過去の後悔、未来の心配を考えても役には立たない
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考える必要のない余計なことリスト
思考は難しい。昔の私は、思考を止めることができなかった。油断すると、何時間もずっとぐるぐると考えごとをしてしまう。夜、ベッドの中にいるときは特にひどい。
しかし、1つ確実に言えるのは、これまで考えたことの99%は何の役にも立たなかったということだ。
何かを考えたとしても、たいていの場合、その思考が何かの行動につながることはない(心当たりがあるのでは!?)。問題を解決するわけでもない。本で読んだ難しい概念の理解につながったこともない。ただ自分の頭の中で、このイラストのようなことを考えていただけだ。
私はこういったことを「思考」と呼んでいた。しかしその実態は、思考というより、むしろ心配やストレス、パニックだ。呼び方は何でもかまわない。ちなみに私は「余計なことで頭がいっぱいになった状態」と呼んでいる。
余計なこととは何なのか? それだけで無限のリストがつくれそうだが、ここではいくつか例をあげよう。
「余計なこと」リスト
・「上司にどう思われるだろう?」
・「失敗してクビになったらどうしよう?」
・「彼はきっと私のことなんかどうでもいいと思っている」
・「私は失敗してばかりだ」
・「彼女は私を愛しているのだろうか?」
・「なぜ私の人生はいつもうまくいかないんだ?」
・「他の人はみんなキラキラした人生を送っているのに、なぜ私は違うのだろう?」
・「自分の仕事が好きになれない。自分に問題があるのだろうか?」
・「私は何をやっても中途半端だ。自分がイヤになる」
・「もうやめたい」
ここであなたに、1つ尋ねたいことがある。
こんなことを考えて、いったい何の役に立つのだろう?
さあ、答えをどうぞ。まだ答えがわからない? そう、まさにそれが答えだ。
こういった思考は何の役にも立たない。それでも私たちの誰もが、こういう役に立たないことを考えてしまう。
どうすればこの思考を止められるのか?
残念ながら、役に立たない思考を止める方法はないようだ。人間は自分の意識をコントロールできない。私たちにできるのは、どの思考を選ぶかを決めることだけだ。
あなたはただ、自分の思考に「気づく」だけでいい。自分がそれを考えていることを認める。ただし、ここで自分を責めてはいけない。「なぜ自分はこんなことを考えるのだろう?」という質問も禁止だ。この質問に答えられる人はいない。
ここでの取るべき行動は、ただ自分の思考を自覚して、その中から無視する思考と、重要な意味を持つ思考を選ぶことだ。
たとえば私の場合、「今している何かをやめたい」という思考がつねに頭の中にある。覚えているかぎりずっとそうだ。高校生のときは、学校を辞めてすぐに働きたいと思っていた。バスケットボールをしていたときも、つねにやめたいと考えていて、後になって実際にやめた。
そんな調子で、現在にいたるまでずっと何かをやめたいと考えている。自分のしていることがどんなに好きでも、やめてしまいたいという考えが、少なくとも月に3、4回は頭に浮かぶ。昔は「やめたい」という思考のせいで、夜も眠れないこともあった。
しかし、今からおよそ2年前、私はこんな自分にほとほとうんざりした。考えること自体をやめてしまいたかった。
そこで、自分の思考にいちいち反応するのをやめ、代わりに自分の思考を自覚することに集中してみた。自分に向かって、「お前にはコントロールされないぞ」と言ったりした。まわりからはさぞかし変な人に見えたことだろう。
この方法はうまくいき、おかげでずっと心が穏やかになった。私は今でも、思考を止めたくなると、まず自分の思考を自覚するようにしている。なぜなら、その思考に大切なヒントが隠されていることもあるからだ。だがたいていの場合、思考はただの恐怖にすぎない。
私は恐怖に屈服するのを拒絶することにした。
自分がコントロールできることを考える
役に立つことを考えたいなら、1つ経験則を教えよう。
それは、「自分がコントロールできることだけ考える」だ。
それだけで思考の99%は排除されることになる。なぜなら、人生でコントロールできることはほとんどないからだ。
自分でコントロールできるものだけに集中しよう。たとえば次のようなものだ。
・自分の欲求
・自分の行動
・自分の言葉
・自分の意図
役に立たない思考とは何か? それは、自分にはコントロールできず、なおかつ有益な目的もない思考だ。
あなたは過去について考えたことはあるだろうか? これは役に立たない思考の典型だ。過去の選択や失敗について考え、そこから何かを学ぶのならかまわないが、そうではなくただ過去のことをぐるぐる考えているだけなら、その思考には何の意味もない。
内省や反省なら、何か役に立つことをしているといえるだろう。しかしそうでないなら、過去について考えるのはまったくの無意味だ。
あるいは、未来について考えたことはあるだろうか? これもまた無意味な思考だ。
私が見たところ、役に立つ思考は大きく2つのタイプに分けられる。
①「問題を解決する方法」を考える。問題とは結局のところ、まだ答えの出ていない質問でしかない。つまり、質問の答えが出れば問題は解決だ。その答えを見つけるために自分の脳を使おう。答えの出ていない問題は世の中にたくさんある。
②「知識」を理解する。知識を理解するとは、知識を完全に自分のものにして、自分の人生、キャリア、仕事、人間関係を向上させるために活用できるようになることだ。
以上だ。この2つ以外の思考はすべて無視してかまわない。
有益な目的もなく何かを考えることが習慣になっているなら、それは精神の訓練がまだ足りていないことが原因だ。無駄な思考をやめられるようにならないと、いつか頭がおかしくなってしまう。この法則に例外はない。
自分にこう尋ねよう。「これは考える価値のあることか?」
あなたは本当に、貴重な自分の時間、エネルギーを、役に立たない思考のために費やしたいのだろうか? その答えは言うまでもないはずだ。
無駄な思考を止めると心に誓い、自分の精神をコントロールする力を手に入れる。
過去の後悔も、未来の心配も、すべて無駄なことだ。それが役に立ったことは今までに一度もなく、これからも絶対にない。
<本稿は『まっすぐ考える 考えた瞬間、最良の答えだけに向かう頭づくり』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>