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電子書籍で読書量が2割増えた私が考える8つの利点

 あなたは、電子書籍を読みますか?

『読書脳』の著者で精神科医の樺沢紫苑さんは「小説と漫画に関しては、ほぼ100%電子書籍で読む」ほどの電子書籍フリーク。ビジネス書こそ紙で読むことが多いそうですが、情報を網羅的に集めたいときや、とりあえず書籍にあたりたいとき、すぐに内容を確認したい時、ある事柄について調べたいときには電子書籍を活用されています。

 年に約3冊のペースの書籍執筆、毎日のメールマガジン発行、YouTube動画の更新、SNSへの投稿という、樺沢さんの圧倒的なアウトプットを支えるのが、月20〜30冊の読書によるインプット。その一助となっている樺沢さんの電子書籍活用術とは?

『読書脳』(サンマーク出版) 樺沢紫苑
『読書脳』

電子書籍の登場で読書量が2割増えた!

 私は、小説と漫画に関しては、ほぼ100%電子書籍で読みます。ビジネス書に関しては、紙の書籍で読む場合が多いのですが、情報を網羅的に集めたいとき、とりあえず書籍にあたりたいときなどは、電子書籍読み放題サービス「Kindle Unlimited」が便利です。

 また、今すぐ本の内容を確認したい、ある事柄について今すぐ書籍で調べたいときは、購入してすぐに読める電子書籍のありがたさを感じます。

 私独自の電子書籍を使った読書術についてご紹介したいと思います。

 私は、アマゾンの電子書籍端末、Kindleを持っていますが、このKindleがとても便利です。Kindleを使うようになってから、読書量が2割は増えました。

 Kindleや楽天〈kobo〉、iBooksといった電子書籍には、極端にいうと何冊でも本を保管することができます。つまり、自分専用の図書館を持ち歩いているのと同じことです。紙の本であれば、読み終わればそれまでですが、電子書籍では次から次へと読むことができます。

 多読、速読する人にとっては、この上なく便利なツール。スキマ時間を最大限活用できる時間節約ツールでもあります。

 電車の中で、電子書籍を読んでいる人をときどきは見かけますが、現状、まだ多いとはいえません。電子書籍を上手に活用している人は、まだまだ少ないようですので、1章丸ごと「電子書籍読書術」について説明していきます(私が持っている端末がKindleだけということもあり、主にKindleについての話が多くなりますが、ご了承ください)。

<どちらが便利? 電子書籍VS.紙の書籍>

 電子書籍と紙の書籍。どちらが優れているのでしょうか?

 それは、時と場合によって違ってきます。

 まず電子書籍のメリットを理解し、それぞれの長所、短所を比べてみましょう。

【電子書籍のメリット 1】持ち運びが楽である

 電子書籍の最大のメリットは、「持ち運びが楽」ということです。

 紙の本の場合は、1冊200グラムとすると、2冊で400グラム、3冊で600グラムと、冊数に比例して、ドンドン重たくなっていきます。当たり前といえば当たり前ですが、その「当たり前」を覆くつがえしたのが、電子書籍です。

 電子書籍には、何冊でも本が入ります。「何冊でも」というと語弊がありますが、例えばKindleペーパーホワイト8GBモデルなら約2800冊の本を保管できます。

 また、容量がいっぱいになっても、電子書籍で購入した本は、クラウド上に保管されていますので、何度でもダウンロードすることができます。

 当面読まない本を端末上で削除しても、また好きなときにダウンロードできる。つまり、電子書籍端末を持ち歩いているということは、自分の蔵書全てを持ち歩いている、自分専用の図書館を持ち歩いているのと同じなのです。

 移動中に読んでいた本を読み終わった後、読むべき本がない、といったことは絶対に起こらないのです。

 旅行中もかなりの読書チャンスですが、スーツケースに何冊も本を入れると重くなってしまいます。そんなときも、電子書籍端末があれば、何百冊も持っているのと同じことなのです。電子書籍の登場によって、本を何冊も持ち歩き、重たい荷物を運ぶ苦労をするということから解放されました。

