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ふとした発言で「相手を怒らせた子」が取るべき言動

 友だちと話していて、相手が急に怒り出してしまった。自分としてはそんなつもりじゃなかったのに……。

 どう振る舞うのがいいでしょうか。

 子どもの小学校生活でシチュエーションにあわせた言い方と、その考え方を紹介している齋藤孝さんの著書『こんなときどう言う?事典』よりお届けします。

『こんなときどう言う?事典』(サンマーク出版) 齋藤孝
『こんなときどう言う?事典』

<誤解された(そんなつもりで言ったんじゃないのに……)>

基本)「そんなこと思ってないよ」と早めに言おう

できる!)「そんなふうに聞こえていたらごめんね」と一言そえよう

<「ちがう」と思ったらきちんと説明しよう>

 きみが言ったことを、ぜんぜんちがう意味にとられたり、「きみってこういう人だよね」と、勝手に思いこまれたりする。そういう誤解は、やはり解いたほうがいいと思います。誤解され続けると、「本当はちがうのに」とずっとモヤモヤし続けなくてはいけなくなります。

 だから、「みんなが考えていることはちがうよ」ということを、手早く説明してみてください。「本当は、こういう意味で言った言葉なんだけど、ちがう意味にとられていたみたいなんだ」とか、「わたし、本当はそんなことを思っていないよ」といったようにね。

なんで「誤解」が生まれるの?

 たとえ同じものを見ていても、人によって見方はまったくちがいます。たとえば、同じりんごを見ていても、「赤くておいしそう」と思う人もいれば、「すっぱそうだから食べたくない」という人もいる。だから、きみのふとした発言や様子などを、きみが思ってもいないような形でとらえて、誤解する人がいてもおかしくはないんです。

 また、言葉に対する感じ方も、人それぞれです。

 たとえば、人の服を見て、「それ、派手だね」とだれかが言ったとします。言ったほうは「派手」という言葉を「華やかですてき」という意味で使っていたとしても、「派手」と言われると、けなされたような気分になる人もいるんだ。反対に、「落ち着いていてすてき」という意味で「渋いね」と言っても、「渋い」をあまりいい意味だと思わない人もいて、「なんでそんなこと言うの!?」と誤解されることもあると思います。

相手がいやな気持ちになったら謝ろう

 そんな誤解をされたときには、「そんなふうに聞こえていたなら、ごめんね」「言葉の選び方、まちがえちゃった」と、相手にサラッと謝るといいと思います。そのうえで、すぐにきみが本当に伝えたかった言葉に言いかえたほうがいいですね。「派手って言ったのは、華やかだと思ったからなんだ」「ギラギラしてなくていいなと思ったから、渋いって言っちゃった」なんてね。

 謝られると、相手だって「なんだ、そうだったの」と、すなおに受け止めてくれるでしょうし、「言ってくれたおかげで、正しい意味を知ることができた」と感謝してくれるようにもなります。

 言葉や態度を誤解されてしまうことは、大人になってからでもけっこうあるんです。ですから、「すみません、言葉をまちがえました」「本当はこういうことなんです」といった謝り方や伝え方を、知っておくといいね。

POINT 誤解に気づいたら早めに解こう

<リレーのアンカーだったお友達が転んで最下位になっちゃった。落ち込んでいるみたいだけど、どんなふうに声をかけようかな>

基本)「どうしたの」って聞いてあげよう

できる!)しばらく横にすわっていよう

これだけでもOK)落ち着いたころに声をかけよう

<相手の気持ちに寄りそうこと。それが友だちの絆になるよ>

「なぐさめてあげたい」という気持ちは、とても大切です。

 でも、相手が望んでいないようななぐさめ方はしないようにしたいですよね。落ちこんだり、泣いたりしている人がいたら、こんなことを心がけよう。

①    「どうしたの?」と話を聞いてあげる

 話を聞きながら、「それはつらかったね」「大変だったね」と共感してあげれば、相手も少し楽になりますね。

②    放っておいて、落ちついたころに声をかける

 放っておくというのは、ちょっと冷たい気もします。でも、落ちこんだり悲しんだりしている人には、「泣き顔を見られたくない」「気持ちの整理がつかないから、人に会いたくない」という気持ちもあると思うんです。

 だから、少し距離を置いて、落ちついたころに「大丈夫?」と声をかけてあげるといいと思います。

③    何も声をかけずに、しばらく横にすわっていてあげる

 泣いていて、話すのがつらそうなときには、まず一緒にいてあげて、相手が話し出すのを待ったり、タイミングをみて、こちらから話しかけたりしてあげてもいいですよね。

 こんなふうに、そばにいてあげることを「寄りそう」といいます。無理に元気を出させたり、はげましたりすることでもなく、ただそばにいてあげます。

 一人では不安なことも、友だちがそばにいるだけで、ホッとできる。そんなこと、きみにもないかな? 落ちこんでいるときは、まさにそういうときなので、ただそばにいてあげるだけでも、十分になぐさめていることになります。

 そして、しばらくして、話しかけてもいい雰囲気になってきてから、「大丈夫?」と話しかけてみてほしいんです。相手が何か言ってくれれば、それでいいですし、まだ落ちこんでいるような場合は、そのことについては触れないで、「一緒に帰ろうよ」「図書館に行かない?」なんて、気分転換にさそうのもいいですね。

三つの方法のうちどれを選べばよいですか?

 それを見分けるには、相手の横にすわってみてほしいんです。なんとなくきみに話したそうにしていたら、「どうしたの?」と聞いてあげればいいよね。もし、きみが横にいても、話したくない様子であれば、ただ横にすわって、寄り添ってあげてください。

 きみがそばにいることもいやがっているようであれば、「落ちついたら話してね」などと声をかけて、一人にしてあげようね。

 友だちというと、いつも一緒で仲よくするのが当たり前と思うかもしれないけれど、相手の状況によっては、一人にしてあげたほうがいい場合もあります。相手がしてほしいこと、して、してほしくないことをしっかり見極めて、なぐさめるようにしようね。

POINT
一人にしておいてほしいときは、
一人にしてあげるのも友だちの役目

<本稿は『こんなときどう言う事典』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>

(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)
Photo by Shutterstock


【著者】
齋藤孝(さいとう・たかし)
明治大学文学部教授

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