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小くよ22 「人生は非常事態ではない」ととなえる

仕事や家事に手が抜けない。計画通りにことが進んでいないとまるで「非常事態」のように感じて焦ってしまう――。そんな心境に陥ったことがある人は決して少なくないでしょう。でも、ちょっと待って。それは自分で自分を追い詰めているだけかもしれません。

2月にスタートした「Sunmark Web」の特別企画として『新版 小さいことにくよくよするな!』が説く格言を100日連続でお届け。

22日目は「『人生は非常事態ではない』ととなえる」

「人生は非常事態ではない」ととなえる

 ある意味でこれは私が伝えたいメッセージの基本だ。みんな人生は大変だと思っているが、本当はそうではない。

 人生は非常事態だと信じたがために、家族や夢をないがしろにしてきたクライエントを、数百人も見てきた。彼らは週80時間は仕事をしないとだめだと信じることで、自分のノイローゼ的な思い込みを正当化する。

「死んでもあなたの書類入れはからっぽにならないんですよ」と、私はときどき彼らに忠告する。

 3人の子供がいる専業主婦のクライエントが私にこう言った。

「朝みんなが出ていく前に、掃除や家事をすべて、すませることができないんです」

 自分の能力のなさをなげく彼女のために、かかりつけの医者は鎮静剤を処方した。彼女は皿やタオルを片づけるたびに、さっさとやれと頭にピストルを突きつけられるか狙撃者にねらわれているようだと感じていた。つまり、これは非常事態だと自分で思っていたのだ。そのプレッシャーをつくり出したのはほかのだれでもない、彼女自身である。

 私は(自分もひっくるめて)小さなことを大ごとに仕立てあげない人にお目にかかったことがない。

 私たちは人生の目標を真剣に考えすぎるあまり、それに到達する過程を楽しんだり、たまには気を抜くことを忘れてしまう。ありきたりの優先順位にこだわり、それを幸せの条件に仕立て上げる。あるいは、自分でつくった締め切りに間に合わせようと、しゃにむにがんばってしまう。

 その非常事態をつくっているのは自分だと認める謙虚さをもつこと、これが心豊かな人になる第一歩だ。自分の計画どおりにいかなくても人生は進んでいくものだ。

「人生は一大事ではない」とたえず自分に言いきかせるにかぎる。

<本稿は『新版 小さいことにくよくよするな!』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>


【著者】
リチャード・カールソン(Richard Carlson)
心理学者。ストレスコンサルタント。ユーモアにあふれ、率直でわかりやすく、しかも誰にでも実践できそうな「くよくよしない」ヒントを提唱。著作やテレビ出演、講演多数。著書に『(文庫)マンガで読む 小さいことにくよくよするな!』(サンマーク出版)などがある。

【訳者】
小沢 瑞穂(おざわ・みずほ)

Photo by Shutterstock

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