【電子書籍のメリット 2】本の保管が簡単である

 私は年に300冊以上読書するので、20年で6000冊以上は読んだはずです。1回読んで処分する本もありますが、保管している本も多く、蔵書数は何千冊あるかわからないほどです。それだけ本を持っていると、保管場所だけで相当なスペースをとります。

 さらに、年に300冊も本が増え続けるわけですから、本の整理・処分を定期的に行っていかないと、部屋の中に歩く場所もなくなってきます。

 本を処分するというのは簡単そうですが、100冊の本を処分するのはかなり大変です。「本好き」にとっては、「もう二度と読まない」と思っても、本に対する愛着もありますから、「捨てる」というのは心理的にも辛つらい作業です。

 そんな中、この電子書籍の凄すごいところは、本を捨てなくてもいい、ということです。本を整理したり、本棚や物置に移動したりする手間も必要ありません。購入して、読んだらホッタラカシ。

 必要があれば、いつでも読むことができる。

 本を捨てなくていい! 電子書籍であれば、購入した本をずっと保管できる! これは本好きにとっては、本当にありがたい、物凄いメリットなのです。

【電子書籍のメリット 3】紙の本よりも安くて読書量が増える

 月に何十冊も本を読む人は、本の購入費がかさみます。

「本は、できるだけ安く読みたい!」と、誰もが思っているはずです。

 しかし、特に今日発売された紙の書籍の「新刊」を安く購入することはできません。

 一方、電子書籍の場合は、今日発売された「新刊」でも、安く購入することができるのです。

 最近では、大手出版社の電子書籍市場への進出が進み、新刊発売と同時に電子書籍の発売を開始する出版社が増えてきました。紙の本と電子書籍の価格を比べた場合、電子書籍は10%から50%くらい安い値段で販売されているようです。

 ちなみに自分の本で調べてみたところ、『SNSの超プロが教える ソーシャルメディア文章術』(サンマーク出版)は、紙の書籍では定価1650円のところ、Kindle価格は849円、楽天〈kobo〉価格は943円でした。

 1600円以上する本が1000円以下で買えるというのは、心理的にも非常に楽です。

「この本、読みたい!」と思っても、1650円であれば買うのを躊躇することもあるかもしれませんが、943円であれば即買いするでしょう。

 1ヶ月の本の購入費が仮に1万円だとすると、1500円の本は6冊しか買えませんが、1000円の電子書籍であれば、10冊買えます。

 電子書籍を上手に活用すると、同じ「図書購入費」でも、30〜40%読書量をアップさせることも可能なのです。

【電子書籍のメリット 4】購入した直後から読め、時間節約になる

 ネット書店で本を購入すると、在庫があれば都内だとたいてい翌日には届きますし、アマゾンの「お急ぎ便」を使うと当日に届くこともあります。

 しかし電子書籍はそれより早い。購入した直後に読むことができるのですから。

 これもまた、凄い長所だと思います。

「この本、読みたい!」と思った瞬間が、その本に対する関心、期待値が最も高まっている瞬間です。そこで電子書籍で購入すれば、ダウンロードの時間を入れても1分後には本を読み始めることができます。そして、脳内でドーパミンが分泌されているまさにその瞬間に読むことができるので、記憶にも残りやすい。

 読みたいときに、すぐに注文して、すぐに読んで、すぐに問題解決できる。このスピード感が、思考速度や文章を書く速度を加速してくれます。

【電子書籍のメリット 5】いつでも好きなときに読み返せる

「あの本、どこにあったかなあ」と探してはみたものの、なかなか見つからない、ということは誰にでもあると思います。私のように膨大な蔵書を保有していると、そうした「探す」という時間の無駄がよく発生します。

