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自分の著作物「他人が無断でSNS投稿」を防ぐ作戦

 インターネット上にある、おもしろそうなコンテンツ。気軽にSNSに投稿してまうと、実は「著作権侵害」で訴えられる可能性があります。

 一方で、SNSなどネットに投稿した自分のイラストなどの著作物の権利は、どう守ったらいいでしょうか?

 ネットで投稿する人のすべてが知っておくべき著作権の超入門。イラストレーターのヤマサキミノリさんが、チャンネル登録者数7万人のYouTuber弁護士ビーノ先生に、SNSで失敗しないために、著作権や肖像権のことを全部聞きつくした一冊『仕事でSNSを使いたいけど初心者の「やらかし」が怖いので弁護士さんに気になること全部質問してみた』をもとに、SNS投稿における著作権の基本的な考え方や、炎上対策、自分が権利侵害された時のケースなどについて書き下ろしでお届けします。

『仕事でSNSを使いたいけど
初心者の「やらかし」が怖いので
弁護士さんに気になること全部質問してみた』

ネット上で自分の著作物の権利はどう守る?

 よく見るのですが、「©️」をつけても、実は法的効果はありません。入れても入れなくても同じです。法的効力があるかどうかは難しいですが、効果がありそうなのは次の2つです。

①    自分の名前を写真や画像に入れておく
②    サイトにポートフォリオを作って何日にアップしたのか、いつ作ったのかを明確にしておく

 仮に権利を侵害されても、先に作ったことがわかれば著作権がこちらにあると主張できます。X(旧Twitter)への投稿については、日時が残りますので証拠になります。

 他にも、よくあるトラブルなのが、イラストレーターさんが自分で製作・投稿したオリジナルイラストをスクリーンショットされて、アイコンにされたケース。

 これを「多くの人の目に触れるので、宣伝してもらっているのと同じなので得になる」と判断する人も多いですが、ひどい切り取られ方をして改変されていたりしたら、「同一性保持権侵害」として使用の中止を求めることもできます。同一性保持権とは、自分の著作物の内容又は題号を自分の意に反して勝手に改変されない権利(著作権法第20条第1項)のことです。

 他に有効なのは、プロフィールに自分なりの規約を書いておく方法があります。

「アイコンにしないでください」

「意図しない改変をしないでください」

「商用利用しないでください」

「自分のイラストを使って他のものを作るのはやめてください」

などと書いておくと抑止効果になるでしょう。自分の著作物をどう使われていいか、使われたくないかは自分できちんと示すのが望ましいのです。

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自分の著作物が勝手に使われているのを発見した時は?

 また、自分が製作・投稿した著作物を勝手に使っている他人を見つけた時はどうしたらいいでしょうか?

 例えばイラストであれば、他人が使っているアイコン全体が、権利者のイラストならば、権利侵害を主張できます。イラストを入れたTシャツを無断で作ったようなケースでは、それをSNSに投稿しているか否かがポイント。ただ作って着ているだけであれば「私的使用」として認められるので、権利侵害を主張するのは難しいのです。

 覚えておきたいのは、権利侵害を正すならば、「私的使用」にとどめているかどうかが境界線だということです。

 他人が明らかに権利者のイラストをトレースして、その人の作品のように振る舞っていたらどうでしょうか? それはTシャツのケースと同じで、SNSに投稿、あるいは何らかの商品にして販売するなど、私的使用の範囲を逸脱していれば明らかに著作権侵害です。もしも大規模に販売しているなどのケースであれば、損害賠償請求も可能です。

 では、著作権侵害をしている他人を見つけたら、どうやめさせればいいのでしょうか? 多くはSNS上のアカウントに連絡をすることになると思います。その時に気をつけたいのが、DM(ダイレクトメッセージ)では無視されてしまいかねないということ。せっかく勇気を出して言うのですから、リポストなど多くの人の目に触れるところで言うほうがやめてくれやすいと思います。

著作権侵害
著作権侵害 損害賠償請求

<本稿は『仕事でSNSを使いたいけど初心者の「やらかし」が怖いので弁護士さんに気になること全部質問してみた』(サンマーク出版)をもとに書き下ろしを加えて再構成したものです>

(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)


【著者】
日比野 大(弁護士ビーノ)
2012年中央大学法科大学院卒、司法試験合格。2013年都内事務所勤務、2020年弁護士法人mamori設立。弁護士としての活動だけでなく2020年から開始したYouTubeチャンネルは、わかりやすい借金や離婚などの解説で話題となり、3年間で登録者数7万7000人となる。2022年から開始したTikTokアカウントは、1年で4万人を突破。弁護士を身近にし、相談しやすいものとするべく365日活動している。専門分野は借金、離婚問題、著作権関係などSNS周りの法務、大麻(CBD)関連の法務で、顧問先も数十社以上に急拡大している。
登録弁護士会 山形県弁護士会 登録番号49302

ヤマサキミノリ(やまさきみのり)
イラストレーター
学生時代にデザイン・イラスト・建築を学び、ほぼ勢いで独立。イラストを見た人に横ジワ(笑顔)を刻むべく、書籍や広告など幅広い媒体で活動中。


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