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成功を目的としていない起業家がつかむ大事な価値

 起業するビジネスパーソンの中には大きな成功を望むケースも少なくないでしょう。一方、ただ、それ自体が目的になってしまうのは考えものです。

『起業マインド100』より20日連続でお届け。

 17日目は「成功を目的にしてはいけない」

『起業マインド100』(サンマーク出版)  ケヴィン・D・ジョンソン(Kevin D. Johnson)
『起業マインド100』

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著者:ケヴィン・D・ジョンソン(Kevin D. Johnson)
ジョンソン・メディア社の社長、連続起業家
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成功を目的にしてはいけない

成功ほど薄れてしまうものはない。

(ウォルター・ウィンチェル 新聞とラジオのゴシップ解説者)

 カナダ人アーティスト、ドレイクの2枚目のシングル『サクセスフル』には「I just wanna be, I just wanna be successful(おれはただ、おれはただ成功したいんだ)」というメロディアスでキャッチーなサビがある。

 同じ歌詞がまるで聖歌のように何度も何度もくり返される。ドレイクは金銭欲、車、女、服、賞など、彼が成功者の人生として信じているものを称える。

 初めてこの曲を聴いたとき、たしかに私は、23歳の青年が抱える成功したい欲望に共感できた。しかし、彼より7歳年上の身としては「成功することがどれほどつまらない目標か」「称賛や財産や安っぽい交際を望むことがどれほど長続きしない喜びか」考えずにはいられなかった。

起業家になるのはそのステータスのため?

 私は、起業家になることが成功したり尊敬されたりする手っ取り早い方法だと考える人を指導したり、そういう人と出会ったりすることが多い。

 彼らはフェイスブックの新規公開株やインスタグラムの10億ドル規模の買収にまつわるメディアの過熱報道を目にし、好きなミュージシャンや俳優が脚光を浴び、何百万ドルを稼ぐのを見る。

 仲間に尊敬され、成功者のライフスタイルで暮らさなければならないというプレッシャーが、1980年代から1990年代生まれのY世代のあいだで特に広がっている。それどころか、最近のオレゴン大学の研究によると、尊敬されたい欲求が価値観の中心にある人の数は、以前に比べて劇的に増加しているという。研究責任者のエダ・グレル=アタイは言う。

「人は自分自身を尊敬したいし、他の人たちにとっても重要な存在でいたいと思っていることがわかりました」

 この価値観の増加は、ソーシャルメディア内でかなり明確に表れている。

 尊敬され重要に思われたいという欲求が高まり、フェイスブック上の脚色されたナルシストっぽい投稿に変わるのだ。

 残念ながらこうした投稿はドレイクのように、真の成功は自己実現だというのではなく、ステータスからくるという信念からおこなわれている。

問題を解決し社会に影響を与える

 真の起業家は見せかけの成功ではなく、問題を解決して顧客に価値を提供する思いに駆られる。こうした献身的な姿勢は大成功した人のあいだで度々見られ、莫大な富と成功をおさめてもつましい生活を送る人のあいだで最も顕著だ。

 多くの連続起業家は最初にイグジットしたあと、自己実現の価値を理解する。人生において成功したと思えるところまで到達したあと、私のその感覚はそれほど長続きしなかった。周りの人からは成功したと思われ続けていたが、私はそうは思っていなかった。

 私は最初の会社を売却すると、次のビジネスを始めた。

 私にとって最も重要なのは、大きな収益を上げる会社から報酬を受けることより、むしろ、問題を解決し、価値のある企業をつくりあげ、世界に影響を与えることだ。高尚に聞こえるかもしれないが、それが毎朝目を覚ます理由であり、自分の成功をはかる基準なのだ。

成功より目的達成を目指せ

 成功を望んで悪いことなどないが、起業する理由としてはよくない。成功するために起業するのは、性交するために結婚するようなものだ。本当の目的よりも事業から得た利益に注目が集まることが多すぎる。自分の目的──ちょっとした下心があっても純粋なもの──に集中することを忘れなかったら、目標を達成するための正しい方向に進んでいるので、努力が実を結ぶ可能性が高い。

 私は「起業コーチ」のデイヴ・ナヴァロの表現が好きだ。

「成功とは人ではない。出来事だ」

<本稿は『起業マインド100』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>

(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)
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