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過去の後悔、未来の心配を考えても役には立たない

「一度考え始めると、延々とそのことばかりが頭から離れない」

多かれ少なかれ誰しもそういう経験はあるでしょう。対人関係、自分自身、家族、仕事……過去の後悔、現在の不満、未来への不安など思考がグルグル回ります。しかし、そうして考えていることの99%は恐らく役に立たないのです。

自費出版から異例の全米ベストセラーとなった『THINK STRAIGHT』の邦訳版で、意思決定スキルや集中力、精神の明晰さを手に入れるのに役立つ考え方やテクニックを盛り込んだ『まっすぐ考える 考えた瞬間、最良の答えだけに向かう頭づくり』から一部抜粋、再構成してお届けします。

『まっすぐ考える 考えた瞬間、最良の答えだけに向かう頭づくり』(サンマーク出版) ダリウス・フォルー
『まっすぐ考える 考えた瞬間、最良の答えだけに向かう頭づくり』


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考える必要のない余計なことリスト

 思考は難しい。昔の私は、思考を止めることができなかった。油断すると、何時間もずっとぐるぐると考えごとをしてしまう。夜、ベッドの中にいるときは特にひどい。

 しかし、1つ確実に言えるのは、これまで考えたことの99%は何の役にも立たなかったということだ。

 何かを考えたとしても、たいていの場合、その思考が何かの行動につながることはない(心当たりがあるのでは!?)。問題を解決するわけでもない。本で読んだ難しい概念の理解につながったこともない。ただ自分の頭の中で、このイラストのようなことを考えていただけだ。

 私はこういったことを「思考」と呼んでいた。しかしその実態は、思考というより、むしろ心配やストレス、パニックだ。呼び方は何でもかまわない。ちなみに私は「余計なことで頭がいっぱいになった状態」と呼んでいる。

 余計なこととは何なのか? それだけで無限のリストがつくれそうだが、ここではいくつか例をあげよう。

「余計なこと」リスト

・「上司にどう思われるだろう?」
・「失敗してクビになったらどうしよう?」
・「彼はきっと私のことなんかどうでもいいと思っている」
・「私は失敗してばかりだ」
・「彼女は私を愛しているのだろうか?」
・「なぜ私の人生はいつもうまくいかないんだ?」
・「他の人はみんなキラキラした人生を送っているのに、なぜ私は違うのだろう?」
・「自分の仕事が好きになれない。自分に問題があるのだろうか?」
・「私は何をやっても中途半端だ。自分がイヤになる」
・「もうやめたい」

 ここであなたに、1つ尋ねたいことがある。

 こんなことを考えて、いったい何の役に立つのだろう?

 さあ、答えをどうぞ。まだ答えがわからない? そう、まさにそれが答えだ。

 こういった思考は何の役にも立たない。それでも私たちの誰もが、こういう役に立たないことを考えてしまう。

 どうすればこの思考を止められるのか? 

 残念ながら、役に立たない思考を止める方法はないようだ。人間は自分の意識をコントロールできない。私たちにできるのは、どの思考を選ぶかを決めることだけだ。

 あなたはただ、自分の思考に「気づく」だけでいい。自分がそれを考えていることを認める。ただし、ここで自分を責めてはいけない。「なぜ自分はこんなことを考えるのだろう?」という質問も禁止だ。この質問に答えられる人はいない。

 ここでの取るべき行動は、ただ自分の思考を自覚して、その中から無視する思考と、重要な意味を持つ思考を選ぶことだ。

 たとえば私の場合、「今している何かをやめたい」という思考がつねに頭の中にある。覚えているかぎりずっとそうだ。高校生のときは、学校を辞めてすぐに働きたいと思っていた。バスケットボールをしていたときも、つねにやめたいと考えていて、後になって実際にやめた。

