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言いたいことは小5レベルの言葉にまとめてみよう

 名作キャッチコピーも、心に響くスピーチも、実はシンプルな言葉でできています。それは、誰の中にもすでに眠っている、小学生でも知っている言葉ばかりなのです。

 現役コピーライターが、短くて簡単な言葉なのに、なぜか伝わるテクニックを満載した『言いたいことは小5レベルの言葉でまとめる。』より冒頭の試し読みをお届けします。

『言いたいことは小5レベルの言葉でまとめる。』(サンマーク出版) 書影
『言いたいことは小5レベルの言葉でまとめる。』

 お願いです。

 人助けだと思って1分だけ時間をください。

 あなたは、老舗の和菓子店「餡子匠堂」(あんこたくみどう)の経営を引き継ぐことになりました。

 お店の看板商品は、大福。

 甘すぎず、さっぱりとした後味が評判で、地域では長年愛されている人気商品です。

 しかし、最近近所にできたオシャレなスイーツ屋さんに押されて売り上げが低迷を続けています。

 あなたなら、どんな言葉を使ってその大福をアピールしますか?

回答例
おじいちゃん、おばあちゃんも食べた。
和菓子の餡子匠堂が精魂込めて作った、
甘すぎず、さっぱりとした後味が楽しめる、
渾身の大福です。

 いいですね。いや、悪くないですよ。
 ちなみに、私だったら……

時代を超えてリピーター続出!
あえて映えないひと時を。
やっぱり、大福は餡子匠堂!

 なんていうふうに、アピールします。

 いきなり問題なんて出してしまって、失礼しました。

 私は、この本の著者であるコピーライターの頭の中に棲みついている猫のメイメイと申します。

 猫界イチの天才・言語化猫ですが、「ニャー」しか言えないので人間ならご存じないのも当然ですね。

 猫ですから、ご飯を食べて、ゴロゴロして、散歩して、ゴロゴロして、虫とか鳥とか追いかけて、またご飯を食べて、ゴロゴロしてって感じで暮らしてるんです。

 まあ、毎日同じことの繰り返しでちょっぴり退屈なんですよ。

 だから、〝話の通じる人間〟を見つけたときだけ、にんまりして「言葉のうま~い使い方」を教えているんです。

「〝話の通じる人間〟ってなんだ?」って……?

 そりゃあなた、あれですよ。

「言いたいことがあるのに言葉を思いつかない」

「思いをしっかりと言葉にできない」

「うまく伝えられない」

「的外れなことを口走ってしまう」

 こんなふうに本気で悩んでいる人です。

 なぜだか、そんな人とは話ができちゃうんですよ。

 そんな人たちに、私のご主人のコピーライターがブツクサ言ってた「言葉のうま~い使い方」を教えてるってわけです。

 さっき出した問題も、そのうま~い使い方の中の1つ。

 おや、また誰か〝話の通じる人間〟の声が聞こえてきましたね。

 ちょっと行ってみましょうか。

はじめに

 はじめまして、電通西日本という会社でコピーライターをしています、

 手代木聡と申します。人間です。

 冒頭で猫のメイメイが出した問題、どうでしたか?

 実は、この問題では2つの伝え方のテクニックを用いています。

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【著者】
手代木聡(てしろぎ・そう)

株式会社電通西日本コピーライター/クリエイティブディレクター
1975年東京都生まれ、広島県在住。大学卒業後、Hondaの広告制作を手掛けるプロダクション「原宿サン・アド」に入社。ピーク時は深夜や明け方まで身を粉にしながら働き、それでも自分の企画がなかなか通らない20代の日々を過ごす。
ローカルの方が面白い仕事ができるのでは、と電通西日本の岡山支社に、31歳のときに転職。クリエイターの活発な交流の場がなかった岡山では、地元の広告制作者同士がつながる団体「岡山広告温泉」を創設。地元の街を巻き込んで、10年以上続くイベントとなる。これまでに企業や行政などさまざまな広告・商品開発・ブランディングを手掛ける。
表現をすることに憧れて就いたコピーライターという仕事は、実はクライアントの課題や見えない問題を可視化し、解決するための指針を立てることが醍醐味であるということに気づき、その能力を磨くうちに競合コンペでほぼ負け知らず、クライアントからは指名され続ける唯一無二のパートナーシップを築くようになる。本書が初の著書となる。