何もせずとも稼げる人と働かないと稼げない人の差
「自分の名のもとに失敗するリスクをはれる人が莫大な力を得る」
「時間を切り売りしても富は決してやってこない」
アメリカ・シリコンバレーで生きる伝説とされる、ナヴァル・ラヴィカントはこう説きます。ナヴァルさんの投稿記事、ツイート、対談を集めた本『シリコンバレー最重要思想家ナヴァル・ラヴィカント』よりお届けします。
君の名前で信用を築け
説明責任を引き受け、
君の名のもとに事業リスクを取れ。
社会はその見返りとして、
君に責任、エクイティ、
レバレッジを与えてくれる。
リッチになるには、レバレッジが絶対に欠かせない。
レバレッジの形態には、労働、資本、そしてコードやメディアがある。でもそのほとんどは、労働と資本のように、誰かから提供を受ける必要がある。労働なら、誰かに従ってもらう必要がある。資本なら、誰かに資金や運用資産、機械の提供を受ける必要がある。
だからそれらを得るために、君はできる限り君の名前で信用を築かなくてはならない。それにはリスクが伴う。説明責任は諸刃の剣、というやつだ。成功すれば君の功績になるが、失敗すれば君が矢面に立たされる。
明確な説明責任がカギだ。説明責任を負わなければ、やる気を持てない。説明責任を負わなければ、信用は築けない。でも説明責任にはリスクが伴う。失敗のリスクが伴う。恥を掻くリスクが伴う。君の名前で失敗するリスクが伴う。
ありがたいことに、現代社会には債務者監獄というものはなくなった。他人のカネを失っても投獄や処刑に遭うことはないが、自分の名のもとに公に失敗したくないという社会的本能が働く。
それでも、自分の名のもとに失敗するリスクを張れる人が、莫大な力を得るんだ。
個人的な話をしよう。2013年か2014年まで、私は世間的にはもっぱら「スタートアップと投資界隈の人」と見られていた。
私が哲学や精神性など幅広い物事について語り始めたのは、2014年か2015年頃になってからのことだ。それを自分の名のもとに語ったから、多少不安はあった。業界でも心配して、「何してるんだ? キャリアが終わるぞ。ばかなことをするな」なんてメッセージをこっそりくれる人もいた。
それでも、とにかくやってみた。リスクを取ったんだ。仮想通貨への投資も同じだ。早い時期にリスクを取った。でも自分の名前を出せば、リスクを負う半面、リターンが得られる。恩恵が得られる。
かつて船長は船と運命をともにした。船が沈むとき、最後に船から下りるのは船長だった。説明責任には重大なリスクが伴う。
でも私がここで言っているリスクは、ビジネス環境で取るリスクのことだ。
ここでのリスクは、君が自己資金を回収する順番がおそらく最後になるということだ。君が自分の時間に対する報酬を得る順番が最後になるということだ。君が会社に費やした時間と、費やした資金──それを失うリスクがあるということだ。
言っておくが、現代社会では下方リスクは限られている。優れた経済システムでは、債務でさえ自己破産で帳消しになる。私が一番くわしいのはシリコンバレーの事情だが、それでも一般に、正直で誠実に努力する人は失敗しても許されるものだ。失敗に関してはそう恐れることはないのだから、説明責任をもっと果敢に引き受けよう。
事業を小さくてもいいから「所有」する
事業の一部を所有しない限り、
経済的自由への道はない。
Q)なぜリッチになるためには、
事業の一部を所有することが
欠かせないのですか?
所有と賃金労働の違いだね。
時間を切り売りしているようでは、たとえ弁護士や医者であっても、ある程度は稼げるが経済的自由が得られるほどには稼げない。休暇中も君の代わりに事業がたたき出してくれる、不労所得は得られない。
おそらくこれが、最重要ポイントの1つだね。「勤勉に働けば富を得られる、十分な金を稼げる」という誤解があるようだが、たぶんそうはいかないよ。理由はいろいろある。
所有権を持たないと、インプットとアウトプットが密接に連動するんだ。つまり君が投入した時間や労力に比例した報酬しか得られない。給料制で働く人のほとんどは、時間を売ってその対価として報酬を得ている。時給が高い弁護士や医者でもそうだ。
所有権を持たなければ、寝ている間は稼げない。引退後は稼げない。休暇中は稼げない。働いた時間に比例した、線形的な稼ぎしか得られないんだ。
医者にもリッチに(かなりリッチに)なる人がいるが、それは開業するからだ。医院を開業する。医院がブランドを築き、ブランドが人を集める。または医療機器や手順、プロセスを開発して、知的所有権を取得する。
君が誰かのために働くときは、その誰かがリスクを背負い、説明責任を引き受け、知的所有権とブランドを所有しているんだ。彼らは君に十分な報酬を払おうとしない。君を働かせるために必要な最低限の報酬しかくれない。最低限といっても高額かもしれないが、それでも君は引退後も稼げるような、真の富は得られない。
企業のエクイティ[持分、株主資本]を所有するとは要するに、アップサイド[潜在的な成長余地]を君のものにするということだ。負債の所有者(債権者)は、利回りを保証され、ダウンサイド[潜在的な損失]を負担する。でも君が所有したいのは、エクイティだ。エクイティを所有しない限り、君がリッチになれる見込みはほぼない。
だから事業のエクイティを所有できるようになろう。株式を購入して少額株主としてエクイティを所有してもいい。会社を立ち上げて、オーナーとして所有するのもいい。
所有権が本当に大事なんだ。
財をなす人はみんないつかの時点で、必ずプロダクトや事業や何らかの知的所有権の一部を所有している。君がテック企業の社員なら、ストックオプションを通じて所有することもできるね。それも手始めとしてはいい。
でも一般に、本当の富は自分で会社を始めるか、投資を行うことでこそ生み出される。投資会社なら、投資先企業の株式を購入する。これらが富への道だ。時間を切り売りしていては富は決してやってこない。
<本原稿は『シリコンバレー最重要思想家ナヴァル・ラヴィカント』(サンマーク出版)』から一部抜粋して再構成したものです>
(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)
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【著者紹介】
エリック・ジョーゲンソン(Eric Jorgenson)
プロダクト・ストラテジスト、作家
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