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脳の働きが良い人が知っている8つの脳番地の役割

「学生時代は丸暗記が得意だったのに、大人になった今、同じように勉強しても何も頭に入ってこない」

大人になってから、資格取得や昇級試験、語学の勉強など仕事で必要に駆られて勉強を始めた人がぶつかりがちなのが、物覚えの悪さ。「年齢のせい」にしたくなりますが、真相は違います。

高校生くらいまでの自分と大人になってからの自分では脳の働き方がガラリと変わってしまっているのです。大人には大人の勉強法がある。そのカラクリを解き明かしているのが、累計13万部超のベストセラーで脳内科医・加藤俊徳さんの著書『一生頭がよくなり続ける すごい脳の使い方』です。

大人になってからも脳をしっかり働かせるうえで知っておいてほしいことの1つが、加藤さんが名づけた「8つの脳番地」の存在。本書から一部抜粋、再構成してお届けします。

『一生頭がよくなり続ける すごい脳の使い方』(サンマーク出版) 加藤俊徳
『一生頭がよくなり続ける すごい脳の使い方』


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8つの脳番地の特徴を理解する

 脳は社会の縮図そのものです。

 脳には1000億個以上という途方もない数の神経細胞がありますが、得意分野ごとに集団を形成し、脳の中に拠点を作っています。

 会社で言うならば、社長がいて執行役員や秘書がいて、営業などの部署に分かれているのと同じこと。

 私は、脳の中で部署のような役割を果たす場所をそれぞれの役割に基づいて「脳番地」と名づけました。

 みなさんが人生100年時代を存分に味わい尽くすために絶対に知っておいてほしいのは、8つの脳番地だけです。

思考系脳番地……思考・意欲・想像力などを司り、何かを考えるときに働く。

理解系脳番地……目や耳から入ってきた情報を理解する。わからないことに対して、推測して理解しようとする際にも働く。

記憶系脳番地……ものを覚えたり、思い出したりするときに働く。情報を蓄積させ、使いこなす。記憶を司る海馬の周囲に位置する。

感情系脳番地……喜怒哀楽を感じ、表現する。生涯にわたり成長を続け、老化が遅いのが特徴。脳の複数の部位に位置する。

伝達系脳番地……コミュニケーションを通じて意思疎通を行う。

運動系脳番地……手・足・口など、身体を動かすこと全般に関わる。脳の中でもっとも早く成長を始める。

視覚系脳番地……目で見た映像や画像、読んだ文章を脳に集積させる。

聴覚系脳番地……耳で聞いた言葉や音を脳に集積させるために働く。

 実際には、私のような脳の専門家が使う脳の地図には、左脳と右脳に各60ずつ、合計120の脳番地が記載されていますが、その中でも重要なのが、この8つの脳番地です。

 各脳番地は、いずれも左脳・右脳の両方にまたがっています。

 左脳にある脳番地は言語や計算など論理的な働きが強く、右脳は直感やひらめきなど感覚に強いという特徴を持っていますが、ここではひとまず置いておきましょう。

 この8つの脳番地の特性を理解し、各脳番地の連携を強化し、自分らしく使いこなしていくことで、あなたの学ぶ力はぐんぐん成長します。

 そればかりか、人生を終えるまで、右肩上がりに脳を成長させていくことだって不可能ではありません。

脳番地の生産性を上げるも下げるもあなたの環境づくり次第

 会社組織でも、花形と呼ばれる部署がある一方で、表舞台に立つ機会は少ないけれど彼らがいないと会社が成り立たない、縁の下の力持ちのような部署もあります。

 脳も同じで、持ち主である私たちが、8つの脳番地がそれぞれの役割を十分に果たせる環境をしっかりと整えることが、生涯を通じて右肩上がりの脳を育てるポイントです。

 誰か一人にオーバーワークを強いてもいけないし、サボってばかりのダメ社員を野放しにしていてもいけません。

 脳がよく働けば、その持ち主である自分へのリターンも大きくなります。

いわばあなた自身は、優れた脳番地たちで形成された株式会社ブレインの監査役。

 脳が効率よく働くことで利益が上がっているか、努力に対して適正な成果が上がっているか、その収支を見守り、軌道修正を促す役割を持っています。

 脳の社長は、意思決定の要である思考系脳番地です。

 社長のよき理解者でありパートナーである常務が理解系脳番地。

 あまり表舞台には出てきませんが、記憶系脳番地は総務部長的役割。

 この思考系脳番地、理解系脳番地、記憶系脳番地の3人が、いわゆる株式会社ブレインのトップ3。

 脳に入ってきた情報をもとに、三者が意見交換し、最終的な決断は社長の思考系が下しています。

 社長が下した決断をパワーポイントでまとめて資料を作成したり、社外に伝えたりするときは広報の伝達系脳番地の出番です。

 状況に応じてトップ3に冷静さを促したり、イケイケに感情を昂らせるように仕向けたりして、陰で株式会社ブレインを操っているのが感情系脳番地。

 社内で情報を集めたいときには、現場での情報収集をメインの仕事とする運動系・視覚系・聴覚系の営業部門に声がかかります。

 彼らは現場へと赴いてたくさんのものを見聞きし、そこで得た情報を思考系・記憶系・理解系へと渡します。そしてこの三者がまた相談して……ということを繰り返し行っているのです。

 たった今、繰り返し行っていると言いましたが、脳番地の8人も脳ちゃんと同じく、基本的には怠け者。すぐサボりたがるメンバーです。

 持ち主である私たちが、脳番地にとって風通しの悪い働きにくい環境にしてしまうと、今述べたような働きをしなくなったり、ミスをしたり、生産性がとにかく下がってしまうというわけです。

<本稿は『一生頭がよくなり続ける すごい脳の使い方』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>

【著者】
加藤俊徳(かとう・としのり)
脳内科医、医学博士。加藤プラチナクリニック院長。株式会社脳の学校代表。
昭和大学客員教授。発達脳科学・MRI脳画像診断の専門家。脳番地トレーニング、脳活性音読法の提唱者。14歳のときに「脳を鍛える方法」を求めて医学部への進学を決意。1991年に、現在、世界700カ所以上の施設で使われる脳活動計測fNIRS(エフニルス)法を発見。1995年から2001年まで米ミネソタ大学放射線科でアルツハイマー病やMRI脳画像の研究に従事。ADHD、コミュニケーション障害など発達障害と関係する「海馬回旋遅滞症」を発見。独自開発した加藤式MRI脳画像診断法(脳相診断)を用いて、小児から超高齢者まで1万人以上を診断・治療。脳の成長段階、強み弱みの脳番地を診断し、薬だけに頼らない脳番地トレーニング処方を行う。著書に、『脳の強化書』(あさ出版)、『脳の名医が教える すごい自己肯定感』(クロスメディア・パブリッシング)、『不安を力に変える』(扶桑社)、『ADHDコンプレックスのための“脳番地トレーニング”』(大和出版)、『1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き』(ダイヤモンド社)など多数。

(イラスト:うのき)
Photo by Shutterstock

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