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長期金利と短期金利は何がどう違うか知っていますか

「長期金利の上昇が続き、住宅ローンを新たに借りる人に影響が出ている」というニュースを最近よく見かけます。一方、金利には「短期金利」もあります。短期と長期、どう違うかご存じですか?

「『金利』を実はわかってない人に知ってほしい超基本」(6月1日配信)に続いて、マネー知識ゼロの超・文系編集者が元国税局のお金のプロにお金に関するあれこれを全部聞いたベストセラー『すみません、金利ってなんですか?』よりお届けします。

『すみません、金利ってなんですか?』(サンマーク出版) 小林義崇
『すみません、金利ってなんですか?』

金利は「日銀」次第で決まる

梅田直希 サンマーク出版編集部(以下、梅田):そういえば、銀行って、それぞれ好きに金利を決めているんですか? 「うちは○%」「なら、こっちは△%」って。

小林義崇(以下、小林):では、身近な普通預金の金利の決まり方についてお話ししましょうか。梅田さんがおっしゃるとおり、金利は各金融機関がそれぞれの基準で決めています。

梅田:じゃあ、金利が高い銀行を探せばいいわけですね!

小林:とはいえ、残念ながら実際はどこの銀行の金利も、たいてい横並びになるものなんですよ。強いていうと、実店舗を持たず口座開設や振り込みなどの手続きをパソコンやスマホで行う「ネットバンク」の金利は比較的有利になる傾向がありますが、その差は普通預金であれば「0・01%」「0・1%」など1%以下の単位ですから、よほどの資産家でなければ大きな影響はないでしょう。

梅田:なんで横並びになるんですか?

小林:お金の流れを考えれば見えてきますよ。お金の流れは実はとてもシンプルで、いちばん上流に「日銀」がきます。実は、どこの銀行も日銀からお金を借りて事業をしていて、ここに疑問を解くカギがあります。

梅田:日銀って「日本銀行」の略称ですよね? 一番偉い銀行的な

小林:ものすごく簡単に言うと、「銀行にお金を貸し出す銀行」です。

梅田:日銀からお金を借りるということは、当然そこに利子、つまり金利がつくわけですよね。

小林:はい、その通りです! 歴史をさかのぼると、1994年頃まで、日銀は「公こう定てい歩ぶ合あい」という指標に基づき金融機関に貸し出す金利を設定し、その結果として各金融機関の預金などの金利が決められていました。つまり「銀行が日銀からお金を借りるとき」の金利は、どこも同じ。となると、「それぞれの銀行がお客さんにお金を貸すとき」の金利もだいたい同じレベルに揃そろうものなんです。

すべての銀行は日銀からお金を借りて、経営をします。そう考えると、金利が似てくるのは当然ですよね。仮にA銀行が低金利の貸し付けをスタートしても、結局他の銀行が即座にマネして同じくらいになるのは予想がつきますから。

梅田:今は違うんですか?

小林:はい。今は公定歩合と預金などの金利は連動していません。その代わり、日銀は「金融政策決定会合」によって市場の金利を調節する方針を決定し、この決定に基づいて「公開市場操作」を実施することで世の中の金利をコントロールしています。

梅田:また難しい言葉が……

小林:やや複雑な話なので詳しいことは省略しますが、公開市場操作とは日銀が各銀行に供給するお金の量を調節することです。この調節は日銀のみが行えて、この公開市場操作によって、日銀は日本の市場全体に出回るお金の量をコントロールしているんです。

梅田:お金の量と金利がどう関係するんですか?

