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【テレビで紹介!】食後の眠気は病気連鎖の始まり?「糖質疲労」が体を壊す

 今年3月の発売以来、13万部を突破している『糖質疲労』(サンマーク出版)の著者で、北里大学北里研究所病院・糖尿病センター長の山田悟さんが、12月27日放送のテレビ朝日系「羽鳥慎一 モーニングショー」に生出演。「『糖質疲労』食後の眠気は危険サイン 食べる“順番”新常識」というテーマで特集が組まれました。

 多くの視聴者が経験しているという「食後の眠気やだるさ、集中力が続かない、イライラする」などといった状態である「糖質疲労」の危険性が話題に。「唐揚げにマヨネーズをかけて食べてもいい」「三角食べは糖質疲労を予防しきれない可能性がある」「居酒屋食べがいい」などという山田さんの話に、出演者からは驚きの声が上がり、血糖値を抑える食事メニューなどについても紹介されました。

『糖質疲労』(サンマーク出版) 書影

 「糖質疲労」とは、一体どのような状態なのでしょうか。

午後の眠気は病気の前触れ?

 「ランチタイムも終わりに近づく午後2時。オフィスで仕事に向かおうとするものの、どうにも眠気が襲ってきて...」

 誰もが一度は経験したことのある、この"午後の眠気"。「今日は忙しいのに...」とまぶたの重さと戦いながら、コーヒーで気合を入れ直した経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

食後高血糖が引き起こす症状の連鎖

 実は、睡眠不足でも過労でもないのに感じるこの何気ない症状が、深刻な病気の引き金になりかねません。山田さんは、この要注意な症状を「糖質疲労」と名付けました。

 「具体的には、食後に眠くなったり、だるくなったり。あるいは十分に食べたはずなのに、すぐにお腹が減ってしまったり、集中力が途切れたり、イライラしてしまったり...。この正体は、食後の血糖値が正常値の140mg/dlを超えて急激に上昇し、その後急降下する『食後高血糖』と『血糖値スパイク』という現象なんです」

放置すると始まる「メタボリックドミノ」

 この血糖値の乱高下が続くと、やがて重大な病気へと連鎖していく可能性があると山田さんは警告します。

 「まだ病気とまではいえない段階なので、すぐに薬を飲む必要はありません。ただし、放置しておくと、いずれ糖尿病・肥満・高血圧症・脂質異常症という形でドミノ倒しのように連鎖していく可能性があります。私たちはこれを『メタボリックドミノ』と呼んでいます」

健康的な食生活のつもりが...

 特に注目すべきは、この症状が健康意識の高い人にも多く見られるという意外な事実です。朝はさっぱりとフルーツだけ、昼は喉越しの良いそばで済ませ、夜は油を控えたヘルシーな食事――。一見すると理想的に思えるこうした食生活が、実は血糖値の乱高下を招いているのです。

 「中国の研究では、成人の2人に1人が食後高血糖を起こしているという報告があります。おそらく日本人も同じような状況でしょう。さらに気をつけなければならないのは、通常の健康診断で測る『空腹時血糖値』が正常値でも、食後の血糖値が急上昇している可能性があるということです」

痩せている人も要注意

 「でも私は太っていないから大丈夫」。そう思っている方も要注意です。この症状は、必ずしも肥満している人だけの問題ではありません。

 「痩せていても運動していても、食後の血糖値が急上昇する可能性があるんです。実は私自身、糖尿病を専門とする医師でありながら、自分が危険な状態にいることに気づかなかった。血糖値の変動が持続的にわかる医療機器で測ってみて、初めて『これはまずい』と気づいたんです」と山田さんは自身の経験を語ります。

食べ方を変えれば防げる

 では、どうすれば糖質疲労を防げるのでしょうか。山田さんは「食べ方を変えること」を提案します。具体的には、以下の3点がポイントとなります。

1. 糖質の量を控えめにする
2. タンパク質と脂質を十分にとる
3. 食事の最後に糖質を食べる(これを「カーボラスト」と呼びます。食後の血糖値の上昇を緩やかにする効果があります)

「油を控えめに」は間違いだった

 ここで特に興味深いのが、これまで「控えめにすべき」と考えられてきた脂質の摂取についての新たな知見です。

 「実は、唐揚げにマヨネーズをかけて食べても問題ないんです。むしろ、脂質を控えることには健康上のメリットがないことが科学的に明らかになっています」と山田さん。

 この発言には、多くの人が驚くかもしれません。しかし、2015年にアメリカの食事摂取基準で脂質の上限量が撤廃されたように、世界的に見ても「脂質制限」の考え方は大きく変わってきています。

 実際、権威ある医学雑誌に掲載された研究では、糖質だけを控えて必要なだけ脂質をとるグループのほうが、従来の脂質制限食のグループよりも、減量効果が高く、血液データも改善したというデータが報告されています。

 「ステーキの脂身も遠慮なく食べていいんです。トーストなら、バターを薄く塗るのではなく、思い切って塊で乗せても大丈夫。実はこれまでの50年近く、脂質を控えることが健康に良いと信じられてきましたが、それは科学的な根拠のない思い込みだったことがわかってきたんです」

 ただし、これは決して"何を食べてもいい"というわけではありません。糖質の量や食べる順番に気を配りながら、必要な栄養素をしっかりと摂ることが重要だと山田さんは強調します。

 「糖質疲労の段階で気づいて対処すれば、深刻な病気への進行を防げます。これは究極の未病対策といえます」

 毎日のように感じる午後の眠気。それは実は、あなたの体からの大切なメッセージかもしれません。

(執筆:武政秀明/Sunmark Web編集長、編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)