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「3」と「4」の間にある「人間の脳が処理できる情報」の意外と大きな壁

 1対1あるいは3人の場なら話せるのに4人以上になると途端に話しづらくなる。そんな経験はないでしょうか。

「多くの人は4人以上の場が苦手」と指摘するのは京都大学で3000億以上の人間の行動パターンを分析した岩本武範さん。なぜ「4」人以上なのでしょうか。

「4人以上の場で会話が苦手になる…じつはみんなそう」(5月18日配信)に続いて、岩本さんが「人が増えるほどイヤになる」原因と対策を徹底解説したロングセラー『なぜ僕は、4人以上の場になると途端に会話が苦手になるのか』よりお届けします。

『なぜ僕は、4人以上の場になると途端に会話が苦手になるのか』(サンマーク出版) 岩本武範
『なぜ僕は、4人以上の場になると途端に会話が苦手になるのか』

なぜ「LINEグループ」は4人以上になるとうざくなるのか

 人は情報が多すぎると脳の処理が追いつかず、パンクしてしまう。このことは、科学的に確認されています。

 では、「うわっ、なんかいっぱいある!」と脳が感じ、処理が追いつかなくなる境界とはどこなのでしょうか。

 僕は、これが「3」と「4」の間にあるのではないかとにらんでいます。

 たとえば、オフィスビルの1階でエレベーターがなかなか来ないとき。

 目的の場所が2階や3階であれば、「よし、運動だと思って階段で上るか」と、ちょっとがんばってみようという気持ちになる。

 ところが4階だとどうでしょうか。

「うーん、ちょっとしんどいな。エレベーターを待つか」とくじけてしまいませんか。

 晩ご飯の品数はどうでしょう。

 ご飯、みそ汁、おかず1品の計3品だと少ない気がして「なんだか今夜は質素だな」と少しテンションが下がってしまいますが、おかずがもう1品増えて4品並ぶと、いっぱいある感じがして「おっ、なんだかバランスよさそう」と満足できる。

 ミュージシャンはどうでしょう。

 2人組のB`zはボーカルが稲葉さんでギターが松本さん。3人組のパフュームはのっち、あ〜ちゃん、かしゆか。

 ところが4人組になると途端にあいまいになる。国民的人気バンド、ミスチルでさえ、「あれ? 2人くらいぼんやりしている人がいる」となりませんか。AKBなんて、もはやパニックです(ファンの人、すみません)。

 SNSはどうでしょう。

 Facebook、X、インスタグラムなどいろいろありますが、2つ、3つは取り組んでいても、4つやっている人というのは稀まれではないでしょうか。

 僕の場合はメール。

 最近はパソコンメールやスマホメールなど、いろいろなところでメッセージを受信します。3つまでは把握できていたのですが、そこにLINEが登場して4つになった途端、「どこに来たメッセージだっけ!?」と急に管理が大変になりました。

 LINEでいうと、3人のLINEグループならなんとなくメッセージが来ても気楽に返せるのですが、4人になった途端「連絡がいっぱい来る感じ」がしてめんどくささが増し、反応するときも「この人には返信したから、こっちにも返信しないといけないかな」と気を遣って疲れ、しばらくすると「誰かが返信してくれるからいっか」と、既読スルーする人が1人、2人出てくるそんな傾向はないでしょうか?

 ほかにも「トップ3」という言い方はよくしますが、「トップ4」とは言いません。

 オリンピックもそう。金メダル、銀メダル、銅メダルの3位までは記憶に残りますが、4位以降の選手って、たとえ入賞していても、名前や顔すらもわからない。

「三大欲求」や「日本三大○○」など、「三大○○」という表現はよくしますが、「四大○○」とはあまり言いません。

 ほかにも取り上げたい「3と4」は本当にたくさんあるのですが、ざっと見ただけでも、「どうやら脳は、4以上だと『たくさんある』と感じて処理しきれない」、そんな気がしてきませんか?

陳列を「3列」から「4列」に変えたら売り上げが落ちた

 僕がこれを確信したのはある商品の陳列で、こんな発見をしたときです。

 商品というのは、1列に置くよりは2列、2列で並べるよりは3列で陳列したほうが売り上げは1・2倍ずつ伸びます。

 ある調味料の新商品をテスト販売することになり、いくつかの店舗で「3列で置く」ことになりました。

 どの店舗も売り上げは順調に伸びていたのですが、1店舗だけ売り上げが思うように伸びないトラブルが起こったのです。

 調べたところ、ほかの店舗と違っていたのは、手違いで4列並べていた点。僕のミスで列数を増やしてしまったのですが、それでかえって売り上げが減っているとは、正直そのときは思いませんでした。

 しかしながら、ほかに原因が見当たらなかったので、首を傾かしげつつも、翌日はまた3列に戻すことに。

 すると、売り上げが元に戻ったのです。そして、この現象は牛乳パックなどほかの商品でも起きることがその後の調査でわかりました。

 1列よりは2列、2列よりは3列並べるほうが売り上げは伸びる。でも4列並べた途端、売り上げは想定より落ちてしまう。

日常に潜む「3と4の違い」、そしてこのスーパーでの商品陳列での経験から、どうやら「3」と「4」の間にこそ脳の処理能力の壁があるらしいと、確信するに至ったのです。

<本稿は『なぜ僕は、4人以上の場になると途端に会話が苦手になるのか』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>

(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)
Photo by Shutterstock


【著者】
岩本武範(いわもと・たけのり)
1975年、静岡市出身。静岡産業大学准教授、博士(工学/京都大学)。人の行動データ分析、ウェルビーイング、心の余裕の追究などを研究の専門領域としている。

『なぜ僕は、4人以上の場になると途端に会話が苦手になるのか』(サンマーク出版) 岩本武範

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