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「誰にも任せられない」と思うなら無理にでも休んで

 忙しくてつい無理をしてしまう、自分の許容量を超えてオーバーワークになっている――。自分あるいは周りにそんな人はいませんか?

 14万部突破のベストセラー『ほどよく忘れて生きていく』の著者で、心療内科医の藤井英子さんは「小さな不調に慣れてはいけない、ときには人の手を借りてでも自分にブレーキをかけて」と説きます。

『ほどよく忘れて生きていく』

「小さな不調」に慣れない

元気だと、
人はつい無理をしてしまいます。
無理を続けることや、
小さな不調に慣れてはいけません。

 心もからだも、毎日丁寧に扱って、疲れたら休み、どこかが痛んだらケアをして整えながら生活していくのがよいと思います。

 人は元気なうちはつい無理をしてしまって、自分が頑張っていることに気づきにくいものです。少しずつ悪くなっていくと、「ちょっと疲れているだけかも」と、疲れた状態にすっかり慣れてしまい、気づかぬふりを積み重ねてしまいます。

 以前、「今日なんとか診てくれないか」と午後診療の最後に来院された患者さんがいらっしゃいました。「心療内科や精神科にはかかりたくないと思って、ずっと我慢して頑張ってきたけれど、もう耐えられない」ということでした。私が漢方について説明しても、「そんな難しいことを言われてもわからない」とかなりイライラが募っているご様子。

 血圧が200を超えていたので、それも原因のひとつと考え、漢方薬を処方しました。一カ月程度の自宅療養をしていただき、服薬励行をお願いしました。おそらく、もう少し受診が遅かったら、倒れられていたのではないかと思います。

 東洋医学の特徴として、未病に働きかけることができるということがあります。未病とは、病気になる一歩手前の「なんだか調子が悪い」というような状態です。この時点で足りない活力を漢方薬で補ったり、乱れた自律神経を整えたりすることで、病気になってしまう前に、元気を取り戻すことができます。

 自分の疲れ具合や、いつもと違う心身の様子に敏感でいてほしいと思います。

ときどきは「無理にでも」休む

忙しさで心を亡くしてはいけません。
半強制的にでも、
ときには自分を
休ませなくてはなりません。

 好きなことに夢中で忙しいのであれば問題はないのですが、自分の許容量を超えてオーバーワークになっているのに、立ち止まれないという人がいます。

 忙しいことが明らかに不満、やっている仕事がとにかく苦しいのに、やめられないとなると、これはひとつの中毒、依存症状です。

 こうなってくると、焦燥感に苛なまれて、片付けられることも片付けられなくなりますし、仕事は次々と生まれ、終わりがないのですから、延々と暗いトンネルの中を進んでいるような状況に陥ってしまいます。

 以前、学校にお勤めの先生が来院されました。月に80時間以上の時間外労働が重なってうつ症状があり、学校医から心療内科受診を勧められて来院されました。

 自宅療養を勧めましたが「休めない」ということで、「せめて2日勤務して1日休むようにしてください。なかなか人にお仕事を任せられないかもしれませんが、少しずつでも任せるようにしてください」とお伝えして診断書をお出ししました。

 その後、「誰にも安心して任せられないと思っていましたが、任せるしかないと思ってやってみると、少しだけ、『任せられることもある』と思えるようになりました」とおっしゃっていました。

 もしも仕事のことで頭がいっぱいになっていて、「誰にも任せられない」「すべて自分の責任」と思ってしまっているのなら、人の手を借りてでも、自分を一旦停止させ、いたわる必要があります。自分にブレーキをかけられるのは自分だけなのです。

<本稿は『ほどよく忘れて生きていく』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>

(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)
Photo by Shutterstock


【著者】
藤井英子(ふじい・ひでこ)
漢方心療内科藤井医院院長。医学博士。現在も週6で勤務する91歳の現役医師。1931年京都市生まれ。京都府立医科大学卒業、同大学院4年修了。産婦人科医として勤めはじめる。結婚後、5人目の出産を機に医師を辞め専業主婦に。育児に専念する傍ら、通信課程で女子栄養大学の栄養学、また慶應義塾大学文学部の心理学を学ぶ。計7人の子どもを育てながら、1983年51歳のときに一念発起してふたたび医師の道へ。脳神経学への興味から母校の精神医学教室に入局。その後、医療法人三幸会第二北山病院で精神科医として勤務後、医療法人三幸会うずまさクリニックの院長に。漢方薬に関心を持ち、漢方専門医としても現場に立ってきた。89歳でクリニックを退職後、「漢方心療内科藤井医院」を開院。精神科医と産婦人科医としての視点から、心のケアに必要な漢方薬を処方することを人生の役目とし、日々診察に当たる。「心配には及びませんよ」「大丈夫ですよ」という声かけに「それだけでほっとした」という声も多い。精神保健指定医。日本精神神経学会専門医。日本東洋医学会漢方専門医。


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