人生に効果ある決断を下せる人の揺るぎない考え方
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「人生に効果ある?」で考える
この世界にはあふれるほどの情報があり、人間の脳が処理できる限界を超えている。そのため、どうしても情報をふるいにかけなければならない。すべての情報を処理しようとしたら、頭がおかしくなってしまう!
そして、脳はそのフィルタリングの過程で、意思決定の負荷を減らすためにいくつかの近道を形成する。
その近道は「ヒューリスティック」と呼ばれる。
ヒューリスティックとは、簡単に説明すれば、過去の似たような経験と照らし合わせて今の問題を解決する戦略のことだ。
誰もが知っている有名なヒューリスティックの1つは「トライアル・アンド・エラー」だろう。これは、挑戦と失敗をくり返しながら目の前の問題の解決方法を探っていく戦略であり、1つの思考法でもある。
しかし、トライアル・アンド・エラーがもっとも実用的な方法かというと、必ずしもそうではない。キャリアの形成でこの戦略に頼っていたら、キャリアを確立する前に人生が終わってしまう。人生は永遠ではない。すべてにおいてトライアル・アンド・エラーを適用している余裕はない。
自分が慣れ親しんだものを選び続けていいか
もう1つ、あまり有用ではないヒューリスティックの例は「ソーシャルプルーフ(社会的証明)」だ。私たちはしばしば、他の人がやっていることや言っていることを基準に物事を決める。
そして、なかでもやっかいなヒューリスティックが「親近性」だ。人間には自分が慣れ親しんだものを選ぶ習性があり、何かが過去にうまくいくと、それと同じことをくり返せばまた成功できると考える。私たちが新しいものよりもよく知っているものを好むのも、親近性というヒューリスティックが原因だ。
あなたも身に覚えがあるだろう。毎日だいたい同じようなものを食べ、いつも同じ道を通り、同じ間違いをくり返し、職場では同じ仕事をくり返す。それが延々と続く。そして、人生が同じことのくり返しばかりでつまらないと文句を言う。親近性を基準に物事を決めているのだから、同じことのくり返しになるのも当然だ。
親近性にはいい面もある。慣れ親しんだものは確実性につながり、確実性は安心をもたらしてくれる。しかし、停滞を打破したいのであれば、いつもとは違う何かが必要だ。
ヒューリスティックを基準に物事を決めていれば、認知力への負荷を軽くすることはできるかもしれない。しかし、ヒューリスティックはとてもじゃないが実用的とは呼べない戦略だ。満足できる結果につながることはほとんどない。
この決断による結果で自分の生き方が変わるか?
あなたがもし現状に満足していないのであれば、それはおそらく何かを変えなければならないサインだ。ヒューリスティックに頼って情報をフィルタリングするのをやめ、「真実とは効果のあるものだ」というプラグマティズムの大原則を思い出さなければならない。
「真実とは効果のあるものだ」という言葉は、脳に入ってくるすべての情報をフィルタリングするときの基準だと考えてみよう。
私の場合、何かを決めなければならないときは、「この決断による結果で自分の生き方が変わるだろうか?」と自分に尋ねるようにしている。
この質問を忘れずに続けていれば、無駄な情報を排除して、本当に有益な情報だけを使って、人生に影響を与えるような決断を下せるようになるだろう。
この方法なら、効果のあるもの、役に立つものだけを活用できるようになる。その結果、ためにならない習慣を変えることもできる。
たとえば、昔からよく言われる「大きな都市に住んだほうが大きなチャンスが手に入る」という言葉を考えてみよう。私も昔はこの言葉を本気で信じていた。正直に言うと、それがロンドンに引っ越したいちばんの理由だ。
自分にとって効果があるならそれがいちばん
たしかに当時、私は大きなチャンスをつかむことができた。しかしそれだけでなく、同時に大きな責任を背負い、大きな問題を抱えることにもなった。そもそも私は大都市が好きではなかった。人混みに、汚れた空気、それに生活費は理不尽なほど高い。
私の場合、大都市に住むのは「効果のあるもの」でないのは明らかだった。それが自分の気持ちにも影響を与え、その気持ちが生活に暗い影を落とす。そんなこんなで、とうとう私は故郷のレーワルデンに帰ることにした。
レーワルデンは静かで、知り合いもたくさんいる。仕事の時間は減り、生産性はむしろ向上した。10分も車を走らせれば、市内のどこにでも行くことができる。
もちろん、私の選んだ人生がすべての人に適しているわけではない。そんな生活は退屈だ、もっと刺激が欲しいという人もいるだろう。しかし、他の人がどう思うかは関係ない。自分にとって効果があるなら、それがいちばんの方法だ。
<本稿は『まっすぐ考える 考えた瞬間、最良の答えだけに向かう頭づくり』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>