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恐れを知らない10代の起業家に私たちが学べること

 自分のビジネスについて、人に話して仕事に繋げたことはありますか? 遠慮あるいは謙遜してこちらから話さない人も少なくないですが、それはもったいないことです。

『起業マインド100』より20日連続でお届け。

 15日目は「自分のビジネスについてみんなに伝える」

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著者:ケヴィン・D・ジョンソン(Kevin D. Johnson)
ジョンソン・メディア社の社長、連続起業家
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自分のビジネスについてみんなに伝える

子どもは音楽の存在を知る前に踊りだす。

(ウィリアム・スタフォード 詩人)

 ここ2年間、ティーンプレナー・カンファレンスの講師を務める機会に恵まれている。これは、何千人ものティーンエイジャーに起業家として欠かせない発想を教える2日間のプログラムだ。

 起業家である他の講師とともに、私も若い学生たちにビジネスプランの書き方、売り込み方、自分の好きなビジネスコンセプトの選び方、事業を立ち上げる支援がどこで見つかるのかを指導した。

 このプログラムでは、大きな成功をおさめた起業家や事業経営者を何人も招き、ティーンエイジャーに向けて話してもらっている。たとえば2012年のカンファレンスには、36億ドルを超える資産を運用するカプリ・インベストメント・キャピタルのCEO(クウィンティン・E・プリモ3世)を招き、その先駆的な会社をいかにして立ち上げたのかを話してもらった。

 ティーンエイジャーたちを指導し、いっしょに取り組むのが楽しかったのは、彼らが起業家として富を築く方法を夢中になって熱心に学ぶからだ。ティーンエイジャーですでにビジネスを成功させている生徒がたくさんいたのが、実によかった。

9歳で起業した女の子が教えてくれたこと

 毎年、すでにビジネスで収入のある生徒が少数いる。

 この年、特注で風船や動物の風船をつくる若い女性がセッションに参加した。彼女が会社を始めたのは9歳のとき、バルーンアートの作り方がわかるキットをもらったあとだった。

 いまでは大人のCEOとそん色のない、エレガントで話が上手な16歳になり、企業のクライアントがいて、ビジネスを成功させている。

 2011年の収益は5500ドルを超え、フェイスペイントや読み聞かせといった他のパーティーサービスまで事業を拡大している。

 他にも、おいしいクッキーを焼く15歳のティーンエイジャーがいた。彼女の会社のパンフレットから言葉を借りると、「大学に行くためにクッキーを焼いている」そうだ。

 高校3年生のふたり組はアーティストのマネジメント会社をしている。彼らは独自に編み出した公式にのっとって新しいアーティストを開拓している。実際、ふたりはカンファレンスのピッチ・コンテストで優勝した。そこでは3分間で自分たちのビジネスを説明して、3人の審査員を説得しなければならない。

 さらに、14歳の少女は、教会に行く前に朝食を食べる時間のない人を主なターゲットとして、教会で売店を始めた。彼女の巧みなビジネスはかなりの収益を上げている。

 こうしたティーンエイジャーからは実に刺激を受けたが、さらに彼らは私たち大人に、ある基本的な教訓を与えてくれた。それは、年齢が上で、経験豊富なたくさんの起業家が苦労していることだ。その教訓とは、起業家は堂々とすべての人に自分のビジネスを伝えなければならない、というものだ。

 ビジネスをおこなっているどの生徒も、カンファレンスにいる全員に向かって、臆することなく自分のビジネスについて語った。

 たとえば、バルーン製作とエンターテインメントの会社をしている少女は、サンプルのバルーンを携えて、カンファレンスが始まる30分前に会場に現れた。ビジネススーツに身を包んだ彼女は、カンファレンスに訪れた全員に自分のビジネスの話をしたくてうずうずしていた。

 売店のビジネスをしている若者はキャンディのバスケットを持参し、最終日の卒業式に訪れた保護者を含めたみんなに販売した。彼女は一生懸命働いていた。私は特に彼女の行動力に感銘を受けた。

 たとえば彼女は、カンファレンスの参加者がボランティアの賞品として受け取ったキャンディの大きな袋をもっていた。キャンディの袋など要らない参加者から、彼女は実際の価格よりかなり安く買い取り、包装されたひとつを25セントで販売したのだ。

 あとで彼女が教えてくれたのだが(私がいくつかキャンディを買ったあとだ)、彼女は払った額の2倍儲けたそうだ。カンファレンスのあいだでさえ彼女は取引をしていた。

 ベビーシッター、芝刈り、パンを焼くといったサービスを売り込み、宣伝しているティーンエイジャーたちもいた。彼らは恐れを知らなかったし、たとえ怖かったとしても、傍目にはまるでわからなかった。

受け身は何も生み出さない

 カンファレンスが終わりに向かう途中、講師のひとりが指摘したことがある。それは、どんな理由があるにせよ、多くの大人は自分のビジネスについて臆することなく伝える能力をなくしているか磨こうとしていない点だ。

 おかしなことに、起業家の中には誰にも迷惑をかけず受け身でいれば、魔法のように仕事がやってくると考える人がいる。彼らは謙虚でいることと黙っていることを混同している。他にも彼らが控えめな理由として、条件付けがあるかもしれない。

 同じ講師が「私は南部出身なので、女性が前に出るのは褒められたことではなかったんです。積極的になり、自分のビジネスについて人に話すよう教わってはいません」と言っていた。さらに、単に否定的な反応が怖い起業家もいるだろう。

 いずれにせよ、たくさんのビジネスが失われているのは、内気な起業家が自分のビジネスについて語ることを、「不快なことだ」とか、「尊大だ」とか、「不適当だ」とか、「逆効果だ」と判断するからだ。

 自分のビジネスについて語らない起業家は、晴れた日にしか打席に立ってバットを振らない野球選手のようなものだ。ホームランになるかもしれない絶好球をたくさん見逃している。受け身な起業家が黙っていても、競合相手が得するだけだ。

 ビジネスは一筋縄ではいかないし、生まれつき社交的な人間ではないかもしれないが、ぬるま湯に浸かった状態から抜け出なければならないと誰もが知っている。ゲームのルールはあらゆる機会を利用することだ。それはつまり、誰かとかかわること。そうしなければ、自分の可能性を最大限発揮できないだろう。

 恐れを知らないティーンエイジャーの起業家のように、自分のビジネスについて語る習慣を身につけよう。それによって、大きな違いが生まれる。おまけに、怖いからといってそうしなければ、進んでそのビジネスを引き受ける活発なティーンエイジャーが何人も控えているのだ。

<本稿は『起業マインド100』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>

(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)
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