ダメもとでお願いする人とためらう人は何が違うか
ビジネスにおいて人の助けを借りる、あるいは何かの便益を得るために「お願い」するのは気が引ける――。
そう考えるのはもったいない話かもしれません。
『起業マインド100』より20日連続でお届け。
5日目は「お願いする勇気を持つ」
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著者:ケヴィン・D・ジョンソン(Kevin D. Johnson)
ジョンソン・メディア社の社長、連続起業家
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お願いする勇気を持つ
アトランタの中心部を通る主要な高速道路を車で走っていると、中層建築の外壁にある巨大な広告が目に入った。人気のある市の一等地、ミッドタウンにできた居住用建物のグランドオープンを宣伝するものだった。
建物に空室があることを考えると、そのオーナーは、若者をターゲットにした私のメディアに大きな広告を出すかもしれない。
私はそこにあった電話番号とウェブサイトを控え、数日後に連絡をとった。すると、すぐに建築業者と管理会社とのミーティングを開くことができた。
簡単なミーティングのあと、かなり早く契約を結ぶことができた。私の勘のおかげだ。当時、私が契約した最大の取引のひとつだった。
この取引に私は特に興奮したが、もっといけるんじゃないかと夢想した。
「アトランタを一望できる街の中心部にオフィスをもてたら、最高じゃないか」と思った。
少しのあいだ、オフィスとしてそこの大きな部屋を使わせてもらえるかどうか、建築業者に相談しようか私は思案した。そんな考えはバカげていると思った。しかしそのとき、いくつものすばらしい契約をどのようにして結んだかについて私のメンターが話してくれたことを思い出した。
私は考え直した。すでに取引をまとめていたので、たずねてみても損はないだろう。そこで、私は建物のオーナーにきいてみた。
「オフィスとして、ひと部屋使わせていただくことはできませんか?」
「もちろんです。何の問題もありません」とオーナーである建築業者が返答した。
わが社のサービスにかなりの報酬を支払ってくれるだけでなく、オーナーは建物の中で一番いい部屋を使わせてくれた。
数週間のうちに、120平米ある、新築で家具付きのオフィスに引っ越した。そこは立地も完璧で、市街の眺望もすばらしい空間だった。それどころか、通りを挟んだ向かいには〈プライスウォーターハウスクーパース〉とグーグルの新しいオフィスもあった。この新しい場所が数年間わが社の本社になった。チームの10人も私もここが気に入った。
もしあのとき私が無理だとあきらめて黙ったままでいたら、このすばらしい機会を逸していただろう。
ダメもとでお願いしてみる
起業した当初は、自分にこんなことができるとは考えもしなかった。ただお願いするだけで、都会の一等地にあるすばらしいオフィスをタダで使わせてもらえるなんて想像もしなかった。顧客に頼むだけで高級車をもらえるなんてことも、ちらりとも頭をよぎらなかった。
ほしいものをただ求めるだけで、驚くような取引をいくつもまとめられたあと、可能性に対する私の考え方はすっかり変わった。経験のせいで自分の現実の範囲が縛られていると、現実を超えるものを想像するのが難しくなると学んだ。そして、いったん自分の現実の範囲を広げると、私は信じられない取引を結べるようになった。
私はメンターから、ビジネスにおいてほしいものを要求することを教わった。彼は不可能なことなどないと信じていた。もしそのことを教わっていなかったら、私はお願いするのを恐れるあまり、いくつもの機会を逃していただろう。
恐れていたのはいくつか理由があるが、おそらく年齢が若いせいで、私にはそうした機会がふさわしくないと思っていたのだ。ありがたいことにメンターのおかげで、私はもっと大きな考えに心を開くことができ、メンター独自の経験を通じて何ができるのかがわかるようになった。
結局のところ、考えて何ができるのかわかることと、それをお願いする勇気をもつことのあいだには大きな違いがある。私はそれを学んだのだ。何かほしいものがあるなら、頼んでみた方がいい。時にどんなものが手に入るのかを知って、あなたはきっと驚くだろう。
<本稿は『起業マインド100』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>
(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)
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