自分の失敗も誰かの失敗も、過去はほどよく忘れて
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過去はなるべくカラッと忘れて
<いいことも悪いことも、ほどよく「忘れる」ほうがいい気がします。過去の勲章を常に身につけておくより、「そんなことより、今」とさらりと生きる姿に憧れます。>
自分の失敗や、誰かの失敗。悪いことをいつまでも引きずらないのはもちろんですが、過去のよかったことすらも、ほどよく忘れるくらいのほうが、人生を楽しく歩ける気がしています。
過去のすごい功績、実績、経験。もちろんそれは時間をかけて自分が積み上げ、磨き上げた宝であることは確かです。でも、それをいつまでも勲章のように胸元に身につけておくよりも、「そんなこともありましたね」と、ときどき、言われて思い出すくらいがちょうどいい気がします。
自分の意識は、過去ではなくいつでも「今」に向けていたいと思うのです。
30年以上にわたり、病院やクリニックで精神科医として勤務し、多くの患者さんと接してきましたが、今の私の気持ちは、「そんな精神科医としての実績はさておき」というのが正直なところです。
今は漢方薬を主として心の病気を治療するという、新しいチャレンジの真っ最中だから。目の前の患者さんがどうしたらよくなるかを、日々懸命に考え、実践することで頭がいっぱいです。
いいことも、悪いことも、過去はなるべくカラッと忘れて、いつだって新しいことに挑戦している、「今」がある人でいたいな、と思っています。
失敗を避けるのではなく、自分をすぐにゆるせるか
<失敗したと思ったら、挽回のために動くこと。動くうちに失敗を忘れていることも。誰かの失敗も忘れてあげて。>
誰にでも失敗はつきものですから、失敗したらすぐに気持ちを切り替えて「じゃあこれからどうするか」を考え、動くことです。
大切なのは、失敗を避けることではありません。失敗をしたときに、自分をすぐにゆるせるかどうかだと思います。
自分のことをゆるせない人は、ずっと自分を責め続けます。すると「あのときこうしていたら」「また失敗したらどうしよう」と、過去と未来ばかりに意識が向き、今に集中できずに、心は疲弊していきます。
私自身は、最近ではこんなことがありました。任天堂スイッチのCMを見て、孫たちが仲よく遊んでくれたらと、プレゼントしようと思い立ちました。「家にある?」とだけ聞いたところ「持っていない」との返事。でも、いざ贈ったところ、高価すぎるというのと、もっと安い方法で購入しようとしていたのに、と叱られてしまいました。
孫たちの喜ぶ顔をという一心でしたが、相手の事情を汲くまずに先走ったことを少し反省しました。でも、あまり気にしない私は、そのことすら、忘れてしまっていました。思い返すと返品はされなかったので、実際は使って楽しんでくれているのかもしれません。
また、自分の失敗はもちろん、誰かの失敗も、忘れるに限ります。失敗したとき、一番落ち込んでいるのは本人ですから、そこにさらに矢を放つ必要などありません。
<本稿は『ほどよく忘れて生きていく』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>