世界中を回る僕が日本人の「掃除」を誇りに思う訳
学校で子どもが掃除をする国は日本以外にほとんどない
2022年にカタールで開催されたFIFAワールドカップ。そう、サッカーのワールドカップだ。
世界中が注目する大会において、歴史的勝利を収め、日本中が絶叫したドイツ戦後のこと。
日本のサポーターたちは、スタジアムのゴミ拾いを自発的に始めたのだとか。
勝利に酔いしれ、その興奮のまますぐにでも夜通しのお祝いに繰り出してもおかしくない。
しかし、日本のサポーターたちは、勝利した日本の選手たちがピッチを去るのを見送った後、すぐにスタジアムに散乱している食べ物や飲み物のゴミ拾いを開始したのだという。
BBC(英国放送協会)はその動画を公式のツイッター(現X)アカウントに投稿し、「日本のファンたちの品位ある振る舞い」と讃えた。
実は、そのカタール大会から4年遡ったロシア大会で、あの日本がベルギーに惜敗した後にも、同じことが行われたという。
そして、日本が出てもいない試合の後でさえ。
日本が勝とうが、負けようが、出ていなかろうが、一貫したその姿勢は、なんと観客席にとどまらない。
FIFAは、ドイツ戦で日本代表が使用した更衣室の写真をツイッター(現X)に投稿した。
その写真が語ったのは、試合後の選手やスタッフたちが、ゴミひとつない状態で更衣室を後にしたこと。
そして、「Domo Arigato(どうもありがとう)」という文字も。
大阪大学の社会学者のスコット・ノース教授によると、日本人にとっての片付けや整理整頓は、
「自分たちの生き方をいかに誇らしく思っているかを示す方法」なのだという。
「世界中から計り知れないほどの尊敬を集めている」
「私たちも彼らのように、他人を思いやって行動してみよう」
事実、海外のサポーターのなかにも、同じようにゴミを拾う人が出てきたのだとか。
色々な国を回っていて思うのは、もちろん完ぺきではないにしろ、日本ほどキレイな国はあまりない。
ポイ捨てに罰金があることで有名なシンガポールもそれほどキレイだとは感じなかったし、ドイツはペットボトルを返すとお金がもらえるのでそのゴミはないが、タバコのポイ捨てはスゴい。
そういえば、学校で掃除を子どもが行う国は少ないという欧米では、スタッフの人が行う国がほとんどだという。
日本では、自分たちの使っている場所なのだからと、当たり前のように学校を掃除するが、これは非常に素晴らしい習慣なのではないかと思うようになった。
世界中を回る僕にとって、日本人の「掃除」に対する感覚は素直に誇りである。
<本稿は『シン・スタンダード』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>