小林:一般的に、市場のお金が増えれば金利は下がり、逆に市場のお金が減れば金利は高くなります。たとえば、市場にお金が増えると、企業や個人の収入が増えやすくなるので、わざわざ高い金利でローンを組もうという人が少なくなりますよね。そうすると、銀行はローンの借り手を増やそうとして金利を下げます。

逆に、市場のお金が減ると、「お金が足りないから、金利が高くても貸してほしい」という企業や個人が増え、金利は高くなる方向に動きます。金利には景気や物価なども複雑に影響しますが、大きな要素として日銀の存在があることは覚えておいていいでしょう。

金利には「短期」と「長期」の2種類がある

梅田:なるほど。結局、今も金利は日銀次第ということなんですね。さらに銀行間の牽けん制せいが働いて、どの銀行もだいたい同じ金利でお客さんにお金を貸したりお金を預かったりしている、と。

小林:はい。ただし、ここまでお話しした金利の決め方は、普通預金や1年未満の定期預金の金利に影響する「短期金利」の話です。ローンや1年以上の定期預金は「長期金利」に連動するので、少し仕組みが違います。

梅田:長期金利?

小林:はい。長期金利については、市場で売買されている「10年ものの国債」の金利がベースとなっています。つまり、10年後に満期が来て現金化できるタイプの国債ですね。

梅田:国債って国の借金のこと、ですよね?

小林:あ、国債についてはまた後で詳しく説明することにして、ここでは「国が発行する信頼度の高い金融商品」くらいに思ってください。

梅田:商品ということは、お金を出して購入するもの、ということですか?

小林:そうです。「10年ものの国債」を10万円分買ったら、比較的いい金利が10年間ついて元の10万円が増えて戻ってくる、そんなイメージです。国債の金利は、そのときどきの国内外の景気の動向などの影響を受けて変化します。長期金利は、この国債の金利に合わせて動いていくことになります。

梅田:急に難しい話になりましたね。でも、長期間の定期預金の金利やローンの金利も、結局他の銀行との競争になれば横並びになるものなんでしょうか?

小林:その通り。金利がとても高い銀行や破格に安い銀行など、極端になることはないですね。銀行という業界内で、金利のレベルは横並びに落ち着きます。実際には「金利は他の銀行と合わせざるを得ない」といったほうが正しいかもしれませんが。

「過払い金」も金利の話だった

小林:(ちょっとここで身近なトピックを入れたほうがいいかな)ちなみに、ここ数年CMでよく流れている「過払い金」も金利に関するトピックですよ。知ってます?

梅田:! 聞いたことあります。あの、めっちゃあおってくる感じのCMですよね。

小林:お金を借りるときに金利がつくことはわかりましたよね。この金利は、2010年に改正貸金業法が施行されたことにより、15~20%と上限が定められています。つまり、この上限を超えた金利は法律上無効なんです。

梅田:無効、ということは払わなくてもいい?

小林:そうです。ところが、法が施行される前にお金を借りて、改正後も返済を続けている人もいますよね。そういう人は、放っておくと上限を超えた金利をずっと支払うことになりかねない。つまり、金利を払い過ぎている可能性があるわけです。

梅田:払い過ぎだから、「過払い金」なんですね。

小林:そう、金利の過払いです。そのような人は、貸金業者に対して過払い金の返還を求めることができます。本来は支払う必要のない金利を取られていたわけですから、これを取り戻せるというわけです。

梅田:なるほど。じゃあ、2010年以前にお金を借りて、今も返済している最中の人は金利のパーセンテージをチェックしたほうがよさそうですね。

小林:その通り。また、すでに借金を完済した人であっても、過払い金の返還請求をすることができます。ただし、過払い金には時効があるため、借金の返済が終了した日から10年以内に過払い金の返還請求を行う必要がありますが。

梅田:それにしてもここ数年、過払い金のCM、よく見ますよね。

小林:過払い金を請求できる人が、それだけ多いということなんでしょう。自分だけで過払い金の請求をするのはハードルが高いので、弁護士に依頼したほうが安心かもしれません。

弁護士に依頼するお金が手元になくても、相談は無料の弁護士事務所もあり、実際に過払い金が返還されたらその一部を弁護士報酬にすればいいというケースもあるので、過払い金に心当たりがあって不安な人は相談してみるといいでしょう。
<この記事の続きは後日配信します>

<本稿は『すみません、金利ってなんですか?』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>

(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)
Photo by Shutterstock

【著者】
小林義崇(こばやし・よしたか)
元国税専門官、フリーランスライター、Y-MARK合同会社代表


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