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助けを求められる人こそ独立・起業に向いている理由

 フランス、イギリスで約12%、アメリカ、ドイツは約9%、日本が約5%――

 一体これは何の数字でしょうか?

・・・答えは「開業率」(当該年度に雇用関係が新規に成立した事業所数/前年度末の雇用保険適用事業者数)。日本は欧米と比べて独立・起業する人の割合が低い水準で推移しています。

 ただ、先行き不透明な時代において年金受給開始年齢の後ろ倒しなどもあって、ここ日本においても将来的に独立・起業という選択肢を取る人が増えてくる可能性もあります。

 そんな起業家になるために必要な心構えの一つが「自分一人でできる」というエゴを捨てること。スタートアップ大国で「起業のバイブル」と称され、全世界で50万部超のベストセラー『起業マインド100』より20日連続でお届け。

 1日目は「助けを求めよう」

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著者:ケヴィン・D・ジョンソン(Kevin D. Johnson)
ジョンソン・メディア社の社長、連続起業家。数百万ドル規模のマーケティングとコミュニケーション企業を数年率いており、フォーチュン100に選ばれる最も重要な企業との仕事も多い。革新的なリーダーとしてABCの番組〈グッドモーニングアメリカ〉、CBS、オプラ・ラジオに出演。ニューヨーク・タイムズ、ウォールストリート・ジャーナルにも取り上げられる。さらに、CNNにも度々出演している。
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『起業マインド100』(サンマーク出版) ケヴィン・D・ジョンソン
『起業マインド100』

助けを求めよう

やりたいことを公言しなさい。そうすれば、誰かが助けを申し出てくれる。

(W・クレメント・ストーン 実業家、慈善家)

 人生の重要な4年間を過ごすことになるモアハウス大学に到着したときに、私は肩で風を切って歩いていた。

 その1年ほど前、モアハウス大学はコンピューター・サイエンスを学ぶための奨学金の全額給付を申し出てくれて、私はそれを受諾した。その奨学金はNASA(アメリカ航空宇宙局)が出資したもので、卒業と同時に宇宙計画に従事するよう、数学と科学を専攻する優れた学生を育成するためのものだった。

 8月に正式に講義が始まる前の初夏、私はモアハウス大学でNASAの奨学金を受けた30人ほどの学生とともに、6週間のオリエンテーションプログラムに参加しなければならなかった。私たちは選ばれた学生であり、エリートだという自覚があった。SAT(アメリカの大学進学適性試験)の得点とGPA(成績平均点)で高得点を誇る私たちは、とてつもなくうぬぼれていた。

 だが、すぐにその鼻っ柱をへし折られることになった。

 新たに手にした自由と楽しいことにあふれた気楽な夏になると思っていたら、拷問のような夏になった。プログラムのあいだ、私たちは解析学概論と高度なコンピューター・プログラミングを含む大学の講義を受けた。

 解析学概論の講義を受けもったのは、モアハウス大学を卒業した、いかにも気難しそうな厳しい教授だった。講義では正解がひとつもなかった。学生が正しい答えを出しても、教授はよくこう質問した。「この答えで正しいのか?」と。講義に出席するのは、指の爪を1枚ずつ剥がされるようだった。

 コンピューター・サイエンスの教授にも同じように自信を喪失させられたが、そのやり口は違っていた。穏やかな話し方をする、明るい教授だった。しかし、まちがった回答をすると、学生を笑いものにしてからかった。教授の話は脱線することも多く、その話題は人生全般に及んだ。

 夏の講義で最悪だったのは私たちの点数だった。たとえば、解析学概論の講義の最初の小テストで、最高点は55点だったと思う。私の点数はもっと低く、それ以上よくなることはなかった。教材も講義のペースもプレッシャーもあまりに過酷だった。NASAはそのことをきちんと把握していた。私たちは打ちのめされ、高慢な鼻をへし折られた。

求めたくなかった助け

 その結果、私たちは全員、大学で苦しめられるのを恐れ、8月に始まる講義初日のためにこれまでにないほど勉強した。

 学校で苦労したことのない学生は、NASAのプログラムで挫折しかかっていた。集団でパニックに襲われていたが、誰もが平気なふうを装っていた。勉強グループをつくり、社会活動を減らす学生もいた。私たちの多くは、無事に大学を卒業できるだけの能力と精神力があるのか疑問に思っていた。何人かは6週間のプログラムが終わる前に学校を去った。

 この時期が私には特にたいへんだった。高校時代、私は授業で誰かに助けを求めることなどめったになかった。困ったことがあっても、自分でなんとかできた。いまでは誰かに助けを求めたり求められたりしなければならなかったが、それが私にはかなり難しかった。助けを求めるのは弱さの証しだと思っていたからだ。

 しかし、そうするのをためらった結果、成績で高い代償を払うこととなった。

エゴを捨て自信をもて

 NASAのおかげで学生時代に私は教訓を得た。CEOになった私は、誓ってもいいが、同じ過ちを犯さない。

 実際に大学2年生のとき、最初にビジネスのアイデアを思いつくと、私はすぐに助けを求めた。私の新しい会社名とドメイン名について意見を聞くために、NASAの奨学生で仲のよかったクリスに連絡した。大学で他のビジネスを始める前にも、夜のミーティングに起業家を5人ほど招いて、私のビジネスのアイデアについて議論してもらい、そこからフィードバックと支援を受けた。起業した初日から誰かに助けを求めるのが私の習慣だった。

 10年以上たったいまでも、当時から私に助言してくれている人たちがたくさんいる。私が助けを求めて受けた支援は、私の会社の発展と私個人の成長にとってはかり知れないほど貴重なものだ。いつの間にか、私は自然に助けを求められるようになった。私はただエゴを捨てなければならなかったのだ。

 起業したらすぐにエゴをなくすことだ。

 起業家が助けを求めない主な理由はエゴだ。肥大したエゴのせいで、人は助けを求めているにもかかわらず受け取れなくなる。支援など必要ないようにふるまう人を助けたいと思う人はほとんどいないだろう。そして、自信をもつことと、自分のために肥大したエゴを抱えるのは違う。自信は人をひきつけるが、エゴは人を追いはらう。

 凡庸な人生や大失敗する人生を送る一番の近道は「自分ひとりで大きな仕事を成し遂げられる」と考えることだ。自力で成功した人など架空の存在だ。

 私たちの時代の最も偉大な起業家ですら助けを必要とした。

 あなたを押しとどめているものが肥大したエゴであれ内向的な性格であれ、安全なところから抜け出て助けを求めよう。あなたのビジネスはそれにかかっている。

<本稿は『起業マインド100』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>

(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)

『起業マインド100』(サンマーク出版) ケヴィン・D・ジョンソン

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