子どもが「おともだちとケンカしちゃった」どうする?
「けんかしちゃった!」「話してたら相手が急に怒り出したんだけどどうしよう!」
お子さんのピンチを、どう助けてあげればいいのか? そこで伝えるコミュニケーションのコツは一生ものです。
齋藤孝さんの新刊『こんなときどう言う?事典』よりお届けします。
「おともだちとけんかしちゃった……」への正解は?
A 「ごめんね」って謝ろう
B 「ねえねえねえねえ」ってケンカがなかったように話しかけちゃう
C 小っちゃい紙に「昨日はごめんね」って書いてわたす
正解)基本はA。でも、話しかけるのが苦手な子はCでも大丈夫です。Bのように話しかけて、普段通りに話せたら、それでまた仲良くなってしまうこともあります。
<ケンカした。自分は悪くないと思うけど、このまま仲違いはしたくない>
基本)「ごめんね」って謝ったほうがいいよ
できる!)「ねえねえねえねえ」って、ケンカがなかったように話しかけちゃう
これだけでもOK)ちっちゃい紙に「昨日はごめんね」って書いてわたしたら?
<「ちがう」と思ったらきちんと説明しよう)>
ケンカしたときに、「ぼくは悪くない!」「あっちが悪いのに!」と思うことはあるよね。
でも、相手のほうだって「自分は悪くない!」「あっちが悪いのに!」って思っているかもしれないんだ。そういう食い違いがあるからこそ、ケンカになっていると思うんだよね。
お互いに「あっちが悪い!」と思っていると、いつまでたっても解決しないし、なんとなく気まずい状態が続きます。だったら、早めに解決しちゃったほうがいいよね。
ケンカになったことを謝ろう
解決方法として、もっとも簡単で、もっともおすすめなのが、きみが大して悪くなくても、「この前はごめんね」と謝ってしまうことです。
「自分は悪くないのに、どうして謝らないといけないの!?」と思うかもしれないけれど、これは「自分が悪かった」と謝っているわけではないんだ。「ささいなことなのに、ケンカにまでなっちゃってごめんね」ということなんです。
細かいことまでは言わなくていいので、そういう気持ちで「この間はごめんね」と言えば、相手も許さないことはないでしょう。もしかすると、「こっちこそごめんね」と言ってくれるかもしれないよ。だから、「ごめんね」と言うだけで、仲直りできることが多いのです。
手紙をわたしてもいい
もし、口で「ごめんね」と言いにくかったら、「ごめんね」と紙に書いてわたしてもいいと思いますよ。この場合、紙はだれかにわたしてもらうのではなく、ちゃんと自分でわたすことが大切です。
ケンカについては触れないで、別の話題をするという方法も、いいんじゃないかな?
たとえケンカをしていても、お互いに話していると楽しくなる話題があると思うんです。そういった話を持ち出すと、ケンカをしているはずなのに、ついつい二人で話しちゃう、みたいなことがあるよね。そんなふうに会話をしているうちに、ケンカのことはどうでもよくなったりもするんだ。
つまり、ケンカの原因について、あれこれ考えないということですね。「どっちが悪いのか」なんて言い出すと、またケンカになっちゃうのでね。
じつはね、人間の気持ちの中でも、「おこっている」という気持ちは、そんなに長続きしないものなのだそうです。
だから、あえてケンカのいかりを横に置いておいて、ほかの話題で仲よくして、ケンカのいかりが消えていくのを待つのも、一つの方法なんです。
POINT 相手も仲直りしたいと思っているよ
<朝起きたら、友達と待ち合わせをしていた時間だった!!! 会ってなんて言おう……>
基本)「ごめんね。こういう理由があったんだ」と理由をそえて謝ろう
できる!)遅刻しない癖をつけたほうがいいよ
これだけでもOK)気づいたらすぐ謝ろうね
<すなおになることがいちばん大事>
ぼくは人々にとって一番大切なことは、すなおなことだと思っています。だから、自分が悪いと思ったら、すなおに謝ってしまいましょう。「ごめんね」「すみません」と謝って、きちんと頭を下げるんです。
謝らないと、相手もずっとイライラしてしまうし、きみ自身も「だらしない人」「迷惑な人」というイメージを持たれて、いいことは一つもありません。
だから、「ごめんね」と言うだけで、相手はもちろん、きみ自身も楽になりますよ。
理由を添えて謝ろう
謝るときには、理由をきちんと言うようにしましょう。遅刻したなら、「バスが遅れてしまって」「寝坊してしまって」とかね。理由によっては相手も、「じゃあ仕方ないかな」と思えますし、おこられるにしても「今度は気をつけてね」程度で済むことが多いんです。
失敗をしたときには、すなおであることが、もっとも大切なんです。きみに責任があるならば、正直に「ぜんぶわたしのせいです」と言えれば、そのときはきつく言われるかもしれないけれど、「あの人は自分の責任を認められる、しっかりした人だ」と思ってもらえるようにもなりますから。
みなさんは、「すなおさ」や「正直さ」が大切だとした、アメリカの初代大統領であるジョージ・ワシントンの話を知っているかな?
一説に子どものころのワシントンが、木を切るオノを借りてきて、何か切りたくなり、お父さんが大切にしていた桜の木を傷つけてしまったのです。ワシントンは、それを隠さず、おこられることを覚悟のうえで、お父さんに打ち明けました。するとお父さんは、おこることなく、「よく言ってくれた。お前のすなおさは、1000本の桜以上の値打ちがある」とほめてくれたという話があるのです。
この話自体は、後世の人がつくった話という説もありますが、すなおで正直であることが、何よりもすばらしいということは、時代を超えて伝わるよね。ごまかすと、あとからバレて大変なことになったりもするし、ごまかすクセがついてしまいます。そうなると、「あいつはうそつきだ」「あの人は信用できない」と思われたりします。
どうしたら同じ失敗をくり返さなくてすみますか
さて、理由を正しく伝えて謝ったとしても、それで終わりというわけではありません。同じ失敗をくり返さないように、気をつけることが大切なんです。
遅刻してしまったときには、今後は遅刻しないように、待ち合わせ場所には少し早めに行ってもいいよね。寝坊するくせがあるなら、家族に無理やりにでも起こしてもらうなど、いろいろな工夫をして、失敗を防ぐようにしましょう。
POINT すなおに謝れる人は信頼もされる
<本稿は『こんなときどう言う事典』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>
(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)
【著者】
齋藤孝(さいとう・たかし)
明治大学文学部教授
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