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SAPIX流「4年生」に身につけてほしい学習習慣

4月から迎える新学期。小学4年生になると中学受験を念頭として塾に通い始める子も増えてきます。

あまり受験勉強に絞りすぎずに、いろいろなことに興味関心を持って学んでもらいたい時期ですが、中学受験で伸びる子が4年生でとくに身につけておきたいことの一つが、学習習慣をつけていくことです。

教育・学習ライターの小川晶子さんが大手中学受験塾のSAPIX(サピックス)小学部に取材して、低学年から試験当日まで、親ができるサポートと学年別のポイントをまとめた『SAPIX流 中学受験で伸びる子の自宅学習法』よりお届けします。

『SAPIX流 中学受験で伸びる子の自宅学習法』(サンマーク出版) 小川晶子
『SAPIX流 中学受験で伸びる子の自宅学習法』


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学習習慣を身につけよう

 4年生の目標は、学習習慣をしっかりつけることです。

 ただし4年生のうちは、「何時間勉強しよう」などということは決めなくてもよいと思います。子どもによって集中力が続く時間は異なりますし、最初から「◎時間勉強する」などと時間から決めると、「勉強嫌い」になりかねません。

毎日少しずつでも勉強することを目標にし、「この曜日にはこれをやろう」という1週間の大まかなスケジュールだけ決めておきましょう。あまり細かく決めても、うまくいかないものです。うまくいかないとイヤになってしまいます。大事なのは勉強への心理的なハードルを下げていくことです。ざっくりしたスケジュールを組むことと、達成感を感じられるようにすることがポイントです。参考までに、図5-1に一例を挙げておきます。

『SAPIX流 中学受験で伸びる子の自宅学習法』 毎日少しでも勉強するスケジュールの例

 朝は起きたあと、ルーティンとして計算練習や漢字・語彙練習、理科・社会のテキストを読む、といった短時間で集中して取り組むべき内容を組み込みましょう。

 算数と国語の問題に取り組む際はある程度まとまった時間が必要なので、集中して取り組める時間帯に入れておきます。理科・社会の問題演習は、知識の確認がある程度進んだ後で行なうのが効果的です。

 あとは、土曜か日曜に余白の時間、つまりその週で終わり切らなかった内容に取り組める時間を設定するとよいでしょう。

 予定をクリアできたらカレンダーにハナマルをつけるなど、何かしら達成感を感じられるものを用意しておくといいですね。そして、残った時間はゲームで遊ぶ、漫画を読むなど好きなことにあてる時間にすればいいでしょう。

早めに課題が終わったら「勉強はおしまい」でいい

 子どもの課題が早く終わったように見えたからといって、「できたなら、これもやれば?」と課題を増やすのはおすすめしません。

 本人にやる気がある日ならいいのですが、そうでない場合、「頑張れば頑張るほどやることが増える」と感じると、イヤになってしまいます。

 親から見ると甘い目標に感じても、クリアできたら「できた!」という達成感を味わうことを大切にしてあげましょう。

理想を言い始めると、「あれもやったほうがいい」「これもやったほうがいい」ということになりますが、それを押しつけて勉強嫌いになっては、意味がありません。できるところからスタートするのが肝心です。

時間で区切ったほうがいい? 課題で区切ったほうがいい?

 学習の計画は、その日にやるべきことを決めて取り組むわけですが、日によってなかなか終わらないこともあると思います。算数の問題を4ページ分やる予定だったが、思ったより進まずに、あと1問を残して夕飯や入浴の時間になってしまったというようなこともあるでしょう。

 そんなとき、予定通り進めることを優先したほうがいいか、途中であっても時間で区切って翌日に回したほうがいいかは、子どものタイプによって違います。

 取り組んでいる問題が解決しないままやめてしまうことがイヤだと感じる子は、時間を延長して、キリのいいところまで頑張ったほうがいいでしょう。睡眠時間は確保しなくてはなりませんが、本人が納得できるまで取り組みます。

 一方、時間で区切ってしまったほうがいい子もいます。「まだ終わっていないのだから、もうちょっとやりなさい」と言っても、すねてしまって全然進みません。無理に予定をこなさせようとしても逆効果です。その場合は、潔く時間で区切って終了にしてください。「今日も〇時間頑張ったね」と認めて、気持ちよく1日を終えることです。そうすれば翌日に「昨日解けなかったところも頑張るぞ!」と張り切ってできます。

これは子どもの個性なのです。無理に矯正しようとせず、個性に合わせて柔軟にスケジュールを組むことが大事です。

 そもそも最初に決めたスケジュール通りにいくことなんてめったにありません。お父さんお母さんは、子どもの様子を見ながらスケジュールは見直すものだという心づもりでいるのがいいのです。

<本稿は『SAPIX流 中学受験で伸びる子の自宅勉強法』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>


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【著者】
小川晶子(おがわ・あきこ)
教育・学習ライター、絵本講師。東京都立大学教育学科卒業後、商社勤務を経てライターとして独立。多くの実用書制作に携わる。二人の子どもを出産後は、子育て・教育系の書籍、子ども向けの書籍制作がメイン。「本と教育」に興味があり、絵本の読み聞かせ活動にも積極的に関わっている。自著に『文章上達トレーニング45』(同文舘出版)『オタク偉人伝』(アスコム)『超こども言いかえ図鑑』(Gakken)がある。

(協力)
SAPIX小学部