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SAPIX流「4年生」になったら身につけたい勉強法3つ

 中学受験対策として塾に通い始める子が増えてくるのが小学4年生。まずは学習習慣を身につけることが大切です。(参考記事:SAPIX流「4年生」に身につけてほしい学習習慣/2024年3月20日配信

 学習習慣が身についたあと、実際にどう勉強を進めていくといいのでしょうか。

 教育・学習ライターの小川晶子さんが大手中学受験塾のSAPIX(サピックス)小学部に取材して、低学年から試験当日まで、親ができるサポートと学年別のポイントをまとめた『SAPIX流 中学受験で伸びる子の自宅学習法』よりお届けします。

『SAPIX流 中学受験で伸びる子の自宅学習法』(サンマーク出版) 小川晶子 SAPIX小学部
『SAPIX流 中学受験で伸びる子の自宅学習法』

「ながら勉強」はやめ、集中して取り組む習慣をつけよう

 4年生からは勉強の時間を毎日少しでも組み込んでいきたいところですが、長ければ長いほどいいというわけでもありません。1日は24時間。限られた中に、学校、習い事、遊びや趣味の時間、そして食事や入浴、睡眠と大事な時間があります。そういった時間を削って勉強時間を捻出しようとするよりも、限られた時間で集中して勉強する練習をしましょう。

 避けなければならないのが「ながら勉強」です。テレビをつけっぱなしにして、なんとなく見ながら。きょうだいと遊びながら。おやつを食べながら。

 何か別のことをしながら勉強していると、当然ながら集中力が分散します。集中できていないので、せっかく勉強しても頭に残りにくいうえ、時間が余計にかかります。「今日は3時間も勉強した!」と言っても、実質は1時間程度ということだってあるのです。

 たとえばテレビについて。テレビはつけっぱなしにするのではなく、見たい番組があるときだけ電源を入れるのがコツです。

 テレビをつけっぱなしにしていると、情報を聞き流す習慣がついてしまいがちです。特定の番組を見ると決めたら、その時間はテレビを見ることだけに集中したほうがいいでしょう。もちろん、「朝、出かける前はニュース番組をつけておく」といった家庭での習慣自体は問題ありません。

 人の話を集中して聞くことも、4年生からしっかり身につけたい習慣です。

 塾での授業中でも、先生の話を聞きながら荷物を片づけるなど、何かをしながら話を聞く子はけっこういます。すると、やはり話に集中できていません。話を集中して聞くことができる子と、注意力が散漫な子とでは、理解度に大きな差が生じてしまいます。

一つひとつ集中して取り組むことを意識して習慣づけていきましょう。

行事・旅行・好きなことを深める時間も大切に

 4年生のうちは、勉強一辺倒というわけではなく、家の手伝いや季節の行事、旅行など、いろいろな経験ができるとよいでしょう。遠回りに思えても、よい影響があります。

季節の行事については、いつ、なぜその行事があるのかということを知り、体験することで生きた知識になります(実際に入試に出されることもあります)。

旅行に行った際は、地域の特色を肌で感じながら「なぜ、これが発展したのか?」ということを一緒に考えたり調べてみたりしてください。その土地の産業や文化は、気候的な条件や地理的な条件などによって発展しているものですし、歴史にもかかわることがあります。親子でそういう話をすることで、興味も広がります。日頃から「なぜ?」という視点を持っていれば、問題を解く際にも活かされるに違いありません。

 また、興味があることについては、勉強に関係があるかどうかにかかわらず、積極的にチャレンジしてほしいと思います。4年生の間はまだ余裕もありますから、好きなことに取り組む時間を持つことをおすすめします。

 たとえば、野球やサッカーなどのスポーツ、ピアノやバレエなどの習い事に打ち込む子は多いですね。また、鉄道に興味がある、お菓子作りが趣味など、子どもによって興味・関心の対象はさまざまです。アイスホッケーに打ち込む子、箱根駅伝が好きで雑誌を揃える子もいたそうです。

 今挙げた例は、勉強とは直接関係のないものばかりですが、それでよいのです。逆に取り組む内容を、勉強に関係あるものだけに限定すれば、学力の幅が狭くなってしまいます。スポーツや、芸術・趣味を通じて得た経験や知恵は、本人の学力の土台を形づくる重要な要素になるはずです。

成績に一喜一憂しない

 SAPIXをはじめ、多くの塾では成績によってクラスが分かれています。定期的にテストを行い、その結果でクラスが変わるのはよくあることです。また、テストで現在の偏差値や順位などを確認する機会もあるでしょう。

 大事なことは、成績に一喜一憂しないことです。先ほどから説明している通り、4年生の間はコンスタントに学習する習慣をつけることが大切ですから、テストの成績によってコロコロと勉強のやり方を変えるのは感心できません。

 この時期のテストの成績はちょっとしたことで上下するものです。テスト慣れしていないため、回によってうまく取り組めるときもあれば失敗するときもあるのは普通のことです。出題内容が得意分野だったのか不得意分野だったのかによっても成績は大きく変わるでしょう。

 大事なのは、親子ともに1回のテストの成績に振り回されないことです。

 結果が出なかったときは、次への課題が見つかったと前向きにとらえましょう。

 そのテストに向かうまでの学習の過程、たとえば①勉強時間は確保できていたかどうか、②理解できていない部分が残っていなかったかどうか、などを検証することでも、次への課題が見えてくることがあります。

4年生の前半は、ある程度の努力をすれば成果が出やすい時期です。この時期にきちんと努力して、「頑張ったら結果が出せるんだ!」と実感することも大事です。

 早めに「結果の出る楽しさ」を実感させてあげることができれば、その後の学習をスムーズに進められることでしょう。

<本稿は『SAPIX流 中学受験で伸びる子の自宅勉強法』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>

(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)
Photo by Shutterstock


【著者】
小川晶子(おがわ・あきこ)
教育・学習ライター、絵本講師。東京都立大学教育学科卒業後、商社勤務を経てライターとして独立。多くの実用書制作に携わる。二人の子どもを出産後は、子育て・教育系の書籍、子ども向けの書籍制作がメイン。「本と教育」に興味があり、絵本の読み聞かせ活動にも積極的に関わっている。自著に『文章上達トレーニング45』(同文舘出版)『オタク偉人伝』(アスコム)『超こども言いかえ図鑑』(Gakken)がある。

(協力)
SAPIX小学部

『SAPIX流 中学受験で伸びる子の自宅学習法』(サンマーク出版) 小川晶子 SAPIX小学部


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