 最悪なのは、どうしても必要な本がいくら探しても見つからなくて、もう一回購入する、というパターンです。時間とお金、ダブルの損失です。

 電子書籍であれば、必要な本を一発で検索できますから、「本が見つからない」「本を探すのが大変」「本を探すのに時間がかかる」ということから解放されます。

 また、外出中であっても、「あの本の、あの部分を調べたい」と思ったら、手元にある端末を開き、その本の該当箇所をチェックすることが可能です。自分の蔵書を全て持ち歩くことができるのですから。

「いつでも好きなときに読み返せる」。これもまた、凄いメリットです。

 辞書、事典、法令、マニュアルのような何度も見返す必要のある本に関しては、特に電子書籍が便利です。何百ページもあるような本は、机の上に持ってきて広げるだけでも大変ですから。

【電子書籍のメリット 6】秀逸すぎる「ハイライト」機能で復習が楽にできる

 私は紙の本を読む場合、本にマーカーでラインを引きながら読んでいますが、荷物を持った状態で満員電車に乗ると、片手しか使えず、またスペース的な問題から「マーカー読書術」ができない場合もあります。そんなときは、ページの端に折り目をつけて、後からラインを入れるという、二度手間なことをしなくてはいけなくなります。

 それが多くの電子書籍端末の場合、「ハイライト」機能によって、手でなぞるだけでラインを引くことができます。これが、非常に便利です。カラーに対応した端末であれば複数の色を選べ、またハイライトした部分を一覧にして、「名言集」のように見返すこともできるので、復習も簡単です。

 本を読み終わった後に、ハイライト部分だけを1分ほどで読み返してみる。それだけで、「アウトプット1回」に相当しますから、より記憶に残りやすくなります。

 ラインが簡単に引けて、復習も簡単にできる。これは、電子書籍で読書をする大きなメリットの1つといえるでしょう。

【電子書籍のメリット 7】満員電車の中で読みやすい

 スキマ時間で月30冊読む。私にとって、電車での移動時間は、最も重要な読書時間です。ところが満員電車の中で紙の本を読むのはかなり大変です。両手が空いていればいいのですが、荷物を片手に持っている場合、片手だけではページめくりができません。

 そんなときは、電子書籍端末が便利です。片手で持って、ページめくりも片手でできます。満員電車の中でも、紙の書籍を読むよりは、電子書籍端末のほうがスペースをとらずに読めるので、他人の迷惑にならない。

 満員電車という本を読みづらい環境でも、電子書籍があると読書が楽にできるのです。

【電子書籍のメリット 8】老眼にやさしい

 私のように「老眼」が出てくる年齢になると、小さい字で書かれた本が非常に読みづらい。あるいは無理して読んでいると目が疲れるということがあります。

 電子書籍の場合は、文字の大きさや行間を自由にカスタマイズできます。自分の読みやすいサイズで、またフォントも「明朝」と「ゴシック」などから選ぶこともできますので、読みやすい快適な読書ができます。

「国語に関する世論調査」(2018年度)の結果によると、読書量が減った理由の第2位が、「視力など健康上の理由」(37・2%)となっています。視力低下、老眼によって本を読まなくなったとすれば、逆にいうと読みやすい本が登場すれば読書量が増えるということです。電子書籍は、中高年者の読書量アップに貢献できるかもしれません。

<本稿は『読書脳』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>

(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)


【著者】
樺沢紫苑(かばさわ・しおん)
精神科医、作家。1965年札幌生まれ。札幌医科大学医学部卒。2004年から米国シカゴのイリノイ大学精神科に3年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。「情報発信によるメンタル疾患の予防」をビジョンとし、YouTube(48万人)、メールマガジン(12万人)など累計100万フォロワーに情報発信をしている。著書46冊、累計発行部数240万部のベストセラー作家。シリーズ累計90万部の『アウトプット大全』(サンクチュアリ出版)をはじめ、『神・時間術』(大和書房)、『ストレスフリー超大全』(ダイヤモンド社)、『言語化の魔力』(幻冬舎)、『読書脳』(サンマーク出版)など話題書多数。

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