すぐやればいいのはわかっているのに今日も始められなかった人へ
何かを始めたいけど、重い腰が上がらない。
また今日も先延ばしにしちゃった……。
そのような日々を送っている人は少なくないでしょう。英会話を学びたいとかダイエットしたいとか机の周りを片付けたいとか――。すぐにやればいいのはわかっているのに今日も始められなくて罪悪感に苛まれる。
「逆にすぐやれるなんて超人じゃないの?」って思う方もいらっしゃるかもしれません。でも、これは「意志力」の問題でなく「脳」そのものの仕組みに理由があります。どうすれば「すぐ、やる」ように人は変われるのでしょうか。本日8月8日発売の新刊『すぐやる脳』より試し読みをお届けします。
そもそも脳は「怠け者」だから
あなたは「脳」について、どのようなイメージをもっているでしょうか。
思考や理性を制御してくれたり、言葉を話したり体を動かしたりするときの司令塔となってくれたり、大事なことを記憶してくれたり。
脳の本質は、「勤勉で、一途で、目的遂行能力が高い」。
そんな連想をされる方が多いのではないでしょうか。
けれども、それは過大評価というもの。
誤解を恐れずに定義すると、脳とは「怠惰で、流されやすく、誘惑に弱い」。
実は、こんなネガティブな表現がぴったりなのです。
たとえて言うと……。
大事な仕事を任せても、その内容について深く考えず「いつもと同じ方法で、できるだけラクにこなそう」とやっつけ仕事をしてしまう、無気力な人。
驚かれるかもしれませんが、そんなたとえがぴったりなのです。
人間の脳は、残念なことに、生まれつき極めて〝怠惰〟にできています。
新しい挑戦や、いつもと違うことを避け、決まりきった自動処理を選ぼうとします。隙あらば、休もうとさえします。
それは、どんなに「優秀」とされる人の脳でも、どんなに「勤勉」と称される人の脳であっても、本質的なところでは同じです。
脳は、なぜ決まりきった流れ、〝ルーティン〟を好むのか。
理由のひとつとして、まず脳の〝燃費の悪さ〟が挙げられます。
大人おとなの脳の重さは、約1.4㎏(体重の2%相当)とされています。
けれども消費エネルギーの面で見ると、1日に必要なエネルギーのなんと約20%を、脳だけで使用しているのです。
これほど大量のエネルギーを使う臓器は、ほかにありません。
それだけ〝燃費が悪い〟からこそ、「可能なところはすべて自動処理しよう」と、自動的に判断することがクセになっているというわけです。
つまり、「脳が怠惰であること」は非常に理にかなったことなのです。
ここでひとつ、考えてほしい問題があります。
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【著者】
菅原道仁(すがわら・みちひと)
脳神経外科医