「少年よ大志を抱け」知られざる全文が記す気高さ
「大学では、大学に行きたくでもいけなかった人のために学びなさい」
お金や教育、家事などの身近なことから、政治や環境問題などのグローバルなジャンルにおいて、「日本において常識とは考えられていないこと」が、実は「世界の常識となっていること」は意外と少なくありません。それを知れば日本人の根底にある「価値観の選択肢」を増やすことにつながるはずです。
ドイツ在住の日本人実業家であり、世界に精通する人気インスタグラマーが48例に及ぶ世界のシン常識をまとめた初の著書『シン・スタンダード』より一部抜粋、再構成してお届けします。
あまり知られていない「少年よ大志を抱け」の全文
講演会で学校を回っていて感じるのは、もう中学生ぐらいから、「お金」のことで頭がいっぱいになってしまっている人が少なくないということ。
欲しいものを聞くと「お金」と答える生徒がいたり、「お金にならないことは一切したくない」と言っている生徒がいたり、将来どうなりたいかを聞くと「お金持ち」と答える生徒がいたり、人を判断する基準を聞くと「年収」と答える生徒がいたり、「お金をたくさんもらえる会社に入りたくて、そのためにはそういう年収の高い会社に入りやすい大学に入る必 要があって、そのためにはそういう大学に入りやすい高校に入る必要があって」という目的のためだけに、「今」という時間を全て詰め込みの勉強に使っている生徒がいたり……。
その人の人生なので、勝手なことを思うのは僕のエゴなのかもしれない。
だけど、どこか寂しさを感じずにはいられないのだ。
そもそもこの「拝金主義」とも言える感性は、大人の影響が大きいのだろう。
先日訪れた学校では、先生が、
「勉強しないとコンビニで働くはめになるぞ」と言っていて、
あまりの失礼な物言いに耳を疑った。
他にも、「人はみんな富や地位や名声を求めるし、それを持っている人を尊敬する。だから、谷口さんも影響力を持って問題を解決したいなら、大きな会社の社長さんになったほうがいいと思います」という声も、もらったことがある。
空気や価値観は変えられる
「環境活動みたいな得体のしれないことをやっていると、食べていけないでしょう」という声すら毎日届く状況だ。
しかし、こういった状況は同時に、希望でもあると思っている。
空気や価値観は変えることができるからだ。
僕のような全国を講演して回る活動をやっている人たちが、とても自由で、人が周りにたくさんいて、楽しんでいて、カッコいい。
その前例を、その空気や価値観を、僕が作ってしまえばいいわけだ。
簡単ではないかもしれないが、とてもやりがいがあってワクワクしている。
実際に、話を聞いてくれた学生たちから、
「夢が環境活動家になった」
「夢が人に伝えられる人になった」
「口だけの大人にはなりたくないと思った」
「お金に対する考え方が変わった」
「環境について学びたくなって、憧れの大学の環境を学べる学部に合格できました」
「自分も全国を回ってお話をします」
そういった声を最近たくさんもらい、やりがいを感じる毎日だ。
このトピックスの最後に伝えたいことがひとつ。
人としてあるべき姿であろうとする大志を
クラーク博士の言葉として有名な「少年よ、大志を抱け」だが、全文はあまり知られていない。
「少年よ大志を抱け。
それはお金や私欲のためにでなければ、名声という儚いもののためにでもない。
人としてあるべき姿であろうとする大志を抱け」
この言葉を知ってか知らずか、尊敬する僕の父は常々言っていた。
「大学では、大学に行きたくても行けなかった人のために学びなさい」
お金は「手段」にはなっても「目的」にはなりえないと思う。
それがいくらであれ、お金で信念を曲げる行動をとってしまうようなら、「安い」と思う。
必要以上のお金を追いかけるのに使ったその時間の分だけ死に近づくと思う。
「お金は天国に持ってはいけない」と気がつくタイミングや、「お金で買えるのは値札が付いているモノだけ」と気がつくタイミングは、早ければ早いほどいいと思っている。
<本稿は『シン・スタンダード』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>