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人付き合いのストレスを減らしたい人に知ってほしい脳の仕組み

「なぜ私は、あんなことを言ってしまったんだろう……」

 そんな後悔をしたことはありませんか? 実は、それは太古から人間に存在する「ワニ脳」が原因かもしれません。その不可解な人間関係の謎を、最新の脳科学で解き明かし、スウェーデンで大反響を呼んだ『あいては人か 話が通じないときワニかもしれません』より冒頭の試し読みをお届けします。

『あいては人か 話が通じないときワニかもしれません』(サンマーク出版) 書影
『あいては人か 話が通じないときワニかもしれません』

はじめに──「彼は(私は)どうしてあんなこと言ったんだろう?」

人と接するときは、その人のあるべき姿を見て接しなさい。

ゲーテ(ドイツの詩人、1749年~1832年)

 私たちの生活のおもな場所、たとえば職場や学校、家庭の中心にあるのは人間関係だ。私たちの頭は、この人間関係のことでいっぱいで、他者の考えを理解することに、たくさんの時間と労力を費やしている。

 いま、この人は何を考えているのか? どんな言動をとるつもりだろう? その言動に、私はどう対応すべき? その対応によって、この人は私をどう思う? 好意的に思ってくれるだろうか?

 相手とのやり取りがどんなものになるかは、まったく予想がつかない。相手のふるまいは、そのときの感情や思考に左右されるし、その感情や思考もまた、たくさんの要素に左右されている。たとえば、その人がどのくらいストレスを感じているか、自分と会う前に何があったか、など。

 そして、相手とのやり取りは、すぐあとの互いの感情や思考に影響をおよぼす。なぜ彼女はこんなことを言ったんだろう? 彼は何を言いたかったんだろう? ...etc.

 人類の歴史を振り返れば、こうした疑念が浮かぶのには、大きな理由があるとわかる。

 太古の昔、私たちの祖先がサバンナで暮らしていた頃は、集団の一員として認められることが不可欠だった。仲間はずれになることは、死に直結したからだ。

 そのため、集団のなかに自分の居場所が確保されているかどうか、仲間との関係がうまくいっているかどうか、自分が仲間として認められているかどうかを、常にチェックする必要があった。

 これを思えば、いまの私たちが人間関係のことばかり考え、人づきあいに神経をすり減らしているのも当然といえるだろう。

 では、人間の行動のメカニズムをもっと学んで、人づきあいのストレスを減らすことはできるだろうか? 本当に心の通い合う人間関係は築けるのか? 心地よく、安心感のある交流はできるのか? そのための知識は、得られるのか?

 もちろん答えは、「イエス」だ。本書では、こうしたことについて詳しく解説したいと思う。

 本書は、私たちをつかさどるハードウェア、つまり脳のメカニズムを解明する現代の研究成果にのっとって解説している。私たちを制御する生物学的プログラムとそのメカニズムを知れば、その知識が大きな安心材料になる。

 本書を読めば人と接するとき、脳がその交流のなかでどんな役割を演じているか理解できるはずだ。

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【著者】
レーナ・スコーグホルム(Lena Skogholm)
行動科学の研究者。講演家、教育者。年に80回近く講演や講義を行い、スウェーデンで最も人気のある講師100人の1人に選ばれた。温かさとユーモアにあふれる語り口と、明快でわかりやすい解説には定評があり、2021年には、スウェーデンのすぐれた講演者に与えられるStora Talarpriset賞を受賞した。25年にわたり研究を続ける脳科学にもとづいた人づきあいのメソッドは、職場や私生活で今すぐ役立つツールとして、高く評価されている。
本書『The Connection Code』(Bemötandekoden:konsten att förstå sig på människor och få ett bättre liv.)は、スウェーデンで発売と同時に売上ランキング上位に入り、ベストセラーとなった。国内外で話題の本となっている。

【訳者】
御舩由美子(みふね・ゆみこ)