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小くよ31 暗い気分に流されない

時々どうしようもない自己嫌悪に陥ってしまう。ふとしたことで落ち込んでしまい、悪いほうにばかり考えてしまう。上機嫌で過ごしていた時の自分が嘘だったように――。

こうした気分の浮き沈みは誰しにもあることです。

2月にスタートした「Sunmark Web」の特別企画として『新版 小さいことにくよくよするな!』が説く格言を100日連続でお届け。

31日目は「暗い気分に流されない」

暗い気分に流されない

 自分は本当に裏切り者だ。気分しだいで実際そうではないのに、最低の人生だと思い込んでしまう。

 逆に気分がいいとき、人生は最高。そんなときは客観性、常識、知恵が発揮される。気分がいいときは、いろんな問題が簡単に解決できそうな気になり、人間関係もコミュニケーションもうまくいくように思える。批判されても受け流すことができる。

 ところが気分が落ち込むと、生きるのがしんどいと感じる。客観性がほとんど消えてしまう。なんでも個人的に受けとめ、周りの人たちの言動に悪意を感じたりする。

 つまりこういうことだ。人は自分が気分に支配されていることに気づかない。だから、とつぜん人生がしんどくなったりするのだ。

 朝は気分がよくて妻も仕事も車もすべて愛していると感じる人がいるとする。将来はバラ色だと感じ、それまでの人生に感謝もする。だが午後も遅くなって気分が落ち込んでくると、仕事は嫌いだ、女房は口うるさくてかなわない、車はおんぼろだ、先ゆきなんてなんの希望もないと感じる。

 そんな気分のときに子供時代はどうだったと質問すると、ほとんどが思い出したくないほどつらかったと答える。いま自分がこうなったのは「両親のせいだ」と言うかもしれない。

 こんなにころりと気分が変わるのは滑稽に見えるかもしれないが、私たちは多かれ少なかれそうなのだ。落ち込んでいるときは客観性がどこかに消えてしまい、せっぱつまった感じになる。

 いい気分のときは、そんなことはすっかり忘れ、なにもかもよく見える。つまり気分しだいで現在の状況──結婚した相手、職場、もっている車、将来性、子供時代──にたいする見方がころりと変わるのだ!

 落ち込んだとき、私たちは気分のせいにするかわりに人生をまちがえたと感じてしまう。それまでの人生がたった数時間のあいだにがらがらと崩れてしまったような錯覚にとらわれる。

 だが、実際のところ、人生は落ち込んだときに感じるほどひどくはない。人生とはそんなもんさ、と暗い気分にひたっているより、人生を現実的に見つめる機会、自分の判断が正しいかどうか自問する機会と受けとめるほうがいい。

「たしかにいま自分は落ち込んでいる(怒っている、欲求不満、ストレスだらけ、憂鬱(ゆううつ)、気分はどん底だ。こんなときはいつも否定的なことしか思いつかない」と自分に言いきかせることだ。

 暗い気分は「ほうっておけば自然に消滅する人間の宿命的な感情」と割り切ってやりすごすにかぎる。暗い気分のときは人生を分析しないほうがいい。どんどん暗くなるだけだから。

 いい気分のときはありがたく思い、暗い気分のときは優雅にやりすごす──あまり真剣に受けとめずに。次に落ち込んだときは「これもいまに消える」と自分に言いきかせて待つことにしよう。それは必ず消えるから。

<本稿は『新版 小さいことにくよくよするな!』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>


【著者】
リチャード・カールソン(Richard Carlson)
心理学者。ストレスコンサルタント。ユーモアにあふれ、率直でわかりやすく、しかも誰にでも実践できそうな「くよくよしない」ヒントを提唱。著作やテレビ出演、講演多数。著書に『(文庫)マンガで読む 小さいことにくよくよするな!』(サンマーク出版)などがある。

【訳者】
小沢 瑞穂(おざわ・みずほ)

Photo by Shutterstock

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