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会議で「あなたはどう思う?」にズバッと答える人のすごいメモ
「あなたはどう思う?」「何かアイディアはない?」
会議中のよくある場面で自分の意見をまとめる方法をご紹介。「1本の線」を引いて整理することで、「会議」「企画・アイデア」「知識の習得」すべてに使える裁判所書記官のメモの秘密を解説した『その場で言語化できるメモ』よりお届けします。

自分の意見をまとめる
ポイントは、
①違和感を見逃さない
②なぜそう感じたかを深掘りする
③自分としての結論を言葉にする
の3つです。
① 違和感を見逃さない
会議で誰かの話を聞いているうちに、「あれっ?」「それでいいのかな?」と疑問や違和感を感じることがあります。そのときは、すかさずそれを右側に書いておきます。
あらかじめ決めておいたマークを書いておくだけでもかまいません。
もし、聞きながら書くので手いっぱいで、気づくことが特にないようであれば、ある程度左側のメモを書いた段階で、
「本当にそうかな?」
「それでうまくいくのかな?」
「自分ならどうする?」
といった疑問を自分に投げかけ、右側に感じたことをどんどん書いていってください。
② なぜそう感じたかを深掘りする
違和感に気づけたとしても、それがどこからくるのか自分でもわからず、うまく言葉にできないということもあるかと思います。
そのときは、メモした内容を見ながら、「なぜその違和感が出てくるのか」(Why)を考えてみましょう。
たとえば、図2−5のようにメモを書いたとします。
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AさんとBさんの会話を聞いて、Bさんの「値段を少し高めにしてはどうか?」という発言に違和感を持ったとして、
「若者向けはいいと思ったんだけど、なぜ値段が高いとよくないと思ったんだろう?」
と自分になぜ(Why)を問いかけます。すると、
「20代の若者は、額面では給与は増えているが、手取り額が年々減り続けている」
というデータがあったことを思い出しました。
③ 自分としての結論を言葉にする
「なぜ」がわかれば、それに対して、「では、どうしたらいいか?」と解決策を考えます。この場合は、「若者の購買データを見てから最終的に決めたほうがいい」という自分としての結論にたどりつきました。
あとは、上から順に話せば、そのままあなたの意見ができあがります。
なお、話すときは、右側だけを伝えても唐突に感じることがあるので、対応する左側の内容を踏まえて、「左→右」「左→右」の順でジグザグに伝えていきます。これだけでかなりラクに、参加者それぞれの意見を踏まえつつも、自分の視点を交えた発言をすることができます。
「Aさんの意見には賛成です。ただし、Bさんの意見のように高価格帯にするのは検討が必要ではないでしょうか。20代の若者は、額面では給与は増えているけれど手取り額が年々減り続けているというデータがどこかにあったように思います。最近の若者の購買データを見てから決めるべきだと思います」
もし「賛成」「反対」といった明確な結論が見つからなければ、
・両方のよさを両立する案はないか
・気になったところだけを改善した案が作れないか
といった発言でもよいでしょう。
「なぜ相手はそんな発言をしたのか」を考えてみることも
このように、他人の発言を聞いて自分なりの意見を出すときのポイントは、
①違和感を見逃さない
② なぜそう感じたかを深掘りする(Why)
③自分としての結論は何なのかを言葉にする(What)
の3ステップです。
ぜひ、意識してみてください。
ちなみに、発言の内容以前に、「なぜ相手はそんな発言をしたのだろう?」という部分に違和感を感じることもあると思います。その場合、相手と自分の立ち位置や考え方などの違いがある可能性もあります。
たとえば、自分は「たくさんの人に買ってもらいたい」と思っていても、Bさんは「ごく少人数に販売することで営業を効率化したい」と考えているのかもしれません。そのような場合は、「そもそも、なぜ高単価がいいと思われたのですか?」と聞いてみることで、相手と自分の立場が明確になり、内容に対する自分の意見も出やすくなります。
<本稿は『その場で言語化できるメモ』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>
(編集:サンマーク出版 SUNMARK WEB編集部)
Photo by shutterstock
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【著者】
佐野雅代(さの・まさよ)
元裁判所書記官。英語発音指導士。
神奈川県出身。上智大学法学部国際関係法学科卒業。裁判所書記官として、横浜地方裁判所の民事部にて年間約2000件の裁判に立ち会い、法廷内でのできごとを調書にまとめる仕事を行なう。「公証官」とも呼ばれる、いわば「国家が認めたメモのプロ」。
また、最高裁判所の秘書課で海外出張のサポート業務などをする中で、企画書やプレゼン資料、会議の議事録、世界各国の裁判所や大学へ提出する依頼文書や履歴書、司法制度に関する調査報告書、お礼状にいたるまで、書記官としての約12年間を通じて様々な種類の文章を作成する。
その後、2人の子育てをする中で、小さいうちから言葉の力を伸ばすことの重要性を実感、夫の大反対を乗り越え裁判所を退職し、一般社団法人国際英語音メンタリング振興会を設立。現在は、「音から言葉の力を伸ばす英語発音指導士」として、歌と絵本で学ぶ発音講座、おうち英語講座、英語の読み書き講座、女性のためのライティング講座などの運営や、講師の育成を行なっている。また、自治体や教育委員会の後援を受けて、親子イベントや保護者・教員向けセミナーなどを開催している。
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