小くよ39 謙虚になる練習をする
頑張っている自分、成果を出した自分を誰かに認めてもらいたい。そんな気持ちから、自慢したい衝動に駆られるのも無理はありません。ただ、自分を誇示するのは周囲に良い影響を与えません。
2月にスタートした「Sunmark Web」の特別企画としてこの名著の新装版『新版 小さいことにくよくよするな!』が説く格言を100日連続でお届け。
39日目は「謙虚になる練習をする」
謙虚になる練習をする
謙虚になることと心の平和は切っても切れない仲。自分を誇示したい気持ちが少なくなればなるほど、心の平和が増す。
自分を誇示するのは危険な罠だ。業績を自慢したり、優秀な人間だと人に思わせようとするのはとてつもないエネルギーがいる。自慢に走るとよくやったと自分をほめる気持ちや、なにかを誇りに思う気持ちが薄れてしまう。
それだけではない、自分を誇示すればするほど人から疎(うと)まれ、自慢せずにいられない不安な人なんだと陰口をたたかれ、ひんしゅくすらかう。
皮肉なことに、人から認められなくてもかまわないと思うと、かえって人は認めてくれるようだ。みんながひかれるのは、もの静かで自分に自信をもち、よく見せようとか、正しいのはいつも自分だとか、すべてを自分の手柄にしようとしない人だ。自慢する必要のない人、自分のエゴからではなく心から相手と話し合える人は、ほとんどの人から愛される。
純粋な謙虚さを育てるには訓練しかない。つとめてそうすると、たちまち穏やかで楽な気持ちになれる。こんどあなたが自慢したくなったら、その誘惑に耐えること。
私のクライエントの一人がこんな話をしてくれた。彼は昇進が決まった数日後に、友人たちと一緒の席にいた。
実は仲間の一人のかわりに彼が昇進したのだが、みんなはそのことを知らなかった。彼はその男とライバル関係にあり、自分のほうが選ばれたことを自慢したくてたまらなかった。つい口にしそうになったとき頭の隅でささやく声がした。「やめろ。自慢するな」
彼はそのまま歓談を続け、最後までそのことは口にしなかった。結果としてとても穏やかで誇らしい気持ちになった、と彼は私に報告した。
彼は人に自慢することなく自分の成功を喜ぶことができたのだ。後でそのことを知った友人たちは、彼の謙虚さに感動したと言ってきたという。
謙虚になる訓練をすることで、彼はより多くの支持と注目を集めたのだ。
<本稿は『新版 小さいことにくよくよするな!』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>
(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)
【著者】
リチャード・カールソン(Richard Carlson)
心理学者。ストレスコンサルタント。ユーモアにあふれ、率直でわかりやすく、しかも誰にでも実践できそうな「くよくよしない」ヒントを提唱。著作やテレビ出演、講演多数。著書に『(文庫)マンガで読む 小さいことにくよくよするな!』(サンマーク出版)などがある。
【訳者】
小沢 瑞穂(おざわ・みずほ)
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