必要なものです。
概算ではありますが、5年生になると、左のような学習時間で勉強している人が多いようです。
〈ある5年生の家庭学習時間〉
●塾のある日……30分~1時間
●塾のない日……2~3時間
●土日……5~6時間
このように、土日に5~6時間ほど勉強する子も珍しくなくなってくるのが5年生です。
受験勉強に専念する子が少しずつ増えてくるのも、この時期からです。とはいえ、他の習い事をすべてやめてしまう必要はありません。スケジュールはタイトになりますが、受験勉強と一つか二つの習い事を両立させているケースも珍しくありません。
目標の学校の方向性を決めよう
5年生の時期は、まだ志望校を確定させる必要はありませんが、「第一志望はどうしようか」という方向性くらいは、そろそろ決めていきたいところです。
興味のある学校の行事や説明会には足を運びつつ、「この学校に行きたい!」「あの学校を目標に勉強していこう」というイメージを持っておきましょう。
当然ながらこの段階では「Aの学校とBの学校で迷っている」という方は多いですが、それであれば「A校かB校かどちらかに行く」と、そのくらいのイメージでかまいません。
また、現在の成績からするとちょっと難しいかなと思う学校でもOKです。まだまだ成績は伸びます。ぜひ行きたいと思う、目標の学校を考えればいいのです。
目標が明確になると勉強の励みにもなりますし、余裕を持って学校の情報を集めることができます。
5年生でやっておくべきこと
<学習>
□算数:コンスタントな学習を続ける/抽象的な概念は意味を考えながら練習/「変化を追う問題」では視点を絞り込むのがポイント
□国語:抽象度が高い文章・問題が増えるので、その読み方を習得する
□理科:「知識」「しくみ」「解法」とそれぞれの単元で問われるポイントを押さえながら勉強しよう
□社会:「歴史」は年表をまとめ、「時代のものさし」を頭に作ろう
<準備>
□第一志望にしたい学校の方向性を考えておく
□引き続き文化祭や説明会などの機会があれば参加しよう
<Point>積み重ねが大事な時期!
<本稿は『SAPIX流 中学受験で伸びる子の自宅勉強法』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>
(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)
【著者】
小川晶子(おがわ・あきこ)
教育・学習ライター、絵本講師。東京都立大学教育学科卒業後、商社勤務を経てライターとして独立。多くの実用書制作に携わる。二人の子どもを出産後は、子育て・教育系の書籍、子ども向けの書籍制作がメイン。「本と教育」に興味があり、絵本の読み聞かせ活動にも積極的に関わっている。自著に『文章上達トレーニング45』(同文舘出版)『オタク偉人伝』(アスコム)『超こども言いかえ図鑑』(Gakken)がある。
(協力)
SAPIX小学部
◎関連記事