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Kindleで賢く本を読む術、「ペーパーホワイト」か「ファイア」か迷ったら

 「電子書籍を活用すると読書量が増える」

 そう話すのは『読書脳』の著者で精神科医の樺沢紫苑さん。樺沢さんはアマゾンの電子書籍端末、Kindleを愛用されています。

 電子書籍に興味はあってもどうやって読んだらいいかわからないと思っている人も少なくないでしょう。今回は『読書脳』より樺沢さんが実際に日々使っているKindleについて、その選び方やハイライト活用法、裏技をご紹介します。

 仮にKindleをお持ちでなくても、スマホやタブレットで「Kindle無料アプリ」をダウンロードすればKindle電子書籍を読めるようになりますし、2015年1月からはパソコンでもKindle電子書籍が読めるようになりましたので、是非試しに一度読んでみてください。

『読書脳』(サンマーク出版) 樺沢紫苑
『読書脳』

ペーパーホワイトとファイア、どちらがいいのか?

 Kindleを使った読書を始めようという場合、最初に突き当たる壁が、「ペーパーホワイト」と「ファイア」のどちらを購入するか、という問題です。

「ペーパーホワイト」は、白黒表示で非常に軽い。一方、「ファイア」はカラー表示で「タブレット」としてネットの閲覧もでき、カメラなどさまざまな機能がついていて便利ですが、少々重たいのが難です。

「ペーパーホワイト」と「ファイア」、どちらにするか、非常に迷います。購入する前に必ず実物を見て、手にとってから決めたほうがいいでしょう。大きな家電量販店に行けば陳列されていますので、実際に手にとることができます。

重要なのは、「重さ」です。読書というのは、30分、1時間と続けることもあるので、「30分続けて手に持っていても疲れない重さ」というのが、必要条件となります。

「ペーパーホワイト」は約200グラムで、この重さは文庫本1冊の重さとほぼ同じ。つまり、片手で持ち続けても全く疲れない重さであるといえます。

 一方で「ペーパーホワイト」は白黒表示なので、文字だけを読む場合はいいのですが、写真集やカラーの図版が入った電子書籍を楽しめないという欠点があります。また、「ペーパーホワイト」の画面は、「非常に見やすい」という意見と「非常に見づらい」という意見の賛否両論があります。

 私は「ファイア」を使っていますが、単独で持つと少々重たいものの、膝にのせたり、何かを支えにすると重さを感じないで読むことができています。

「ペーパーホワイト」の大きな長所の1つは、iPadやSurfaceといったタブレットではバックライト方式が採用されているのに対し、「ペーパーホワイト」はフロントライト方式が採用されているので、晴天の屋外でも文字が読みやすいということです。

 アメリカ人はプールサイドで読書をする人が多いので、Kindleの発売当初、日差しの強い屋外でも読みやすいと、「ペーパーホワイト」が飛ぶように売れました。

 どこで読むのか? どんな本を読むのか? 常に持ち歩くのか? そういった、端末を使うTPO(いつ、どこで、どんな場合に)をはっきりさせれば、「ペーパーホワイト」と「ファイア」のどちらを使うべきかが、見えてくると思います。

 ちなみに私は、「ペーパーホワイト」と「ファイア」の両方を所有しており、シチュエーションによって使い分けています。

電子書籍の醍醐味〜「ハイライト読書術」

 Kindleにはいろいろな機能がありますが、それらの機能の中で最も便利な機能であり、私が最も活用している機能が「ハイライト」です。

 「ハイライト」とは、本に蛍光ペンで線を引くような感覚で、電子書籍上で線が引ける機能です。「ファイア」では赤、青、黄、オレンジの4色から選択できます。

 ハイライトしたい部分を指でなぞり、色を選択するだけですから、物凄く簡単です。

 そして、後からハイライトした部分だけをまとめて読むことができます。

 電子書籍を読んでいて、「これはおもしろい!」「これは実行しないと!」という、「気づき」が得られた場合、私はすかさずハイライトします。

 紙の本の場合、線を引きたいと思っても、ペンが手元にないと線が引けませんし、満員電車の中で線を引くのは至難の業です。それが電子書籍であれば、いつでも、どこでも線を引くことができます。

 またハイライトした部分を自分のパソコンに転送することもできますし、FacebookやTwitterでシェア、紹介することもできます。

「ハイライト読書術」の大きなメリットは、いつでもどこでも、Kindleさえ持っていれば、簡単に見直すことができる点です。Kindleさえ手元にあれば、「3分のスキマ時間」で最近読んだ本の復習をすることができます。

Kindleで小説を無料で読む方法

 Kindleでは通常の有料版の本の他に、「無料版」というものがあります。無料で読める本がたくさん登録されているのです。

 夏目漱石の『こころ』『吾輩は猫である』『坊っちゃん』、太宰治の『人間失格』などが、無料版ランキングで常に上位に位置しています。

 著作権が切れた小説などが、「青空文庫」として多数公開されていますので、名著と呼ばれる小説の多くを無料で読むことができます(楽天〈kobo〉などでも閲覧可能)。

 私は、Kindleをはじめ、電子書籍では小説こそ非常に読みやすいと思います。一字一句、前に向かって読んでいく。ページめくりにもリズム感が出てきて、読むスピードがアップします。

