株式投資をする人に知ってほしい「株価がどう頑張っても上がりづらい分野」の法則
株式投資をしている人にとって株価が上がるきっかけを見つけることは欠かせないことです。ただ、大切なことは、それだけではありません。
複眼経済塾という投資・経済スクールの塾長を務め、1冊で2000ページに及ぶ株式情報誌の定番中の定番『会社四季報』を27年間で108冊全ページ読破する渡部清二さんの新著『そろそろ投資をはじめたい。』よりお届けします。
どんなに条件を満たしても上がらない分野は存在する
株価が上がりづらい分野も知っておくと、後々必ず役に立ちます。
株式投資というものはさまざまな指標やカタリスト(株価が上がるきっかけ)を見ることで株価の上昇を予測します。しかし、さまざまな条件を満たしていても株価がなかなか上がらない業種・業界があるのです。
ペットフード、ペット保険など、ペット関連は株価が上がりづらいといわれています。推測にはなりますが、ペットという存在はそもそも人間のエゴを感じさせることが理由かもしれません。治験や実験に動物を使う企業も同様です。あくまでも私の見解ですが、命を扱うビジネスはなかなか投資家の共感を得られず、敬遠されてしまうのではないでしょうか。
また、海外でのマーケットを広げるという意味では、現地の文化や宗教観も大きく影響します。イスラム圏では豚肉を食べることが禁じられています。そうした国では、例えば日本ハムが豚肉を使ったハムやソーセージを売ることはできません。
投資でも同じことがいえて、イスラム圏の投資家が「日本ハムの株は買えない」と言っていたのを聞いたことがあります。
エステ、ネイルも上がりづらい分野です。参入障壁が低いこと、企業の競争力や持続性に対して疑問を抱かれやすいことが理由ではないかと思います。
パチンコ関連も理由は定かではありませんが、私が株式投資に携わってきた約30年の経験から常に割安に放置されている印象があります。
さらに、「引き算のモデル」は上がりづらいという視点もあります。
例えば、事務経費を削減し、余った経費から売上高を得るビジネスモデルが当てはまります。
ビジネスとしてはうまくやっていて、サービス利用者が増えている企業は多数ありますが、株としては「マイナスの発想」は受け入れられづらいのです。このようなビジネスモデルが出始めた頃は、その目新しさから株式市場でも注目を集めたことはありますが、最近はあまり話題になりません。上限があるからでしょうか。
一方で増やしたものに対しての課金モデルは、上がる可能性があります。単純に上限がなく、青天井で伸びる可能性があるからで、「増やしたものに対して課金モデルになっているか」という視点は大事です。
<本稿は『そろそろ投資をはじめたい。』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>
(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)
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【著者】
渡部清二(わたなべ・せいじ)
複眼経済塾 代表取締役・塾長
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