映画『もしも徳川家康が総理大臣になったら』豪華キャストだけじゃない重要な見所
「俳優業をしていてもなかなかお会いできない方ばかり。キャスティングを聞いた時には“豪華”すぎてちょっと笑ってしまった」
4月22日に東京・日比谷の帝国ホテルで開かれた映画『もしも徳川家康が総理大臣になったら』(7月26日全国公開、通称「もし徳」)の製作報告会。武内英樹監督や主要キャスト5人とともに登場した主人公で、最強内閣のスクープを狙う記者・西村理沙役を演じる浜辺美波さんは、会見中に“豪華”という言葉を9回も繰り返していました。
浜辺美波さん「なんか不思議な感覚でした」
浜辺さんといえば今年3月、視覚効果部門でアカデミー賞を受賞した映画『ゴジラ-1.0』でヒロインを演じたほか、数々の映画、ドラマに出演し、CMにも引っ張りだこ。誰もが認める国民的スターです。
「もし徳」のキャストは、その浜辺さんにも“豪華”と言わしめるほど。「偉人の皆さんを撮影現場で衣装で初めてみて、ちょっとしたテレビを見ているような感覚というか、豪華すぎて。偉人パートと記者パートの撮影には時間差があったので、待ち時間もずっと偉人をボーッと眺めているだけで時間が過ぎていった。なんか不思議な感覚でした」というのです。
「もし徳」は、徳川家康をはじめ歴史上の偉人が現代へと勢揃いするだけでなく、それらを演じる俳優陣も名だたるビッグネームばかりという、壮大な作品です。
「顔ぶれを見ただけでも楽しい」(野村萬斎さん=現代の総理大臣に任命された“江戸幕府を作り上げた伝説の男”徳川家康役)
「初めて皆さんとお会いした時に時代がバラバラすぎて、脳の処理が追いつかなかった」(赤楚衛二さん=内閣官房長官・坂本龍馬役)
「皆さん、キャラ出しがすごい」(GACKTさん=経済産業大臣・織田信長役)
「すごいメンバーが揃っている」(竹中直人さん=財務大臣・豊臣秀吉役)
「笑って感動して驚くようなお祭りムービーになっている」(観月ありささん=文部科学大臣・紫式部役)
AIで復活! 歴史上の偉人たちで構成された最強内閣
「もし徳」の原作は同名でサンマーク出版から発行されている『ビジネス小説 もしも徳川家康が総理大臣になったら』(著:眞邊明人)。2021年の発売からこれまでに累計14万部のヒットに。
舞台はコロナ禍真っ只中、2020年の日本。首相官邸でクラスターが発生し、あろうことか総理大臣が急死してしまいます。そこで政府が実行した最後の手段は「歴史上の偉人達をAIで復活させ、最強内閣を作る」こと。
“もしも”徳川家康が総理大臣だったら、今の日本をどう導くのだろう?
“もしも”歴史上の偉人がコロナ禍の日本に現れたら、どうやってピンチを乗り越えるだろう?
そんな夢物語のような展開で、窮地に追い込まれた日本を救うべく、総理大臣に任命された徳川家康をはじめ、誰もが知る日本の歴史に名を刻む錚々たる偉人が、議員バッジをつけ大集結します。圧倒的なカリスマに加え、政策を推し進める“えげつない”実行力に人々は驚愕し、日本中が熱狂していくのですが、その裏側では黒い思惑も渦巻いて――。
「もし徳」の「偉人ジャーズ」がピッタリな理由
「もし徳」はハリウッド映画『アベンジャーズ』になぞらえて「偉人ジャーズ」と銘打っています。
アイアンマン、キャプテン・アメリカ、マイティ・ソーなどのスーパーヒーローたちが大集結して強大な敵に立ち向かうのがマーベル作品のアベンジャーズ。それ単独ではなく、数々のヒーロー映画作品が折り重なって伏線を張りながら合流するような多面性と奥行きを持って構成されたシリーズです。
対する「もし徳」は、アベンジャーズのような複数映画でこそ構成されていませんが、歴史に残る複数の偉人たちの物語や功績こそが伏線。徳川家康を演じる野村萬斎さんはこう明かします。「(偉人たちの)それぞれの時代の知恵をうまく使って話が進んでいく。歴史好きもニヤリとするような、そうきたかというツボるところがある。ハマりますよ」
日本史に詳しければ尚更楽しめるはずですが、教科書で習ったほどの知識があれば、バックグラウンドがわかる偉人たちが集うストーリーは胸熱なはずですし、多面性も奥行きもある。だから「偉人ジャーズ」なのです。
武内監督「偉人たちが今の日本人を見たらどう思うか」
そして豪華キャストだけでなく、そのストーリーが持つメッセージ性も「もし徳」の魅力です。
『テルマエ・ロマエ』(2012年)や、『翔んで埼玉』(2019年)など、数々のコメディ実写化を大ヒットへと導いた、日本映画界のホームランバッターである武内監督は、映画「もし徳」について「面白くてためになる作品を作りました」と明かし、製作報告会の司会者から原作の小説を読んだ印象を聞かれ、こんな話をしてくれました。
「ビックリ箱みたいな面白い設定なんだけれども、読み終わった時に日本人としてちょっと背筋が伸びるような。偉人たちにこういうことを言われたら、偉人たちが今の日本人を見た時に、どういうふうに思うんだろうかという考えにすっかり引き込まれて(「もし徳」の映画を)作りたいと思いました」
6kgの減量と無精髭で坂本龍馬役に挑んだ赤楚衛二さん。人生で5回目の豊臣秀吉役を演じ、撮影現場の明るいムードを作った竹中直人さん。当初はオファーを断りながらも、織田信長役を引き受け、ミステリアスな信長を演じるために他のキャラクターと仲良くならないようにしたというGACKTさん。計15〜16kgの十二単とカツラを抱えて演技した観月ありささん。それぞれのプロに徹した裏話も製作報告会の見どころでした。
ひるがえって内閣支持率が2割程度に低迷する今の日本。今の私たちに「もし徳」は何を示唆してくれるでしょうか。映画公開に合わせて帯を作り直し、全国の書店で販売されているサンマーク出版の原作『ビジネス小説 もしも徳川家康が総理大臣になったら』にも、ぜひご注目ください。
(取材・執筆:武政秀明/Sunmark Web編集長)