SAPIXが低学年の親に「家族旅行」を勧める理由
低学年は「学ぶことが楽しい」環境づくりを
中学受験に向けたカリキュラムは新4年生(3年生の2月)から始まります。
今は中学受験を意識して塾に通い始める時期が早まっていますが、低学年のうちにやっておきたいのはいわゆる受験対策ではありません。
「学ぶことは楽しい」と思える環境を作るのも、大事なことです。
SAPIXの溝端先生は、「低学年でやっておきたいこと」として、大きく三つのことを挙げています。
①興味の幅を広げる
②自分なりに考える経験を積む
③漢字や語彙、計算の練習をする習慣をつける
今回はこのうち「①興味の幅を広げる」について解説していきましょう。
<低学年でやっておきたいこと>①興味の幅を広げる
前向きに学び続ける力は一生ものです。大人になっても、夢や目標を叶えるため、あるいは問題を解決するため、前向きに学ぶことができれば人生をよくしていくことができます。
中学受験も、前向きに学び続ける力がとても大切です。
「学ぶって面白い!」「もっと知りたい!」
そんな気持ちを大切にしてください。子どもは本来、好奇心旺盛で知りたがり屋なものです。周囲の大人は、それをつぶすようなことがあってはならないのはもちろん、さらに興味の幅を広げられるように働きかけることが大事です。
子どもが何に関心があるのかわからないときは、お父さんお母さんが好きなもの、面白そうだと思うものがあれば、「一緒に見てみようよ」と誘ってみてください。何にハマるかは子どもによってさまざまなので、せっかく用意しても興味を持たないということもあると思いますが、それでかまいません。一つでも興味を持ったらOKと考えましょう。とにかくいろいろな対象に触れさせてあげることが大切です。
SAPIXの低学年の授業では、「これ面白い!」と思ってもらえるように、さまざまな入り口を用意しています。
たとえば、3年生の理科では透明なアクリル板と曇ったアクリル板を見せながら、「透明なアクリル板を曇らせるにはどうしたらいいと思う?」「逆に曇ったアクリル板を透明にするにはどんな方法があると思う?」と聞き、意見を出し合います。そこから、「透明ってどういうことだろう?」と興味を広げていきます。
国語なら面白い物語文。算数ならパズルやゲームの要素を入れる。社会なら日本各地の特徴に触れていくなど、興味を持ってもらう工夫をしています。
興味を持つ→知る・わかる→面白い!
という経験をたくさんした子は、学ぶことに前向きになります。自然と観察力も身につき、同じものを見たり聞いたりしても、得られる情報量が多くなるのです。
旅行の体験で得られる最高の学び
塾では、子どもたちの興味をひきそうな、さまざまなものを用意しますが、家庭でしかできないこともあります。
その代表が旅行です。旅行は発見の宝庫です。
たとえば、山に行くと、さっきまで晴れていたのに急に雨が降って驚くことがあります。「山の天気は変わりやすいって言うけど、なぜなんだろうね?」と話し合ってみたり、一緒に調べてみると面白いかもしれません。石が好きな子なら、川できれいな石を拾いながら「石の色の違いは何からきているんだろう」と考えるのもいいですね。
旅行先の土地の名産や歴史的な建造物も、調べてみると発見があることでしょう。体験を通じて感じたこと、驚いたことは、最高の学びです。
学年が上がって、テキスト等で学習するときも「あの旅行で見た!」と思えば吸収力が違います。
残る2つの「低学年でやっておきたいこと」については近日配信予定の別の記事でお届けします。
<本稿は『SAPIX流 中学受験で伸びる子の自宅勉強法』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>