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お金がどんどん増える人にもたらされる重力の恩恵

 とてつもなく貧しい境遇から成り上がり、韓国人として初めて、アメリカの外食産業で大成功――。お金をどのように使うべきか。お金をどのように使ってはいけないか。ゼロから本物の富豪になった者だけが知る「お金の小さな秘密」。希代の起業家が語る「伝説のお金の授業」を書籍化したのが『お金は君を見ている 最高峰のお金持ちが語る75の小さな秘密』です。

 著者のキム・スンホさんは「お金にも宇宙と同じ重力がある」と説きます。韓国で100万部の大ヒット、2020〜2023年に4年連続ベストセラーとなった本書の邦訳版より一部抜粋、再構成してお届けします。

『お金は君を見ている 最高峰のお金持ちが語る75の小さな秘密』(サンマーク出版) キム・スンホ
『お金は君を見ている 最高峰のお金持ちが語る75の小さな秘密』

お金にも宇宙と同じ重力がある

 重力は現代物理学における基本相互作用のひとつだ。

 ニュートン(Isaac Newton)によれば、「重力は質量を有するすべての物体のあいだで作用する」。

 つまり重力とは、質量をもつ物体同士で作用する力のことだが、その力の大きさは各物体の質量に比例し、近い場所にある物体を引き寄せるのはもちろん、非常に遠くにまで影響を及ぼす。距離の2乗に反比例して、遠くなるほど力が弱まりはするが、遠い距離にも作用するのだ。

 地球で暮らす私たちには重力の巨大な力が感じられなくても、地球を飛び出そうとする宇宙船は、時速4万㎞のスピードをもってようやく地球の重力圏から抜け出せる。宇宙空間を漂う流れ星を地球に引き寄せるのも重力の働きだ。

 地球は月より重いため、その重力もより強い。

 また、太陽は地球より巨大で重いため、さらに遠くまで重力の影響を及ぼしている。この影響力を目で確認することができる。

 それが、太陽系だ。

 不思議なことに、お金もこの重力と同じ作用をもっている。

 お金はほかのお金に影響を与える。

 金額が大きいほど、ほかのお金に及ぼす影響も大きい。

少額のお金を大金に変えることもできる

 お金には近くのお金を引き寄せる力があり、まわりのお金にも影響を与える。

 お金が重力のように作用する原理をうまく利用すれば、少額のお金を大金に変えることもできる。

 例えば漢江(ハンガン)は、江原道太白市蒼竹洞(カンウォンド・テベクシ・チャンジュクトン)の倹龍沼(コムニョンソ)という小さな沼に発する水が、江原道、忠清北道(チュンチョンブクド)、京畿道(キョンギド)、ソウルを経て朝鮮西海まで494㎞にわたる大きな流れをなす。

 全長6992㎞、河口の川幅が480㎞、毎秒20万9000㎥の水を海に吐き出すアマゾン川も、ペルー南部アンデス山脈のミスミ山(Nevado Mismi)から流れ出す小川から始まっている。

 私たちが暮らす巨大な地球も、1個の小さな粒子が周囲の粒子を引き寄せて量(かさ)を増し、5,972,000,000,000,000,000,000トンという現在の姿になったのだ。このように、どれほど小さなものでも、その属性を理解すれば、まわりのものを引き寄せて量を増やし、大きく育つことができるし、こうやって増えた資本は、ほかの資本をさらに多く引き寄せるようになる。

「お金がどんどん増える人」は何をしているのか

 あなたが1億円を貯めようと決心したとする。

 1億円貯めるには、月給30万円のサラリーマンが一銭残らず貯蓄して約28年かかる。それに必要な時間と労力は大変なものだ。

 しかも、これは収入の全額を貯蓄した場合の話であり、投資をしたとしても、一銭の損失も許されない。給与の半分を貯蓄に回しても、約56年もかかる。しかし、お金の重力について理解すれば話は変わる。世界の富豪で、こんなやり方でお金を貯める人は誰もいないし、こんなふうに資金を動かす人もいない。

 まず、1億円貯めるには1000万円が必要だ。

 そして1000万円貯めるには100万円が必要だ。

 その100万円は、毎月10万円、またはそれ以上を貯めることから始まる。

 がんばって1年で100万円貯めたとしよう。

 この100万円を貯めるための努力を100とすると、次の100万円を貯める努力は、最初の100万円のときの100より 小さくてすむ。なぜなら、先の100万円が利子や投資によって増えているからだ。

 最初の100万円は、あなたの労働と時間だけを使って、あなたひとりでつくられたものだが、この100万円が勝手に働いてあなたを助けてくれるので、ふたりで協業するようなものだ。つまり、あなたと資本がさらに資本を生み出すためにともに働いているわけだ。

 そのため、2回目の100万円を貯めるための努力は95くらいだと言える。

貯めていくに従い、努力の数字は小さくなる

 この数値は、2回目、3回目と100万円ずつ貯めていくに従い、どんどん小さくなる。

 最初の100万円を貯めるのに10カ月かかったとすると、2回目の100万円は9カ月半、次は7カ月、その次は5カ月というふうに減っていく。

 最初の100万円に100の努力を費やしたとすると、合計1000万円となる最後の100万円を貯めるには、わずか20か30ほどの努力ですむわけだ。

 このように1000万円を貯めれば、その1000万円が同じようにして数年後には数千万円、さらに時が経てば1億円になり得る。

 財産が増殖する過程を見ると、1、2、3、4、5というように等差数列的に増えるのではなく、1、2、4、8、16というように等比数列的に増えていく。この原理を理解すれば、誰でもお金持ちになることができる。重力が全宇宙に及んでいるのを見ればわかるように、重力は宇宙の根本的な力であり、世界を構成する原理のひとつだ。

 この原理は、増えていくものにはなんにでも当てはまる。ただ、お金は物体ではないため、お金を貯めようという人間の意志が必要なのだ。

<本稿は『お金は君を見ている 最高峰のお金持ちが語る75の小さな秘密』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>

【著者】
キム・スンホ
スノーフォックスグループ会長。
韓国人として初めて、アメリカでグローバル外食企業を成功させた実業家。
創業したスノーフォックス社は、世界11カ国に3900の店舗と1万人の従業員を抱えるグローバル企業。年間売り上げ1兆ウォンの目標を達成、米ナスダック上場を控えている。出版社、生花流通業、金融業、不動産業も営みながら、農場経営者の顔も持つ。
韓国中央大学校ではグローバル経営者養成コースの教授も兼務。韓国と世界を行き来しながら、最近5年間で3000人あまりの事業家を養成。「社長を教える社長」として知られる。
本書は、インターネット上で動画が1100万回以上再生された「伝説のお金の授業」の書籍化。2023年まで4年連続でベストセラーとなり、100万部に到達した国民的な「お金の教科書」。

【訳者】
吉川 南(よしかわ・みなみ)