 青空文庫での私のお勧めは、私の運命を変える1冊となった夢野久作の『ドグラ・マグラ』です。宮崎駿監督のアニメ「風立ちぬ」の元になった堀辰雄の『風立ちぬ』を読んで、映画と比べてみる。あるいは大ヒット映画「アナと雪の女王」とアンデルセンの『雪の女王 七つのお話でできているおとぎ物語』(楠山正雄訳)を比べてみて、全然違う話じゃないかと驚いてみるのもおもしろいでしょう。

Kindle電子書籍を「読み放題」する方法

 月に何冊も本を読む読書家にとっては、書籍の購入費はかなりの金額になります。例えば、ビジネス書を3冊購入すると、5000円近くなります。

 自分の好きな本が、定額で読み放題できたら……。そんな人にお勧めの、夢のようなサービスがアマゾンの「Kindle Unlimited」です。月額980円でKindle電子書籍のうち、「読み放題」に登録されている200万冊以上のビジネス書、小説、雑誌、漫画などが読み放題になります。

 最大20冊までのダウンロード制限があるので、同時に読むことができる冊数は20冊ですが、本を返却すると新しい本をダウンロードすることができ、実質的に無制限で本を読むことができます。

 例えば、私の本でいうと『今日がもっと楽しくなる 行動最適化大全 ベストタイムにベストルーティンで常に「最高の1日」を作り出す』(KADOKAWA)、『人生うまくいく人の感情リセット術』(三笠書房)、『いい緊張は能力を2倍にする』『脳を最適化すれば能力は2倍になる 仕事の精度と速度を脳科学的にあげる方法』(ともに文響社)、『エヴァンゲリオンの心理学』(しおん出版)などが読み放題になっています。

 このうち、『いい緊張は能力を2倍にする』と『脳を最適化すれば能力は2倍になる』は、紙の書籍が現在では絶版で入手困難となっていますので、読み放題で読んでいただけるのはありがたいことです。

 最近出版された本や売れ筋のベストセラーは「読み放題」に含まれていないことが多いのですが、一方で一昔前のベストセラー、古典や名著と呼ばれる本は、たくさん読めます。

 私の場合は、本や原稿、記事を書くときに「資料」としてよく活用しています。例えば、「発達障害」についての記事を書こうとする場合。「発達障害」についてのざっとした知識をインプットしたいと思ったら、アマゾンの検索窓で「発達障害 Unlimited」と検索します。すると、発達障害だけで10冊以上の本が読めるのです。そのうちの2〜3冊に目を通せば、発達障害の基本的な知識で困ることはないでしょう。

 会社で資料を作るときなど、その分野の本を網羅的に調べたい、ということがあるはずです。それを普通に購入すると、10冊で1万5000円は超えるでしょう。そのうち、3、4冊でも「読み放題」に含まれていれば、5000円程度を節約できます。

 その本の一部分だけ読みたい。でも、そのためにわざわざ購入するのも……というときにも便利です。

 情報を網羅的に集めたい。わざわざ買うほどではないが、一部分だけでも見ておきたい。引用元となる資料が欲しい。同じ論点で、他の著者はどう考えているのか知りたい。一つの分野をまとめて読みたい……。このようなとき、インプットの幅を「広げる」のと「深める」の両方の側面で、読み放題サービスはさまざまに活用できます。

「Kindle Unlimited」は、Kindleの愛用者には常識に思えますが、普段読書をしない人、電子書籍を読まない人のなかには、そんなサービスがあることを全く知らない人も多いのです。実際、私の友人、知人を見ても、「Kindle Unlimited」をうまく活用している人は、数人です。

 あなたにピッタリな上手な使い方をすることで、情報のインプット量を飛躍的に増やすことができます。

Kindle端末を持っていなくてもKindle電子書籍を読む方法

 私は、Kindle電子書籍を30冊以上出版しています。新しい電子書籍を出すたびにSNSで紹介するのですが、「その本を読みたいのですが、私はKindle端末を持っていないので読めません」といったコメントをよくいただきます。

「Kindle電子書籍は、Kindle端末を持っていなくても読める」という事実を知らない人がたくさんいます。

 Kindleは持っていなくても、ほとんどの人はスマホかタブレットのどちらかを持っているはずです。「Kindle無料アプリ」をダウンロードすれば、全てのスマホ、タブレットで、Kindle電子書籍を読めるようになるのです。つまり、スマホやタブレットを持っていれば、Kindle端末がなくてもKindle電子書籍が読めるのです。

 さらにうれしいことに、2015年1月に、Kindle電子書籍がパソコンで読める「Kindle for PC」の日本語版がリリースされました。これをパソコンにインストールしておけば、自分のパソコンで全てのKindle電子書籍が読めるようになる、という便利なスグレモノです。ただし、「Kindle for PC」はWindows専用です。

 Macユーザーの方は、「Kindle for Mac」をダウンロードしてください。

 ダウンロードページは、Googleで検索すれば、すぐにわかります。

電子書籍端末がなくても、スマホやタブレット、そしてパソコンでも電子書籍が読める時代になりました。これによって、日本でも電子書籍による読書が飛躍的に広まっていくでしょう。

<本稿は『読書脳』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>

(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)


【著者】
樺沢紫苑(かばさわ・しおん)
精神科医、作家

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