見出し画像

上司と同僚、「ストレス」になるのはどっち? - ウェルネスライフ

毎日会社に通っている人は、職場の人間関係に何かしらのストレスを感じているものです。そして、それが健康状態に影響を及ぼすことも。

あなたは上司や同僚と良好な関係を築いていますか?

ここでは「職場の人間関係」と「健康」の関係について、『Life is Wellness 「健康な生き方」の科学』の著者・石村友見さんが教えてくださいました。孤独は、寿命にも大きく関係しているようで……。

〈解説〉石村友見
株式会社 Life is Wellness代表

劇団四季で『ライオンキング』に出演後、単身ニューヨークに渡り、ブロードウェイ・ミュージカル『ミス・サイゴン』に出演。その後ヨガスタジオを設立し、レッスンからヨガ講師の育成まで尽力。2018年に発表した著書『ゼロトレ』はシリーズ120万部の記録的ヒットとなり、『金スマ』『世界一受けたい授業』など多くのテレビ番組に出演。

その後、ハーバード大学医学部「Health and Wellness」講義にて、ウェルネスの観点から世界最先端の栄養学をはじめ運動、コミュニケーションについて学ぶ。現在は、ニューヨークと東京を行き来する生活。11歳男児の母。


孤独で死亡率が2倍になる

人の寿命を何が決定するかは様々な因子がありますが、なかでも「つながり」が大きな要因だという説があります。その説を世界的に有名にしたのが、ハーバード大学のリサ・バー クマン博士とレオナード・サイム博士が行った「アラメダ研究」です。

1965年、カリフォルニア州アラメダ郡で、30歳から69歳までの男女6928人を対象に行われたこの研究では、結婚の有無、親族や友人との付き合い、宗教活動、ボランティア活動などの有無をヒアリングし、9年後に追跡調査を行いました。

その結果、社会的に「孤立」している人は、そうでない人に比べて男性で2.3倍、 女性で2.8倍も死亡リスクが高いことがわかりました。

また、のちにバークマン博士は、「お見舞いに来てくれる人の数」で死亡率が変わるという研究も行いました。

急性心筋梗塞の患者を対象に、お見舞いに来てくれる人の数と6 か月以内の死亡率の関係を調べたところ、お見舞いに来てくれる人が2人以上いる患者 は死亡率が26%だったのに対して、誰もお見舞いに来てくれない患者はなんと約70%が亡くなりました

上司と同僚、ストレスになるのはどっち?

ここで、もうひとつ孤独に関する研究データをご紹介しておきます。

テルアビブ大学のアリ・シローム教授が率いた研究は、長期にわたる追跡調査によっ て、「職場環境と死亡率の関係」について明らかにしました。

研究チームは1988年に成人820名に対して標準的な健康診断を行い、その後
20年にわたって彼らを追跡調査しました。この間、被験者たちに対して「職場の状況」について聞き取り調査を実施。あなたに対する上司の態度はどうか? 同僚たちは友好的か? といった内容でした。

同時に、血圧や禁煙習慣、抑うつ状態の有無など、健康状態についても詳しくチェック。

その結果、上司との友好度と死亡率にはほとんど影響がありませんでした。

一方、同僚との友好度が低い被験者ほど高い死亡率を示すことが明らかになりました。職場で「仲間からの社会的サポート」をまったく受けていない、またはほとんど受けていないと感じていた人は、 受けていると感じた人に比べてなんと2.4倍も死亡率が高かったのです。

仕事をしている人なら、誰でもなんらかのストレスを抱えるもの。そんなときに 「仲間」からのサポートを得られているか、得られていないかはとても重要になります。

同僚たちから支援されていると感じた人たちは、「つながり」による力強さと安心を得られ、それが寿命にも好影響を及ぼしたということでしょう。

もちろん上司や、ときには部下との関係性も極めて重要になると思いますが、意外に見落としがちな「近しい同僚たち」と良い関係を築くことが、人間関係をウェルネスにするポイントになるかもしれません。


*石村友見さんの著書『Life is Wellness 「健康な生き方」の科学』には、この記事に掲載された「つながりと健康の関係」をはじめ、体と心をウェルネスにする様々な情報が紹介されています。以下からご覧ください。