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世界中を回る僕が日本人の「掃除」を誇りに思う訳

少しだけ今より良い気持ちになりたいなら、少しだけ今より自己肯定感を上げたいなら落ちているゴミを拾うこと。

お金や教育、家事などの身近なことから、政治や環境問題などのグローバルなジャンルにおいて、「日本において常識とは考えられていないこと」が、実は「世界の常識となっていること」は意外と少なくありません。それを知れば日本人の根底にある「価値観の選択肢」を増やすことにつながるはずです。

ドイツ在住の日本人実業家であり、世界に精通する人気インスタグラマーが48例に及ぶ世界のシン常識をまとめた初の著書『シン・スタンダード』より一部抜粋、再構成してお届けします。

『シン・スタンダード』(サンマーク出版) 谷口たかひさ
『シン・スタンダード』

学校で子どもが掃除をする国は日本以外にほとんどない

2022年にカタールで開催されたFIFAワールドカップ。そう、サッカーのワールドカップだ。

 世界中が注目する大会において、歴史的勝利を収め、日本中が絶叫したドイツ戦後のこと。

 日本のサポーターたちは、スタジアムのゴミ拾いを自発的に始めたのだとか。

 勝利に酔いしれ、その興奮のまますぐにでも夜通しのお祝いに繰り出してもおかしくない。

 しかし、日本のサポーターたちは、勝利した日本の選手たちがピッチを去るのを見送った後、すぐにスタジアムに散乱している食べ物や飲み物のゴミ拾いを開始したのだという。

 BBC(英国放送協会)はその動画を公式のツイッター(現X)アカウントに投稿し、「日本のファンたちの品位ある振る舞い」と讃えた。

 実は、そのカタール大会から4年遡ったロシア大会で、あの日本がベルギーに惜敗した後にも、同じことが行われたという。

 そして、日本が出てもいない試合の後でさえ。

 日本が勝とうが、負けようが、出ていなかろうが、一貫したその姿勢は、なんと観客席にとどまらない。

 FIFAは、ドイツ戦で日本代表が使用した更衣室の写真をツイッター(現X)に投稿した。

 その写真が語ったのは、試合後の選手やスタッフたちが、ゴミひとつない状態で更衣室を後にしたこと。

 そして、「Domo Arigato(どうもありがとう)」という文字も。

 大阪大学の社会学者のスコット・ノース教授によると、日本人にとっての片付けや整理整頓は、

「自分たちの生き方をいかに誇らしく思っているかを示す方法」なのだという。

「世界中から計り知れないほどの尊敬を集めている」

「私たちも彼らのように、他人を思いやって行動してみよう」

 事実、海外のサポーターのなかにも、同じようにゴミを拾う人が出てきたのだとか。

 色々な国を回っていて思うのは、もちろん完ぺきではないにしろ、日本ほどキレイな国はあまりない。

 ポイ捨てに罰金があることで有名なシンガポールもそれほどキレイだとは感じなかったし、ドイツはペットボトルを返すとお金がもらえるのでそのゴミはないが、タバコのポイ捨てはスゴい。

 そういえば、学校で掃除を子どもが行う国は少ないという欧米では、スタッフの人が行う国がほとんどだという。

 日本では、自分たちの使っている場所なのだからと、当たり前のように学校を掃除するが、これは非常に素晴らしい習慣なのではないかと思うようになった。

 世界中を回る僕にとって、日本人の「掃除」に対する感覚は素直に誇りである。

<本稿は『シン・スタンダード』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>


【著者】
谷口たかひさ(たにぐち・たかひさ)
1988年大阪生まれ。日本の大学在学中に留学費用の工面のため10代ながらインターネットビジネス会社を起業し、イギリスのマンチェスター大学へ留学。卒業後、チェーンストアのエリアマネージャー、アフリカのギニアでの学校設立支援、メガバンク/M&A/メディアのコンサルタント、グローバルIT企業の取締役を経験。その後、社会の課題解決を志してドイツへ移住し、起業。2019年、ドイツで気候危機の深刻さを目の当たりにし、「みんなが知れば必ず変わる」をモットーに、気候危機の発信や日本では報道されない世界情勢にまつわる講演を開始。世界中から講演に呼ばれるようになり、日本では1年で515回、全都道府県での講演を達成。2021年には国連総会の司会とスピーチも務めた。趣味は旅と勉強で、訪れた国は約80ヵ国。保有資格は国際資格や国家資格を含め30個以上。

Photo by Shutterstock

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