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「すぐやる脳」に変わるには“見切り発車”するぐらいでちょうどいい理由

 やらなければならないとわかっていても、あれこれ理由を付けて先延ばしにしがち。どうせやるなら「完璧を目指したい」――。

 そんな癖のある人は要注意かもしれません。

 仕事でもプライベートでも結果を出せない人ほど、「『やるまでの時間』がムダに長い」と指摘するのは脳神経外科医で『すぐやる脳』の著者、菅原道仁さん。まず着手することによって、やる気は後からついてくるものなのです。

 今回は完璧主義な人にこそお勧めしたい「見切り発車」の考え方について本書から一部抜粋、再構成してお届けします。

『すぐやる脳』 サンマーク出版
『すぐやる脳』

「β版」で見切り発車しよう

 脳科学的に言うと「完璧なんて目指さない」という姿勢こそが、「すぐやる」を可能にしてくれます。

「満点でなく、合格点でいい」。そんなふうにゴールを下方修正することで、作業の速度が飛躍的に速まることは珍しくありません。

「その代わり、アウトプット(成果物)全体の総量を増やす」、そんなふうに心の中で「脳内トレード(取引)」をすればよいのです。

 理想が高い人であれば、「満点を目指さないなんて、耐えられない!」と感じるかもしれません。けれども、目標を低めに設定することには、デメリットをはるかに上回るメリットがあります。

 まず、「すぐやること」への心理的ハードルが下がり、アウトプット全体の総量が増える可能性が高まります。

 アウトプットを繰り返すおかげで、技術が向上します。

 成功体験が増えることで、自信も強まります。

 すると、より高い次元に挑戦したくもなるはずです。

 少なくとも「完璧主義すぎて、何も手につかず、頓挫(とんざ)してしまった」という最悪の事態は、避けることができます。極論を言うと、合格点スレスレの〝見切り発車〟をするぐらいでちょうどいいのです。

 アメリカや中国をはじめとする、外国資本のインターネットやゲーム関連企業が提供するサービスを考えてみてください。グーグルなど多くの企業が〝β版〟を出しています。

 β版とは、多くの人に使用(プレー)してもらうことで初めてわかるバグや問題点を発見するために、世に出すもの。一般ユーザーに無料で体験してもらい、フィードバック(評価)をもらうという仕組みになっています。一般ユーザーにとっても早く利用できることはありがたいですから、双方にメリットがあります。

 見方を変えるとβ版とはある意味、〝見切り発車〟型のビジネスの代表格でしょう。

 もちろん、「β版でいい」という考え方が許されない業界や業種も多くあります。たとえば、人命にかかわる乗用車の開発現場で「β版でいいだろう」という考え方はありえないはずです。

 けれども、ビジネスパーソン個人の意識レベルで「とりあえずβ版を〝仕上げる〟」という思考法を採用することには、私は大賛成です。

 どのような仕事でも、たったひとりが作業を終えた段階で完結する、ということは少ないもの。修正や各方面からの調整が入るのが常でしょう。そういった意味では、「スピード優先でβ版を完成させて、とりあえず合格点をキープしておく」という目標設定も、ときには正解です。

<本稿は『すぐやる脳』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>

(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)
Photo by shutterstock


【著者】
菅原道仁(すがわら・みちひと)
脳神経外科医

サンマーク出版の公式LINE『本とTREE』にご登録いただくと実際の本と同じレイアウトで『すぐやる脳』の「序章 脳がそれを拒否する理由」「第1章 ドーパミンこそがすべてを決める」(目次含む49ページ)をすべてお読みいただけます。ぜひこの機会にご登録のうえ試し読みをお楽しみください!

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