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コクヨのキャンパスノートが圧倒的に「使いやすい」明確な根拠

 勉強、ビジネス、日記、メモ――。日常のいろんなシーンに活用されている紙のノート。その定番中の定番が文具大手コクヨの「キャンパスノート」です。作りを見てみると、「使いやすい」「見やすい」「わかりやすい」が詰まっています。

 コクヨのワークライフコンサルタント・下地寛也さんの著書で、ありそうでなかった「しにくい」の解決を探った新刊『「しやすい」の作りかた』よりお届けします。

『「しやすい」の作りかた』
『「しやすい」の作りかた』

なぜ、キャンパスノートは「使いやすい」のか

 私が勤めるコクヨの最大のヒット商品といえば、やはり「キャンパスノート」。デジタル化が進みノートの需要が減りつつある中でも、日本一売れているノートだ。

 なぜ、キャンパスノートはここまで売れるのか。様々な理由があるが、中でももっともよく言われるのが「値段が手頃で、使いやすい」というものだ。

 なぜ、使いやすいのか。コクヨではノートのサイズや形、罫線の種類や濃さ、紙の書きやすさ、紙の綴とじ方など多岐にわたるこだわりを持ち、様々な調査を行っている。

 そんな中、私が考える使いやすさに大きく影響するのが「1行の幅」だ。キャンパスノートには様々な種類があるが、もっともニーズがあるのはB5サイズで、全体の約8割はこの大きさだ。罫線タイプには以下のものがある。

・A罫 7ミリ罫幅 比較的幅が広いので、1行ずつ書き込むことが多い人向け
・B罫 6ミリ罫幅 人気がある罫幅。比較的読みやすい
・C罫 5ミリ罫幅 幅が狭いので、1行おきに書き込む人向け(表、グラフにも向く)

 その他「U罫 8ミリ罫幅」、「UL罫 10ミリ罫幅」などもある。

 よく売れるのはA罫(幅7ミリ)とB罫(幅6ミリ)だ。この2種類で全体の9割以上の売上を占める。ちなみにキャンパスノートの表紙はA罫がピンクで、B罫がブルーだ(女性向けがピンク、男性向けがブルー、ということではない)。

 なぜ、7ミリ罫幅と6ミリ罫幅が「使いやすい」幅として受け入れられるのか。それは、多くの人の書く文字の大きさが高さ6~7ミリだからだ。罫線のない白い紙にメモを取ってもらうとわかるが、普通に書くとこれくらいの高さになるものなのだ。

 また、パワーポイントの資料作りにおいても、20ポイント=約7ミリあたりの文字がよく使われる。

 つまり、「書きやすい」「読みやすい」大きさが高さ6~7ミリなのだ。

使いやすい、わかりやすい、支持される「分け方」

 ノートそのもののサイズが決まっている以上、「1行の幅」を決めることは、1ページを「何行にするか」を決めることに等しい。つまり、これも「分け方」の話なのだ。

 キャンパスノート(B5サイズ)は、A罫が30行、B罫が35行である。ノートを眺めてみるとわかるが、30~35行というのは、一度に目にする情報量の限界点だろう。これより多いと、圧迫感が出てしまう(それにならって、じつは本書の見開きも30行にしてある)。

 ちなみに、個人差はあるものの、A罫の場合は1行に24文字、B罫の場合は1行に28文字ほどが入る。また、糸井重里氏は「ほぼ日刊イトイ新聞」のサイトの1行を、横に目を動かすことなく見られるように「27文字」にしているそうだ。これくらいの文字数が読みやすく「わかりやすい」と感じる要素だろう。

 文字の高さ(幅)、罫線の長さ、行数などをちょうど良く分けたことによって、キャンパスノートは「使いやすい」を実現している。結果、多くの人からも支持されているのだろう。

<本稿は『「しやすい」の作りかた』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>

(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)


【著者】
下地寛也(しもじ・かんや)
コクヨ株式会社ワークスタイルコンサルタント
エスケイブレイン 代表

サンマーク出版の公式LINE『本とTREE』にご登録いただくと実際の本と同じレイアウトで、この本『「しやすい」の作りかた』の「序章 「しにくい」を「しやすい」に変える」(目次を含む30ページ)をお読みいただけます。ご登録は無料です。ぜひこの機会に試し読みをお楽しみください!