言語化に苦労する人を達人に変える、たった1つのコツ
思いや考え、アイデアをうまく言語化できない――。
そんな人は少なくないでしょう。どうすればいいのでしょうか。
有効な方法の一つは、頭の中でこんがらがっている「事実」や「他人の意見」「自分の思いや考え」をうまく整理すること。それを元裁判所書記官の著者が「1本の線」によって解決するメソッドを解説した『その場で言語化できるメモ』より冒頭の試し読みをお届けします。
急に質問されて、ここまで出てきているのに言葉が出ない。
よい考えがあるはずなのに、うまく説明ができない。
自分には、そんなことがたくさんありました。
何か言いたいことがあったはずなのに。
すごく良いアイディアが浮かんでいたはずなのに。
いくらよいことを考えても言葉にしないと、相手にはわかりません。
「意見がないならいいよ」と二度と意見を求められなくなったり、友人たちが、楽しそうに意見を伝え合っているのを見ながら、「自分は頭が悪いんじゃないか」「人間関係が苦手なんじゃないか」と落胆していました。
自分の中にある、そのモヤモヤしたものは、なんなのか?
深く潜ってみると、過去の経験、自分の感情、目の前で起こっていること、誰かの意見、その場への配慮など、様々なものが混ざっています。
それも誰かが何かを言ったり、違う状況が出てくるたびに、また様々なことを考えてしまって、ますます意見が出なくなります。
色々なことが、こんがらがって、言葉にならない。
「言いたいけど、言葉にならない」の正体は、こんな感じになっていると思います。
それをシンプルにすっきりさせる方法。
そのヒントは、たった1本、線を引くこと。
絡まっていた頭の中を「事実」や「他の人の意見」と「自分の考え」に分けることで、モヤモヤした頭の中がはっきりしてくるのです。
裁判所書記官の経験から生まれた「言葉にする」ためのメモを紹介します。
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【著者】
佐野雅代(さの・まさよ)
元裁判所書記官。英語発音指導士。
神奈川県出身。上智大学法学部国際関係法学科卒業。裁判所書記官として、横浜地方裁判所の民事部にて年間約2000件の裁判に立ち会い、法廷内でのできごとを調書にまとめる仕事を行なう。「公証官」とも呼ばれる、いわば「国家が認めたメモのプロ」。
また、最高裁判所の秘書課で海外出張のサポート業務などをする中で、企画書やプレゼン資料、会議の議事録、世界各国の裁判所や大学へ提出する依頼文書や履歴書、司法制度に関する調査報告書、お礼状にいたるまで、書記官としての約12年間を通じて様々な種類の文章を作成する。
その後、2人の子育てをする中で、小さいうちから言葉の力を伸ばすことの重要性を実感、夫の大反対を乗り越え裁判所を退職し、一般社団法人国際英語音メンタリング振興会を設立。現在は、「音から言葉の力を伸ばす英語発音指導士」として、歌と絵本で学ぶ発音講座、おうち英語講座、英語の読み書き講座、女性のためのライティング講座などの運営や、講師の育成を行なっている。また、自治体や教育委員会の後援を受けて、親子イベントや保護者・教員向けセミナーなどを開催している。