 そんな調子で、現在にいたるまでずっと何かをやめたいと考えている。自分のしていることがどんなに好きでも、やめてしまいたいという考えが、少なくとも月に3、4回は頭に浮かぶ。昔は「やめたい」という思考のせいで、夜も眠れないこともあった。

 しかし、今からおよそ2年前、私はこんな自分にほとほとうんざりした。考えること自体をやめてしまいたかった。

 そこで、自分の思考にいちいち反応するのをやめ、代わりに自分の思考を自覚することに集中してみた。自分に向かって、「お前にはコントロールされないぞ」と言ったりした。まわりからはさぞかし変な人に見えたことだろう。

 この方法はうまくいき、おかげでずっと心が穏やかになった。私は今でも、思考を止めたくなると、まず自分の思考を自覚するようにしている。なぜなら、その思考に大切なヒントが隠されていることもあるからだ。だがたいていの場合、思考はただの恐怖にすぎない。

 私は恐怖に屈服するのを拒絶することにした。

自分がコントロールできることを考える

 役に立つことを考えたいなら、1つ経験則を教えよう。

 それは、「自分がコントロールできることだけ考える」だ。

 それだけで思考の99%は排除されることになる。なぜなら、人生でコントロールできることはほとんどないからだ。

 自分でコントロールできるものだけに集中しよう。たとえば次のようなものだ。

・自分の欲求
・自分の行動
・自分の言葉
・自分の意図

 役に立たない思考とは何か? それは、自分にはコントロールできず、なおかつ有益な目的もない思考だ。

 あなたは過去について考えたことはあるだろうか? これは役に立たない思考の典型だ。過去の選択や失敗について考え、そこから何かを学ぶのならかまわないが、そうではなくただ過去のことをぐるぐる考えているだけなら、その思考には何の意味もない。

 内省や反省なら、何か役に立つことをしているといえるだろう。しかしそうでないなら、過去について考えるのはまったくの無意味だ。

 あるいは、未来について考えたことはあるだろうか? これもまた無意味な思考だ。

 私が見たところ、役に立つ思考は大きく2つのタイプに分けられる。

①「問題を解決する方法」を考える。問題とは結局のところ、まだ答えの出ていない質問でしかない。つまり、質問の答えが出れば問題は解決だ。その答えを見つけるために自分の脳を使おう。答えの出ていない問題は世の中にたくさんある。

②「知識」を理解する。知識を理解するとは、知識を完全に自分のものにして、自分の人生、キャリア、仕事、人間関係を向上させるために活用できるようになることだ。

 以上だ。この2つ以外の思考はすべて無視してかまわない。

 有益な目的もなく何かを考えることが習慣になっているなら、それは精神の訓練がまだ足りていないことが原因だ。無駄な思考をやめられるようにならないと、いつか頭がおかしくなってしまう。この法則に例外はない。

 自分にこう尋ねよう。「これは考える価値のあることか?」

 あなたは本当に、貴重な自分の時間、エネルギーを、役に立たない思考のために費やしたいのだろうか? その答えは言うまでもないはずだ。

 無駄な思考を止めると心に誓い、自分の精神をコントロールする力を手に入れる。

過去の後悔も、未来の心配も、すべて無駄なことだ。それが役に立ったことは今までに一度もなく、これからも絶対にない。

<本稿は『まっすぐ考える 考えた瞬間、最良の答えだけに向かう頭づくり』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>

【著者】
ダリウス・フォルー(Darius Foroux)
ベストセラー『THINK STRAIGHT』『What It Takes To Be Free(自由になるために必要なこと)』を含め7冊の著作がある。2015年にブログを開設し、6つのオンラインコースを創設。人生、ビジネス、生産性、資産形成に関する考えを執筆している。
『タイム』誌、NBCテレビ、『ファスト・カンパニー』誌、『オブザーバー』紙など、多くのメディアで特集が組まれ、その思想や活動が紹介された。ブログの読者は月間50万人を超え、記事の購読者は3000万人以上になる。

【訳者】
桜田直美(さくらだ・なおみ)

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